北朝鮮が3年ぶりに核実験を行った。明らかに国連安保理決議に違反する。前回に比べて、世界の反応は大きく異なる。アメリカやヨーロッパ各紙は一斉に報道している。ほとんどがトップ 記事である。北朝鮮は同時に中距離ミサイルも2発発射実験も行っている。
3年前と異なるのは、今回の実験はちゃんと成功していることである。イギリスのガーディアン紙によると、広島級であったとのことである。先月には、「人工衛星」も打ち上げているが、今回の核実験と中距離ミサイルの同時実験からすると、人工衛星であるのが不自然である。明らかに、核兵器を搭載するためのものであったことは明らかである。
もう一つ前回と異なるのは、核廃絶を訴えているオバマがアメリカ大統領になったことである。ブッシュの、善か悪かの二元論で世界を武力制圧した状況と明らかに異なる。。
この国は困ったものである。国民に十分な食料と情報を与えていない。その一方では「主体思想(チェチェ)」を掲げ、他国の言い分など聞く耳を持たない。このことを理解しなければ(容認することではない)、北朝鮮にまともな考えを教えることができない。
注目されるのは、6者協議の議長国である中国の出方である。もう一つが、でっち上げの功績で金日成を英雄に仕立て上げた旧ソビエトである、ロシアの動きである。
中国は、アメリカに突っかかる北朝鮮をいいように利用してきた経緯がある。北朝鮮に理解を示す動きを見せ、鉱物資源の権益を獲得している。安易に北を非難できない弱みがある。しかし、さすがに今回は容認することがないと思われる。ミサイル発射に見せた理解ある態度を、国連で貫けないだろう。
ロシアは、歴史的な経過以外の権益、利害関係は今のところ弱い。せいぜい、サハリンなどに安価な労働者を提供してもらっている程度でしかない。ロシアにとっては、北朝鮮の動きそのものより、これに係わって日本やアメリカや中国との関係が悪化しない程度でいればいいのである。
韓国は前大統領の自殺で混乱応対にあるが、いまや李明博大統領は融和政策からの転換で最悪の関係にある。日本や韓国やアメリカが経済制裁を行っても、中国の支援がある限りほとんど効力を持たない。
結局は中国の動きが、北朝鮮の動きに大きくかかわるものと思われる。それしても、北朝鮮自身に浄化能力がないものだろうか。