詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

Estoy loco por espana(番外篇96)Joaquín Llorens

2021-01-02 15:46:17 | 考える日記
Joaquín Lloréns
Técnica hierro
70x50x30
Serie. Cuatro elementos




¿Por qué es difícil apoyarse mutuamente?
Al soportar, el peso se vuelve insoportable.
Cuando pienso en por qué tengo que apoyarlo, me abrumo.
Pero, ¿y si no estoy apoyando a alguien, sino alguien esta apoyando a mi?

¿El hemisferio inferior sostiene al hemisferio superior o lo sostiene el hemisferio superior?
Cuando lo miro, lo pierdo gradualmente.

Creo que el arte es lo que nos dice que hay algo que no entendemos sobre nuestra "ansiedad".


支えあうことがむずかしいのはなぜだろう。
支えていると、重さが耐えられなくなる。
なぜ、支えなければならないのか、と考えると気も押しつぶされてしまう。
でも、支えているのではなく、支えられているのだとしたら?

下になっている半球(半円)は上の半球(半円)を支えているのか、あるいは上の半球によって支えられているのか。
見ていると、だんだんわからなくなる。

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高橋睦郎『深きより』(27)

2021-01-02 15:05:13 | 高橋睦郎『深きより』


高橋睦郎『深きより』(27)(思潮社、2020年10月31日発行)

 「二十七 悪の華くらべ」は「河竹黙阿弥」。

 ボードレールの「悪の華」を引き合いに出し、「白波五人男」のことを書いている。その終わりの部分。

なに僕とて真面目は立前 紙の上での悪行三昧
謳う勧善懲悪とは お上を憚るうはべの口実

 とある。
 そうであるなら、この「論理」もまた、だれかを憚る上辺の口実ではないだろうか。偽装は「僕」と書いて「あたし」と読ませるところにも垣間見ることができる。
 だいたい「悪」とは何なのか。
 それは前半に書かれている。「悪」とは定義されずに狂暴に振る舞っている存在がある。

見直せば はだか身に長襦袢の前髪立ち
女と見紛ひ見取れた刹那 見返された目つきの凄さ

 「女と見紛」う美しさ、「見取れ」る美しさ。「悪」にとって重要なのは「見紛う」だろう。そして「見取れる」だろう。「間違っている」けれど、「見取れる(引きつけられ、誘い込まれる)」ものが「悪」なのだ。単純な美しさは「見紛う」ことはない。
 しかし、それよりもさらに重要なのは「見返された目つきの凄さ」の「見返す」という動きだ。「見返す」は「誘い」でもある。「ついて来られるわけがないだろう」と拒絶を投げつけることで、誘っているのである。
 ここには「矛盾」があるのだ。矛盾を生み出してしまうのが「悪」だろう。

 この詩では先に書いたように、高橋は「僕」と書いて「あたし」と読ませている。これまでの作品に出てきた「わたくし」「わたし(これは一回限り)」とは違い、一種の「間違い」を含んでいる。「嘘」を含んでいる。しかし、それは「悪」と呼ぶにはあまりにも弱い。
 なぜ、この作品だけ「わたくし」と書かずに「僕(あたし)」と書いたのか。「わたくし」と書いて、同じ嘘、同じ「悪」を書こうとしなかったのか。






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塩嵜緑『庭園考』

2021-01-02 13:47:54 | 詩集


塩嵜緑『庭園考』(書肆山田、2020年12月25日発行)

 塩嵜緑『庭園考』のなかに歴史を題材にした作品がある。「斗(ひつきぼし)」と「時守」は短篇小説のような味わいのある作品である。ことばの運動が「物語」を形成してゆき、最後に「おち」のようなものがある。「おち」は、それまでの言葉の運動(論理)を別の観点から見つめることで、「物語」を解体し、「詩」に再結晶させる働きをしている。
 「時守」。

時を知らせる
鉦を打とうとしたとき
目眩がした

と言いおくべきか

陽にあたたまった野を
低く浮遊していた蝶が
鐘楼に飛び来て
私をひと巻き ふた巻きした

気がつけば
鉦を打つ間合いを失っていた

蝶は
かすかな金属音をたて
きらびやかな黄の色を見せ
ふたたび
野に戻っていった

音のずれた私を気づかう
太鼓に頭を下げて
ふたたび鉦を打った

音をはずしたのは一度きりであったが
蝶が私のまわりを遊び飛んでいたのは
この世の時間の
数倍ながい時間であった

 「詩」はここでは、「この世の時間の/数倍ながい時間」と定義されている。完結で美しい定義だと思う。途中の「蝶は/かすかな金属音をたて」の金属音は、蝶の羽が鉦に触れる音だろう。それは時守だけが聞くことのできた「詩」の時間を告げる音である。これは塩嵜が書こうとしている「詩」を象徴している。
 塩嵜はことばを俯瞰的に眺め、それを統合する(制御する)力をもった詩人だといえる。
 この、ことばに対する制御力は「短篇小説風」ではない作品にも感じられる。
 「庭はだれのもの」の全行。

土を均し
煉瓦を並べ
花壇を拵え

実のなる木
風と話す木を植え
円卓に布をかけ
紅茶を飲み
晴天の向こうがわを眺める

柑橘を蝶は好み
トリネコを蝉は愛し
座りの良い枝ぶりに
鳥は巣をかけ

私のいない時間に
草木は伸び
花木は
老いながら蕾をふくらませ
鳥は卵をあたためる

庭はだれのもの

 「私のいない時間」という一行が完結で美しい。私がいなくても時間は存在する。それは同時に、私がいなくても世界が存在するということである。世界と時間の「非情さ(人間を気にしないありよう)」をそのままそっくり塩嵜は受け入れている。
 この瞬間。
 私は、塩嵜が「私(塩嵜自身)」超越し、たとえば、「実のなる木/風と話す木」になり、あるいは「座りの良い枝ぶりに/鳥は巣をかけ」るときの「鳥」になり、同時に「枝」にもなっていると感じる。
 「非情」を受け入れた瞬間、「自我」は解体し、「自然」と一体化する。その区別はなくなる。
 「庭は(庭にある存在は)だれのもの」と塩嵜は問いかけているが、だれのものでもない。「庭」が塩嵜でゃり、塩嵜が「庭」なのだ。
 俳句に「遠心・求心」ということばがある。塩嵜は、そういうものを詩で描いているといえる。






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