「リニアは理に合わない」中学生でも知っている、日本の大地溝帯・フォッサマグナの最も活発な地点の南アルプスをトンネルでぶち抜くのである。巨大な破砕帯がいくつあるかもわかっていない。トンネルを掘るにあたって最も障害になる破砕帯は、行き当たりばったり対応である。すでにいくつかの水脈を切ったらしく、周辺の河川の枯渇が起きている。山間地への工事は遅々として進んでいない。自然破壊も目に余る。
昨年の10月の台風をいまだ残す現場を視察した川勝静岡県知事は、「南アルプスは生きている。人の技術で解決できる以上の力を感じた」と述べている。予想外の出水もあるが、山深い寒村へ大量の土砂運搬車が大量に表れるだけでも生活が脅かされる。
ストップ・リニア訴訟は、工事にかかわる現地の人達の被害訴訟である。私は原告団への申し込みをしたが叶わず、訴訟団のサポート員に加わってはいる。
そもそも、リニア新幹線が非合理的であり、国鉄分割の民営化が生んだ妄想ともいえる代物である。民営化はまだしも、分割することで地方には赤字を背負わされ廃線の山を築かせ、その一方で動脈線を抱える東海はこんなくだらない金食い事業に手を出すのである。ノーテンキな安倍晋三はオリンピックに間に合わせろとまで言い放ったが、現実を知らない。2035年は夢であろうしいつ完成するかもわからない。乗客あたり現行の新幹線の5倍ものエネルギーを浪費するリニアー新幹線は、フル回転すれば原発3基分の電力が必要になる。
運転手のいないリニアー新幹線は、南アルプスのトンネルが仮にも完成すれば50キロの切れ目がない暗黒の中を走るのである。事故対応などできるわけがない。8割は暗黒の中を走るので観光とは無関係で、単なる移動手段でしかない。乗客の確保すら怪しいものである。リニアー新幹線は何も利点がない無用の巨大プロジェクトである。リニアは理に合わない。
今日発言の軽い防衛大臣河野太郎が、イージスアショアの建設の停止を表明したが、安倍内閣らしい無根拠で唐突感は免れないがやればできる。年度予算に計上してもいるが、これは歓迎すべきことである。やれば出来る。今からでも遅くはない。リニア新幹線も中止するべきである。それが被害を最小にする最も有効な方法である。