左の表をご覧ください。FAO が今月発表した1990年からの、食料の国際価格の変動です。この21年間で、実に2.3倍になっています。(クリックすると大きくなります)
2007年までは大きな変動はありません。これは、リーマンショックを受けての、投機含みなどによる価格高騰である。
さらに昨年の、ロシアの穀倉地帯の干ばつによる穀物輸出禁止がこれを後押しした形です。リーマンショック以後に、ほぼ倍になっていることがわかる。
ところがこうした世界情勢の中にあって、日本は安穏としている。ほとんどのメディアは騒がない。どこも高騰の実感がないからである。
この時期、偶然かどうかわからないが、急速な円高化と重なっているからである。国際価格は高騰しているにもかかわらず、日本は食料の価格と供給量について、鈍感になる原因がここにある。通貨の評価は水物である。いつ円安になるかわからない。
日本は、円高によって消された食料高騰といえる。酪農家など畜産農家は大量に、輸入穀物を家畜に給与する。実際に酪農家は、これだけ円高になったのに、下がらない輸入穀物価格に首をかしげているのが現状である。
これほど世界が、食料を巡って激しく動いている最中に、こともあろうかTPP論議をする政治家たちは、日本の食料について何も考えていないといえる。
そんな時ではないのである。10月17日は世界食料デーである。ローマで開催された、FAOのこの会議では、乱高下する価格に警戒感を発している。わが国では、報道すらほとんどない。
今月世界に人口は70億に達する。大局的見地に立てば、TPP論議すら子供じみて見える。