自民党の二階官房長官が、不要不急の集会が禁止される中80名もの党員を前に、「食うもの食って寝ていれば感染なんかしない。人間の体はそうできている。」と述べた。二階俊博は無知である。その上、政府の自粛要請を破って開催された、政権与党の不用であって不急の集会である。政権与党のトップの言葉と行動は現に慎まれてしかるべきである。
しかし、二階のこうした浮ついた意識は、安倍晋三をはじめとする政権内にはびこっているものといえる。1月16日に台湾同様の行動をとっていれば、すなわち中国からの入国禁止である。この時政権は、「ヒトヒト感染は起きていない」などと、自らが楽になる、耳触りのいい情報を根拠なく取り入れ、漫然と春節に沸く武漢の観光局を受け入れた。
北海道の感染が全国に先駆けたのは、雪祭りに大量の春節休暇の中国人を迎え入れたからである。クラスター対策が示される前の発病者はほとんど雪祭りに関係していた。1月28日に武漢の女性の感染が確認されると、半月後から全道にばら撒かれるように発病者が続出し、北海道が日本の感染者数のトップを占め長い間譲らなかった。このことは、政権の初期対応の失態を象徴する出来事であった。それを裏付けるのが、政権与党のトップ二階の意識である。
その意識そのままなのが、世界に例を見ないと豪語した108兆円の新型コロナウイルス対策である。日本の補助事業はいつもこんなスタイルである。農村に数えきれない国の補助事業が下りてくる。農業補助でありながら、農民には雀の涙ほどのものしかない。周辺産業に多くの金が配られる日本の補助事業そのままなのが、108兆円の対策である。詳しくは機能の本ブログを参考にしていただきたい。
国内だけの事業なら、地域が潤うというメリットがあるが、世界の視線を受ける場になると恥ずかしい限りの内容になる。
中国の陰謀だの民主党のフェイクニュースだのと、初期対応が遅れたトランプのメリカでさえ、真水としての金、国が直接負担しその金を国民に返す金を、220兆円さらにもう200兆円払うのである。事業規模ではない。香港は個人に14万円、韓国ですら7割に8.9万円支払い、イギリスドイツフランスも真水の金を国民に配布する。
国の要請による損害補填であるが、日本にはそうした考えはなく支払う気もないと安倍晋三は断言する。政治の責任を取らないということである。そこで出された、対策とは言えもしない恥ずかしい事業規模108兆円対策である。
緊急事態を口実にして独裁国家となることがしばしばあると、イスラエルの評論家ウバル・ハラリ氏が喚起する。権力を集中させるための法律や制度を作り上げる、政治的クーデターをしっかり監視しなければならない。民主主義とは権力を監視し、犯した間違いを指摘することである、という。安倍晋三はそこまで悪知恵を働かせる能力があるか疑問ではあるが、流れとして行きそうな気もする。そのために意図的に初動対応を怠り、緊急事態を引き起こしているのかと思われもする。我々がいくら監視しても、メディアが権力者に忖度し、官僚が取り込まれた現状では、ハラリ氏の指摘する民主国家とは程遠い国家の形態といえる。