左の表をご覧になってください。これは、穀物等の国際価格の動向です。例えば、もっとも家畜に与えられているトウモロコシは、2006年にトン当たり90ドルだったのが280ドルになっている。3倍強のです。(クリックすると大きくなります)
国際取引価格はこのように異常な高騰を続けています。本ブログで一昨日とその前の日に引用したのは、食料一般の価格動向です。アメリカが中心になって、世界に売り込む穀物は、それ以上の動向を示している。
ところが日本の畜産農家、牛や豚や鶏を飼っているは、こんな国際価格の高騰など知らないのです。農家が受け取っている、穀物(配合飼料)価格はほとんど動きがないからです。
次の表をご覧ください。この5年ほどの飼料穀物価格の動向です。3色になっていますが、一番下が農家の負担額です。トン当たりの日本円表示であるが、5年前に4万5千円ほどが5万5千円ほどになった程度です。20%程度しか上がっていない。
一つは農家が積み立てている、価格急変に対する積み立てが機能しているからです。中間の色がそうです。一番上の薄いのが、その積み立て補填額です。農家の経営安定のための自主防衛です。
しかしなんといっても大きいのが、円高である。2006年には110円ほどだったのが、現在は75円にもなっている。80%も上がっているのである。
こうして、生産者も消費者も現在起きている、きわめて深刻な世界的な食糧事情を知ることがない。
畜産農家は、海外から大量の穀物を輸入しながらも、その動向に無頓着になっている。家畜に与える大豆を含む輸入穀物は、国内で消費する人の食べる量とほとんど同量である。
穀物の国際価格が高騰するのは、投機マネーによるものが大きいが、収量不足などで食べられない人が10億もいることがなんといっても大きい。
円高になった日本は、飢餓に頓着することなく世界中から穀物を買い集めて、大量に家畜に給与している。給与された家畜は、高生産を強いられて消化器循環器など生産にかかわる、臓器の慢性的な病気になっている。
グローバル化とは、こうした食料の動向や、飢える人たちのことを考えることである。関税を撤廃し、強者が残るシステムにすることではない。
TPP論議などやって、自国の農業を疲弊させようとするのは、もってのほかである。生産者も消費者もそのことを、深刻に考えてもらいたいものである。