支持率を落とし始めた安倍政権が、滋賀県知事選挙の予想外の敗北を受けて、来年の統一地方選挙をターゲットにし始めた。地方活性化や成長戦略に関して4兆円もの特別枠、「新しい日本のための優先課題推進枠」を設けたのである。
地方の活性化を掲げているが、相も変わらない土木事業を主体とした、バラマキ政策である。経済成長の効果は地方には及んでいないというのであるが、地方に及んでいないという、その認識は間違ってはいない。
都会の景気は回復したから、今度は地方というのである。都会で回復したのは大企業だけである。「成長戦略の最大の柱は、何といっても地方の活性化だ。成長の主役は地方」と唐突に言いだした。成長戦略の柱は女性の活用だとも言ったり、海外進出と言い出したりトリプルスタンダードの数倍の、場当たり政策である。
これを「ローカル・アベノミクス」と名付けたが、実態は従前からの土建奨励バラマキである。
景気回復についてもボロが出てきている。5月の昨年比の給与は0.6%アップしているが、物価が3.4%もあがっている。大企業の給与も一旦上がったものの、軒並み今年になって上がっていない。
金融政策で蛇口を緩めただけの、株価の変動と円安のが産んだ、見せかけの好景気がばれてきている。
地方が疲弊しているのは、短絡的な経済効率優先政策の結果である。大きくすれば効率が上がるのは、2,3次産業である。
地方の主産業である、1次産業はそうはならない。企業の効率化によって、地方から人と金が都会へ流出したのである。
地方には地方で賄える産業、農漁業や福祉それにエネルギーも、地域で生産し消費する時代になっている。21世紀は、大きくした産業が席巻するのではなく、環境効率が高く無駄のない産業を主体にする時代である。
統一地方選挙を見据えた中身のないバラマキ政策は、選挙時の集票マシーンになる土木産業を息づかせるだけである。日本が未来に残すことになる負債、財政再建を全く考えない選挙対策である。
安倍政権は未来に、大きな負債と、放射性物質と、軍事国家を残すことになる。