東方のあけぼの

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ウクライナ交渉の失敗

2022-02-24 20:36:36 | 国際・政治

 空爆によってウクライナの制空権はロシアに帰したようだが、これによってアメリカとEU主要国の交渉は失敗に終わった。打開の可能性はなかったのか。交渉の失敗は双方の責任といえばそうだが、アメリカのほうが失敗の責任は大きいようだ。

 大きな疑問の一つは何故、ウクライナが交渉に加わらなかったのか理由が分からない。ウクライナの問題でしょう。西側はなぜウクライナを交えたマルチの交渉団を結成しなかったのか。ウクライナが自分も交渉に加えろと要求したという報道もないのも変だ。ロシアがウクライナが入るなら交渉しないといったのか。もしそうならそのことをアメリカが公表すれば世論の大きな支持を得て情勢は変わったかもしれない。

 二番目のカードはウクライナでの核ミサイルの設置に対するロシアの不安である。

ここで思い出すのはかってのキューバ危機である。アメリカからわずか二、三百キロしか離れていないキューバにソ連が核ミサイルを導入しようとしたことが発端であった。

 今回のプーチンの表向きの主張は親ロシア住民の保護だが、実際はウクライナがEUに加盟して核ミサイルを配備するのではないか、というのがロシアにとっての安全保障上の最大の問題だったことは間違いない。ウクライナからモスクワまでの距離はキューバからマイアミまでの距離より短いらしい。核ミサイルを配備しないという約束は実質上強力な落としどころではなかったか。

 しかも、ウクライナにはかってチェルノブイリなどなどの原発があり、核開発の能力はまだ温存しているとロシアは恐れたのだろう。そのためにも、この交渉にはウクライナが加わることが絶対に必要である。

 アメリカはこのカードを使ったのかね、報道を見るかぎり使っていないようだ。素人がみても拙劣な交渉だったと言える。この失敗の影響で世界が不安定になればアメリカの責任は極めて大きい。