そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

TPP論争などしている場合ではない

2011-10-21 | 政治と金

Foodpriceindex_oct_en 左の表は、昨日と同じくFAOが今月発表した食料の国際価格の、年度ごとの動向である。2002-2004年を100とした、月ごとに変移である。

毎年、在庫が豊富な、北半球で作付けされる春には低く、収穫期に向かって、高くなっている。ところが今年(赤線)、は高い水準を示しそのままである。

しかも、数年前の2.3倍で推移している。世界の食料価格は、極端に高くなっていて、しかもそれが下がらない。2008年も前半は今年と同様の動きをしていたが、リーマンショックの反動で、一旦上がった価格が下がっている。

穀物価格の動向は、一つには新興国の経済成長と人口増加である。これはある意味、物理的な動きでわかりやすい。

もう一つの要因が、投機マネーである。これは、人口の動向や収穫の過多とは無関係である。投機マネーが、穀物を買い付けるのであるが、食料を確保してそれを販売するのではない。単に、投機の対称にしているだけである。

リーマンショックの後は、石油を買い付けていたマネーが買い込んだのである。幼いころ、親に食べ物を粗末にするな、お百姓さんを思って残さず食べろ、食べ物で遊ぶなといわれたが、まさしく投機マネーは食べ物を粗末に扱い、遊んでいるのである。

モラルが通用する相手でないことはわかっているが、世界の10億人が飢える原因にもなっているとなると、何らかの規制があって然るべきであろう。食べ物に限らない。金融経済は、実体経済とかけ離れて存在する、虚業の世界である。ウオールストリートのデモはその意味で、現実を反映している。

今月末に世界人口は、70億に達する。今世紀初頭には、20億人になったが、10億人増えるのに125年要している。ところが、60億人になったのが1999年であるから、わずか12年で10億人増えたことになる。やや鈍化したというものの、驚異的な人口増加である。

投機マネーにいいように買い込まれ、もてあそばれている場合ではない。食糧問題は、深刻なりつつある。特に海外依存の高い日本は、しっかりした農業への取り組みが求められる。

リビアのカダフィは殺害されたが、食料自給率の低いエジプトのデモの発端は「パンと自由」である。中東はどの国も、小麦輸入大国である。

日本は、目先の経済的効率のみを追求する、TPPなどというものを論じている時ではないのである。

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1 コメント

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おかまいなければ、ブログ「サロン金曜日@高知」... (サロン金曜日)
2011-10-23 08:40:37
おかまいなければ、ブログ「サロン金曜日@高知」に、転載させてください。
先生のご意見、いつもそのとおりと思って読ませていただいています。
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