そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

人工知能が世界の金融市場を支配する日が近い

2015-06-02 | 市場経済
コンピューターと人間が、チェスや碁や将棋を人間の名人と戦って、勝ったの負けたのということが時折話題になる時代である。いずれは人間がかなわなくなるのではないかとか、悲哀を込めて面白おかしく報道されることが多い。

ところが今、特定の目的に開発されたコンピューター、人工知能が人間を圧倒する現場ある。金融市場である。この10年ほど、株価は企業の動向などの経済の知識のない、工学系の人材が価格の微妙な動きをとらえ、投資と購入を瞬時に決める「金融工学」とまで言われる、ゲーム感覚に近い投資が行われうようになっていた。
この分野に、人工知能が参入してきたのである。この人工知能は、過去20年のデーターを解析して瞬時に投資と購入をするのである。「クリスタル」と呼ばれるこの人工知能は、遺伝子情報の解析と情報分析に開発されたものであるが、1000分の1秒で、なんと80回もの投資と売りを行うことができるのである。金融工学と揶揄された人間さまでも叶わない。この時間差で、コンピューターを駆使する人間に勝つというのである。
人工知能は、人間が誤った投資にも反応し、混乱することもあるくらい正確に機能する。
超高速取引をを繰り返す人工知能を導入したある企業は、6年間で損失を出したのが、僅か一日だけという報告もある。先ごろ、ニューヨークで、人工知能による投資を3か月間競う大会があった。優勝した投資家は3カ月で、48%の利回りであった。
昨年のアメリカの金融取引の半分は、人工知能によるものであったとのことである。人工知能を導入した投資家の、運用利回りは30%だったということである。

「もうすぐ相場を『予知』する能力を手に入れるだろう」と専門家は予測している。そうなった時に、株価とはいったいなんであるのか、資本主義そのものの根幹が問われることになりはしないか。
投資とは、有望な企業を社会が育てるという、本来の目的があったはずである。瞬時の購入と売りを操る、金融工学そして人工知能の登場である。こうした取引の規制に、ノーベル経済学賞受賞者のジェームス・トービン氏が提唱した、”トービン税”の導入を検討すべきである。私はこのブログで、6年前に「今こそトービン税の導入を」を書いた。世界同時でなければならないが、一取引に0.005%課税せよというのである。
でなければ、やがて人工知能は人類を席巻することになる。金融資本主義のなれの果てである。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港