日産自動車のカルロス・ゴーン会長が逮捕された。この5年にわたり、有価証券報告書に報酬を50億円近く過少に記載していたという容疑である。この5年間の報酬は、50億円であるから、倍の金額を隠していたことになる。更に分かっただけでも、4件の数億円する住宅を関連会社に購入させて、自らに提供させていたことも判明した。
平成11年に社長に就任し、一兆円を超える赤字を単年度で償還して、日産を一気に世界二位の自動車会社に押し上げたその手腕は高く評価されている。更には、我々門外漢には良く解らないが、三菱自動車やルノーと提携関係にしていくのである。三菱では会長ルノーではCEOの座にある。リーマンショック後も見事回復して
経営危機を乗り越える度に、ゴーン会長は権力をより高めてきた。経営手腕といっても、巨大化した冗漫な施設を売りさばくというものである。ある地域では日産の工場撤退で、大量の労働者が職を失い町全体が冷え込んだ。
しかしながら、20億円もの報酬を得ながら、半分を隠して更に超高級住宅を何棟も買わせる。庶民には信じられない。お金持ちはもっとお金が欲しくなる。私欲が膨らんだ結果であろうが、汚いというほかない。
奇妙なのは事情聴取で即逮捕という事である。どうやら国内第二例目の司法取引が行われた、内部告発に近いことがあったようである。ゴーンの不正の実態は良く解っていないが即日逮捕は、少なくとも政治家に対する姿勢とは大違いである。
日本の司法は政治判断を回避する。甘利の不起訴や、森友問題などでも立件を見送った判事は見事に栄転しているし、累々とした証拠が重ねられても加計学園は起訴もされていない。
フランスはニッサンを引きずり込んでドイツと並ぶ業界の覇者になりたがっている。ところがトヨタに次ぐ地位のニッサンをフランス企業には渡したくないと言うのが日本の経産省と日産の日本人側経営陣の思惑が一致したのでしょうね。
日本の産業界でもグローバル化を叫んではいるものの、いざ買収劇が始まると保守的ふるまいをする傾向が強い。
日本の企業は優秀なのだ、技術は世界一だ・・といつまでも信じ込んでいる。とくに経産省の官僚の脳みそは世界一の幻想に支配されている。
以前シャープの買収作戦でホンハイの戦略に苦杯をなめた経産省の役人は検察を使う奇策に打って出たのだろう。
自社を守る、社員を守る、自国産業を守る、一見世論受けは良いがトランプが言っている事とどこが違うのだろうか。
ことは民間企業トップの金銭不祥事。グローバル化の波の中でうごめく巨大資本ではさも有りの話だ。
経営役員や会計監査組織がまともであればこうはならないはず。巨額の法人資金の動きをコントロール出来なかった事は日産そのものの旧体質まで改革できなかったのだろう。
それにしても役人と政治家の犯罪・背任行為に検察のルーズさには言葉がない。検察とはただの犬と思ったほうが良い。