金正恩は韓国を、同一民族もっとも近い国と言って憚らなかったが、ロシアのウクライナへの侵略以降、その方針を大きく転換した。
韓国企業の受け入れをしていた、ケソン(開城)の共同開発していたはずの工場を爆破して、金正恩の妹の金与正が息巻いていたが、今度はそれに至る道路と京義線と東海線まで爆破したのである。
このところ風船の飛ばし合いをしていたが、一気に情勢は悪化した。北朝鮮が南北連結道路の一部を爆破したのは南北の陸路を完全に遮断し、「要塞化」するための工事を行うためとみられる。
ロシアという巨大なバックアップを得た金正恩は、限りないミサイルの発射を繰り返し、核開発にまで手を出し存在感を大きくしている。今年1月金正恩は、憲法に韓国を「主敵」と明記するよう指示している。
もう一つ大きなことは、北朝鮮国民が韓国の文化にあこがれを持たないための、物理的見せしめであろう。何より現政治体制を守るためである。
南北友好の象徴的事業の爆破は、朝鮮半島の厳しい状況を象徴するものとなる。北朝鮮の非核化を目指す、六者協議のような対話と説得が必要なのであるが、南北が対立をしてくれることを望む国がいるからこんなことになるのである。外交を対話から対立に向かわせ、安全保障な度と言い続ける愚かな為政者どもが跋扈する。