詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

詩はどこにあるか(47)

2005-06-15 00:27:10 | 詩集
寒山(「中国詩人選集5」岩波書店)

 「鳥弄情不堪」を読む。5目。

旭日銜青嶂


 青い嶺から顔を覗かせている太陽。太陽が稜線に銜えられているように見える。――これは、私の感覚からするとかなり奇妙。沈む夕日が稜線に銜えられているように見えるというのは感覚的にすっきりするが、のぼる朝日が稜線にくわえられているとは……。

 この行を入矢義高は「朝日は青い稜線から吐かれようとし」と訳している。

 ああ、この訳はいいなあ、と思わずうなる。
 口の中に入っている状態を「くわえる」という。口の中に入っているとき、状況は2通りある。飲み込むため。吐き出すため。

 中国語から日本語、中国人の感覚(?)から日本人の感覚への意訳。その精神の運動の中にある飛躍――肉体をくぐりぬけた飛躍。
 そこに「詩」がある。
コメント
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