4月24日に、日本共産党がオバマアメリカ大統領に書簡を送っていた。オバマ大統領の、核廃絶に向けたプラハ演説を評価し、その指導力を発揮するようにとの書簡であった。その返書が来たとのことである。
日本共産党にアメリカ政府から返書が来たのは初めてとのことである。日本共産党は、アメリカを世界に冠たる帝国主義国家と規定していた。最近はその表現は和らいだものの、こうした政 党に返書が来ることそのものが極めて異例である。
異例なのは、共産党側も同じようである。志位委員長はこれを高く評価したのである。共産党は、かつては中国やソビエトの核実験には賛成をしていた経緯がある。党の分裂をいとわない除名者を出してまで、核実験を擁護した歴史がある。
こうした両者の関係は、これまで日本共産党の一方的な抗議と、アメリカ側のこれを無視することで継続されてきた。オバマは、共産党の意見に丁寧に答え、共産党はこれを評価したのである。
核兵器の廃絶というような、極めて高度で理念的と思われる政策実行に当たっては、思想や過去の経緯などにこだわっているべきではない。それらをすべて凌駕する核兵器の使用を考えると、日本共産党とオバマ政権のような関係がなくてはならない。
これに比して、日本政府の動きは極めて鈍重である。実質的にから文句になっている「非核三原則」を前面に出したり、外相がよく理解できない条件を提案したりしている。
オバマが唯一の核兵器使用国家としての責任を感じていると、発言している。日本は唯一の被爆国としてこれを受けるべきである。さらに、これを実行するべき基盤として日本には「平和憲法」があり、軍隊を所有していませんと、発言するべきなのである。
ところが、改憲を検討し自衛隊の海外派兵から、戦争できる軍隊へと志向する自民党では、格調高い宣言ができないのである。平和国家日本の在りようが問われていると言える。