下巻の半ばに入ったところ。
ロースペースだけれど、含蓄のある内容の中にいるのは、満ち足りた気分です。
主人公大村益次郎(大村蔵六)はシーボルトの娘イネとの交流が厚い。
イネとの縁で、長州の港に停泊していた英国の船に乗り、船長と会話を交わす。
船長は英国人だと思っていたら、アイルランド人とのこと。アイルランドがイギリスに侵略された悲惨な実情を聞く。
イギリス貴族はアイルランドに農地を持っているという言い方をするけれど、すべて不在地主で、アイルランド人から取り上げたもの。貴族は常に地主である、という船長にいたして、蔵六は言う。
日本の(貴族階級にあたる)武士は、だれも土地を持たない。土地を持っているのは農民や商人です。武士は土地を持っている者に対して税を徴収する権利を持っているだけです、と。
英国船の船長はどうにも信じられない、という風であったと記す。
で蔵六、この国の武士は中農程度の暮らし向き、いや貧農以下にひっ迫している武士もいます。この国も近いうちに、支配するものが武士から農民や商人の社会に変わるでしょう、とも。
過渡期が書かれています。
価値観としては、蔵六は「殿様は偉い」という確たる考え方の人とも書かれています。思想家ではなく、優秀な翻訳家、技術者の蔵六であっても、このままの体制が続かないのではというとらえ方は秘めているのです。
で、今。
「AI時代の到来」という情報は入ってきます。
これも、グラリと世の中が変わった時代と通ずるところがあるのでは、と考えたりも。
前記事に書いた、仮想通貨の出現もそのひとつのような気がします。
殿様がいて当たり前の社会だったのが、退場したのですから、どういうこともあるうる、そういう枠を広げて考える必要を思います。
「余談です」とか「余談つづく」
と断って、蔵六を離れた、その時代描写もたっぷりあるから、見出し程度しか知らなかった時代に、とっぷりと浸れます。
歴史小説かもしれないけれど、一冊の本を書くのに軽四トラックいっぱいの分くらいの古書を買い集めたという司馬さんの書いたものに浸れるのは至福です。
ロースペースだけれど、含蓄のある内容の中にいるのは、満ち足りた気分です。
主人公大村益次郎(大村蔵六)はシーボルトの娘イネとの交流が厚い。
イネとの縁で、長州の港に停泊していた英国の船に乗り、船長と会話を交わす。
船長は英国人だと思っていたら、アイルランド人とのこと。アイルランドがイギリスに侵略された悲惨な実情を聞く。
イギリス貴族はアイルランドに農地を持っているという言い方をするけれど、すべて不在地主で、アイルランド人から取り上げたもの。貴族は常に地主である、という船長にいたして、蔵六は言う。
日本の(貴族階級にあたる)武士は、だれも土地を持たない。土地を持っているのは農民や商人です。武士は土地を持っている者に対して税を徴収する権利を持っているだけです、と。
英国船の船長はどうにも信じられない、という風であったと記す。
で蔵六、この国の武士は中農程度の暮らし向き、いや貧農以下にひっ迫している武士もいます。この国も近いうちに、支配するものが武士から農民や商人の社会に変わるでしょう、とも。
過渡期が書かれています。
価値観としては、蔵六は「殿様は偉い」という確たる考え方の人とも書かれています。思想家ではなく、優秀な翻訳家、技術者の蔵六であっても、このままの体制が続かないのではというとらえ方は秘めているのです。
で、今。
「AI時代の到来」という情報は入ってきます。
これも、グラリと世の中が変わった時代と通ずるところがあるのでは、と考えたりも。
前記事に書いた、仮想通貨の出現もそのひとつのような気がします。
殿様がいて当たり前の社会だったのが、退場したのですから、どういうこともあるうる、そういう枠を広げて考える必要を思います。
「余談です」とか「余談つづく」
と断って、蔵六を離れた、その時代描写もたっぷりあるから、見出し程度しか知らなかった時代に、とっぷりと浸れます。
歴史小説かもしれないけれど、一冊の本を書くのに軽四トラックいっぱいの分くらいの古書を買い集めたという司馬さんの書いたものに浸れるのは至福です。