放射性物質汚染対策処理特措法に基づく基本方針骨子案へのパブリックコメント
私たちの住む別海町は、北海道の最も東にある平坦な台地で、酪農業と水産漁業を主体にする、人口密度の極めて低い一次産業の街です。
別海町と、同町に施設を持つ4町(羅臼、標津、中標津、別海)出資による根室北部廃棄物処理広域連合(以下広域連合)に対し、4月に東日本北海道大震災の災害廃棄物処理の協力打診がありました。国難といわれる事態に協力するのは当然のことと、一般がれきとの認識のもとに、災害廃棄物処理の受け入れを別海町は埋却に、広域連合は焼却に容認の返答をいたしています。
この時点では、環境庁は搬入依頼については「災害廃棄物」としか表現していません。さらに、放射性廃棄物の基準と処理については、科学的にかつ具体的に今後定めるとしていました。
しかし8月になると、がれき特措法が可決されました。同法52条では、全国に自治体への処理の協力依頼が明記され、21条と22条で放射性物質は外すとしています。
またガイドラインで、放射性セシュウム濃度8000ベクレル/kg以下は、放射性汚染から外ししています。結局、汚染のガイドラインは根拠も示されることなく、8000ベクレルとされました。
私たちは、従前の100ベクレルであっても不安を抱いています。8000ベクレルは十分放射性汚染物質の範囲と認識しています。国は今後さらに増えるであろう放射性汚染廃棄物を、処理にために基準を上げたと理解しています。
こうした国の基準見直しを受け、私たちは町に対して、放射性がれきの受け入れについて、町への質問と合わせる形で持ち込まれないようにと申し入書を提出いたしました。町や広域連合は災害に係る一般廃棄物とだけ認識しかなく、放射性廃棄物への認識はほとんどありませんでした。
本骨子案は、一般国民の復興支援という美名のもとに協力を呼び掛けていますが、放射能汚という特質からすれば、何よりも封じ込めることが先決と考えています。被災地に対して、行政あるいは政治家の方々は表明し難いことは十分理解しているつもりです。
今回の行政等への協力依頼は、むしろ拡散を推進する形になると思われます。その方便として、8000ベクレルと言う数字を出されたのだと思われますが、放射能についての安全基準は存在しないのが現実です。
放射性汚染物質は、汚染地域での除染やいずれ取り組むことになる原子炉の廃炉にかかわって、膨大な量になることも予測されます。
例え8000ベクレル以下であっても、私たちの町に大量に搬入されることがないかと、大変不安に思っています。一次産業を基盤とするこの町は、風評被害はもちろんのこと、冷涼な湿原地帯の当地は浄化能力も低く、きわめて深刻な実被害を受けることも予測されます。
放射性汚染物質の処理は移動を制限し、非居住区を設けるなどの現実的な対応が求められる、科学的対応だと思います。
別海町放射性汚染がれきを拒否する会