野田政権は27日、を大幅緩和する内容を発表した。国際協力の目的や共同開発などについては、武器輸出三原則の例外としたのである。
武器輸出三原則とは、○共産圏には輸出しない ○国連決議で禁止されている国には輸出しない ○国際紛争の当事国やそのそれのある国には輸出しない。と言うものである。1967年に佐藤栄作総理が決めた。
その後、自民党政権下で何度も、個別の案件について緩和されることはあった。アメリカへの輸出はいいだろう(中曽根)とか、アメリカの防衛システムに関してはいいだろう(小泉)とかの、個別的事案であった。
ところが、野田ドジョウ政権はそうした枠組みをすっかり外して、平和貢献なら三原則に該当しないとしたのである。
平和のためなら戦争をやるのが、国家のいわば性(サガ)のようなものである。現在作られている武器は全て、平和のためあるいは防衛のためである。それは所有者の論理である。
殺傷能力のない武器には意味がなく、能力を高かめることは、日本の平和憲法の理念に反する。同盟国間であっても武器の輸出入は、憲法に違反する。
今回の、野田政権の武器輸出三原則の大幅緩和は、党内論議はほとんどなされていない。3回ほど会合を開いただけである。
更に問題は、以前の政権なら必ず野党が噛み付いたのである。たとえ現民主党であっても、自民党のこうした動きには目を光らせていたのである。今回のこうした、民主党の変心に、最大野党の自民党が噛み付くとは思えない。
自分たちもためらっていたことを、次々と民主党は論議もなく進めるのである。羨ましく思っているに違いない。
不幸なのは国民である。全く論議されずに、こうした重大なことが、野党の反論もなく通り過ぎるのである。八ッ場ダムなどは元に戻しても、どこも反論しない。原発の海外受注も同じである。
同様のことは、TPPでも消費税でもまかり通っている。民主党は、政権能力のなさもさることながら、民主主義そのものさえ危うくしている。