政府は日本中の自治体や、廃棄物処理業者や組合に被災地ではがれきを処理できないとして、4月に打診した。国内の574もの業者や自治体 は、可能な限り快く引き受けた。
その一方で、8月末にがれき処理の法案が国会を通ると、突如として昨年まで、100ベクレル/キロの放射性汚染の基準を、8000ベクレルに上げた。更に10万ベクレルでも管理の方法によっては、一般ごみとして扱っていいとまで言い出したのである。
政府が科学的根拠のないまま、都合に合わせて基準を引き上げ、それ以下は一般ごみと『法律上』規定したのである。
騙されたときがついた自治体や業者は相次いで、引き受けを返上したのである。11月にはわずか54にまでなった。
そしてその引き受け処理したところも困っている。秋田県では、岩手のがれきを引き受け焼却した。焼却すると放射性物質は33倍になる。秋田県知事は、8000ベクレル以上の灰は返却すると、岩手県に通知した。
ところによっては、2万8千ベクレルの灰も出てきている。こうして、いったん引き受けて焼却した灰の返却が始まっている。関東地方だけで、5千100トンにもなるそうである。
そもそも、放射性物質を移動させること自体がおかしいのである。放射性汚染物質は、閉じ込め封じ込めるのが本来である。拡散をしてはならないのであるが、政府の方針は逆である。
我々の住む自治体に、がれきの基準が段階的にあがることへの不安と、受け入れ態勢の問題を申し入れした。杞憂に終わればよかったが、こうした現実を見ると、政府の方針の問題が浮かび上がってくる。
除染も同じである。結局河川を、さらには海をそして海産物の汚染を高めることがわかってきている。校庭などの土地を剥ぐことはそれなりの意味があるが、汚染されたものの置き場はないのである。
がれきも、早くから現場での焼却とそれにかかわる利用を、検討をするべきであったのである。放射能に関する基礎知識がないままで、何処かに持っていくことばかりを考えていたことが誤りである。
政府の一貫した姿勢がないため、かえってがれき処理を遅らせ、ひいては復興への大きな負担となり遅れてしまうのである。