韓国の国会で、在日韓国人をはじめ韓国籍を持つ在外国民に対し、
本国の大統領選挙や国会議員選挙への投票権を付与する法律が
成立する見通しだとのこと。
実施は2012年が予定されており、投票方法などの細目は、まだ
決まっていないようだ。
今日、本国の公職選挙法改正を見つめる在日韓国人社会の
反応を紹介する関連記事を興味深く読ませてもらった。
少し長くなるが、全文を翻訳練習してみた。なお、紙面の都合で
韓国語本文の引用は省いている。
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■<재외국민 투표 반응> 일본
<在外国民投票に対する反応> 日本
(連合ニュース 2月1日)
・歓迎と期待の一方で憂慮の声も...否定的側面も考慮しなければ
韓国国籍を持ちながら韓国国内に住所がない在外国民に
選挙権を付与する公職選挙法および関連法改正案の国会
通過を目前に控え、在日韓国人社会でも歓迎ムードが広がる
一方、一部には憂慮する声も聞こえる。
在日団体や在日韓国人社会では、長い間の懸案事項だった
在外国民の本国選挙参加に道が開かれることに対し、おおむね
歓迎ムードが広がっている。しかし、実際に選挙が実施される
過程で、本国の与野党間の尖鋭な対立構図が在日社会に
亀裂を生み出す恐れもあるとして警戒する声も少なくない。
また、本国の各種選挙に際し、日本で韓国の選挙法に違反する
行為が発覚した場合、これをどう取り締まるのかといった問題など、
解決を要する課題も多い。そうしたことから、今後の関連法整備や
施行令制定の過程では、各国における同胞社会の特性を十分に
考慮に入れた細心の配慮が必要だと指摘する声もある。
60万人にのぼる在日韓国人の権益保護をかかげる在日本
大韓民国民団(以下、民団)のソ・ウォンチョル国際局長は1日、
「グローバル化が進む現代社会にあって、出生国以外の国で
生活する在外国民が毎年増加している」として上で、「しかし、
これまで、在外国民の権利や地位が本国に居住する国民に比べ
相対的に低かったことが、本国に対する関心の低下や居住国の
国籍取得などを招いてきた側面も否定できない」と語った。
さらに、「選挙法の改正は、本国に対する愛着を一層高め、
同時に本国の発展に貢献しようとする新しい動機を生み出す
効果がある。何より、在外国民の地位向上に道を開くことに
つながるものと期待している」と語った。
もちろん、予定される2012年の選挙参加までにはまだ時間もあり、
現在、日本国内の韓国人社会で選挙法改正をめぐり目立った
動きは起きていない。
しかし、一説には60万人以上にのぼると見られている在日
韓国人の票の行方が、大統領選挙や国会議員選挙で決定的な
キャスティングボートとして作用する可能性もあり、実際の選挙と
なれば、在日社会も決して平静ではいられなくなるというのが、
在日社会の一致した見方だ。
特に民団の場合、在日韓国人社会を代表する団体としての性格を
持っており、本国の政界との関係の持ち方に頭を悩ませていると
言われている。これまでも、与野党の代表や大物政治家が
日本を訪問すれば、必ず民団指導部と会見して来たが、今後は、
民団に対する与野党の働きかけが一層熾烈化するものと
予想される。
民団の活動方針に批判的な在日韓国人らの間で、新しい
団体の組織化を模索する動きも活発化する可能性が高い。
すでに、東京新宿のコリアタウンなどを中心に、民団に批判的な
韓国人らが新しい組織を作る必要があるとして、論議を進めて
いる状況だ。
民団が在日2世、3世を中心に運営されている一方、新しい
組織化を求める韓国人らは、いわゆる「ニューカマー」と呼ばれる
20~40代の世代で、若い頃、日本に渡り自らの手で日本での
生活を築いて来た人々が多いと言われている。
選挙実施をきっかけに在日韓国人社会に分裂が生じ、政治的な
信条の食い違いから激しい対立状況が生まれる恐れもあるとして
憂慮する声も少なくない。選挙戦が山場を迎え、本国での対決
ムードが尖鋭化すればするほど在日韓国人社会でも支持候補や
支持政党の違いから離合集散が起きるなど、本国の政治的
構図が日本にもそのまま持ち込まれる可能性もあるのだ。
匿名を条件に取材に応じたあるニューカマーの在日韓国人は、
「今でも本国の選挙になれば同窓会や郷友会(地縁組織)などを
中心に会合を持って、本国の政治を話題にしているのに、実際に
投票に参加できるとなれば、一層組織化が進むだろう。そうなれば、
選挙ブローカーなども登場し、いろんな問題が起きる可能性もある」
と語った。
また、選挙法に違反する事件が起きた場合、どの機関が
取り締まりを担当し、どういう処罰を与えるのか、などの問題に
ついても明確な規定が必要だと指摘する声もある。
在日韓国大使館のある関係者は、「選挙に関わる犯罪が発生
した場合、誰がどう処理するのかなど、いろいろな問題が残されて
いる。今後、関連法の整備や施行令の制定などを進める段階で、
こうした問題点を十分に考慮し対応して行く必要があるだろう」と
語った。
一方、在日韓国人社会の一角では、在日韓国人の本国選挙
への参加が、現在、民団が中心となって推進している日本の
地方参政権獲得運動に、むしろマイナスに作用するのでは
ないかとして憂慮する声も上がっている。
現在、自民党と連立政権を組む公明党や野党第1党の民主党が、
在日韓国人など永住外国人に対する地方参政権付与を積極的に
検討して行くとの方針を明らかにしている。しかし、在日韓国人が
韓国の大統領選挙や国会議員選挙に参加することになれば、
「韓国と日本の両方の選挙に参加するのは問題だ」として地方
参政権付与に反対する日本の保守的世論が勢いを増す恐れも
あるとの見方も出されている。
(終わり)
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