日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

「利休にたずねよ」(山本兼一著)を読む

2012-05-19 07:05:25 | 
直木賞受賞作。
秀吉に切腹を命じられた千利休という人間を、時間を遡りながら短編で綴ってある。
秀吉とのかかわり方、茶の湯に侘びさびの美を表現し、茶道具の美がこんなに一世を風靡していたのかと、その時代を感じられる作品でした。

文章が読みやすく、学校の日本史で知った程度の知識しかなかった私には、よい本でした。
君主には絶対服従の世界がまざまざと展開する。無茶であっても通る。気に喰わないと無理難題や、ちょっとのミソで首をはねることが出来る。現代でよかった!と思うし、きっと、人々の「生きている」ことの捉え方そのものが、私たちと違うのだろうな、と思いながら読みすすめた。

利休の賢さは、秀吉を感服させる賢さでもあったのだけれど、70になって、秀吉の意に即輪なくて切腹を命じられたとき、謝れば命は免れるのでは、という周りの説得に応ずることなく、命を落とす。
長らく秀吉に使え、何が最善か行動してきたのだけれど、「もういい」だったのかも知れない。

余談
きっと、その年齢だから、病気をわずらっており余命いくばくと自分でも判っていて、この死に方を受入れたのかも。
藪の中。
コメント (3)
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