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プーチンは末期がんだとか、パーキンソンを患っているとか、プーチンは政権内で孤立しているなどという情報が西側メディアが賑やかである。こうした報道については、多分に希望的で恣意的な力が働くものである。
私自身もプーチンがどんな理由でも構わないから、失脚してほしいとは思う。多くの人もそう希望しているであろうし、希望的報道は大きく聞こえるものでもある。
現在ロシア軍がウクライナ各地で敗退していることが報道されている。西側の最新兵器が大量に投入されるようになった結果かと推察される。ロシア側からの反論もほとんどなく、ウクライナ側の明確な映像はふんだんにある。ロシアの敗退は事実なのであろう。ハリキュウ辺りではロシア国境まで押しやっているところもある。
CNNでは数十人のロシア兵の死体が並んでいたが、ロシアが言うような俳優を使っているとは思えない画像であった。兵士は死体の数を喜んで数えることなどなかった。
フィンランドに続いてスウェーデンもNATO加盟申請に踏み切るが、これはプーチンの大きな誤算であった。新規加盟の承認は全加盟国の賛成が必要であるが、懸念されていたロシアに近いトルコも賛成に回るようなので、早急に二国は加盟することになるだろう。軍事同盟だけではなく、プーチン後のロシアの影響を最小限に食い止めたいことも働いている。
NATOの東方進出を食い止めることを、ウクライナ侵略の目的に掲げていたはずである。ロシアが民主的であれば、プーチンの失政は国民によって厳しき咎められることになるはずである。
因みに日本では安倍晋三がいくら失政を繰り返し悪事を重ねたとしても、失脚しないのは同じ理由で、民主化されていない証左に他ならない。
そこでプーチンは、CSTO(集団安全保障条約機構:ロシア連邦、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの6か国 )を16日急遽招集した。冷戦時代のワルシャワ機構には程遠いCSTOである。最もロシアに近いベラルーシでも土地は貸してはいるが、兵士は送っていない。2020年の大統領選挙では圧倒的に不利であったルカシェンコが圧勝している。国民の多くは新たな体制を望んでいる。ルカシェンコは政治基盤は脆弱である。ウクライナに人道支援をしているカザフスタンは、対独戦勝記念日でパレードを行っていない。
この席でプーチンは二国のNATO加盟は問題ないと述べたが、NATOの進出には言葉尻から強い不安を抱いているのがわかる。この席では恫喝めいたことは口にしなかった。これはフェイクニュースではない。
ロシアはこの戦争の出口を失ってしまった。少なくとも健康なプーチンに納める裁量はない。