リクードを率いるネタニアフは、政権の座に一昨年暮れに三度目の返り咲きを果たした。イスラエルの国政選挙は、個人名を投票するのではなく、数多くある政治政党を選択して国民が投票するのである。国会議員は政党の得票比率によって振り分けられる。
毎回数多く乱立する政党がその都度話し合って、無数の組み合わせが出来て多数党となって政権を担うことになる。政権を取った右派のリクードは、連立を組んだ政党毎に右へ左へ大きく政策が揺れることになる。ネタニアフは連立の天才と言われる。選挙ごとに連立の相手を変えてきた。
ネタニアフは、ガザとヨルダン川西岸をパレスチナ自治区とし、暫定政権を認めたオスロ合意を、やがてパレスチナ国家の存在となることを真っ向から否定する。連立を繰り返してネタニアフは、6期16年首相を務める。イスラエル最長の首相として、「KING BIBI」と呼ばれるようになった。
2022年にネタニアフは返り咲きに組んだのは、極右翼の最も過激な二つのグループである。ユダヤの力党首イタマル・ベングビールと宗教シオニズム党首ベツァレル・スモトリッチである。彼らは議席を増やし、過激な活動をする二人を閣僚に招き入れた。史上最も右寄りの政権と言われるようになった。
パレスチナの地は、ユダヤ人が神に与えられた約束の地と言って憚らず、入植地を自在にできるよう法律の作成を彼らは望んでいる。
2023年ベングビール国家保安相は、アラムアッシャリフを訪れた。ここはイスラムの聖地で異教徒は訪れてはならないところである。明らかな挑発行為である。
イスラエルはアルアクサ・モスクのイスラム教徒を逮捕する事件が起き、世界的問題になった。
そして昨年20月7日にハマスは、音楽祭を襲い1200名を殺害した。ハマスはこの攻撃をアラムアッシャリフのモスクの名を取り、アルアクサの洪水と名付けた。イスラエルの攻撃はガザ全域の壊滅的攻撃を始めた。すでに4万人を超える死者をだし、今またヒズボラ壊滅のためとレバノンに地上攻撃を止める動きはない。
ネタニエフは、戦闘を続けることで支持率を上げ着々と入植地を増やしている。
9月1日、ネタニアフの戦争継続を止めさせるようにと、20万人の過去最大のデモが行われた。しかし、ネタニアフのとる行動は、ハマスとヒズボラの最高責任者を国境を越えて殺害することであった。ネタニアフ自身の汚職事件の起訴から逃れるために、彼は戦闘を続けるのである。