その存在は知っていたが、できれば見たくなかった韓国映画が、
慰安婦問題を扱った映画である。
しかし、ついにと言うべきか、この週末、その慰安婦問題をテーマに
した映画を2本も見てしまった。
史実や事の是非とは全く別次元の問題として、映画に投影された現代
韓国社会の慰安婦認識を探(さぐ)るという観点では、非常に有意義な
映画だった。
なお、2010年代後半に制作された韓国の慰安婦関連映画を見る場合、
それ以前に大きく表面化した日本の右派政治家や右派メディアによる、
いわゆる河野談話を否定しようとする動きを忘れてはならない。
そうした日本の動きに対する強い反発が、直接的、間接的に慰安婦
映画の制作やヒットにつながったことを思えば、韓国の慰安婦映画は、
いわば、日本の右派と韓国ナショナリズムとの「共同作品」とも
言えるのだ。
以下、この週末の韓国映画鑑賞記録である。
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■귀향 「鬼郷」 2016年 〇----
(197)
2016年、350万を超える観客を動員した慰安婦問題関連最高の
ヒット作(年間12位)。
実在の元慰安婦の証言を元に作られた抒情的な告発映画である。
△日本軍に連行される朝鮮人少女(「鬼郷」より)
ただし、大幅な脚色も加えられており、日本軍兵士が朝鮮の村から
少女を強制的に連行するシーンなどは、それが史実かどうかは別と
して、現代韓国社会の慰安婦認識がそのまま投影された脚色と見て
よいだろう。
△慰安婦を虐殺するシーン(「鬼郷」より)
また、日本軍が朝鮮人や中国人の慰安婦を虐殺するシーンなども、
歴史的根拠に欠ける脚色と見られる。(上記の虐殺シーンについては、
朝鮮人ゲリラの活躍、妨害により主人公は生き延びる)
なお、この映画には、朝鮮人慰安婦の境遇に同情し、慰安婦の銃殺に
抵抗したために日本軍から銃殺される日本兵(架空)も登場する。
最後に、この映画に対する評価とは別に、せめて、異郷の地で命を
落とした日本人を含む多くの慰安婦の魂に対し追悼の誠を捧げておく。
■귀향,끝나지 않은 이야기 「鬼郷、終わらない物語り」 〇----
(196)
興行的に成功を収めた前作映画「鬼郷」(2016年公開)から現代を
生きる元慰安婦のお婆さんのドラマや朝鮮人ゲリラの活躍シーンなどを
削除し、替わりに実在の元慰安婦のお婆さんたち数名の証言映像などを
加えながら、ドキュメンタリー風に作り替えた作品。
日本軍による連行や虐待、銃殺などのシーンは、前作とほぼ同じ。
■악의 연대기 「悪のクロニクル」 〇〇〇--
(195)
2015年、210万を超える観客を動員したサスペンス映画(年間13位)。
無実の父親に罪を被せた刑事らに対する息子の哀しい復讐劇。
■공범 「共犯」 2013年 〇
(194)
2013年、170万を超える観客を動員したサスペンス映画(21位)。
新聞記者志望の女性が、父親の過去に疑惑を抱いたことをきっかけに、
彼女の知らなかった衝撃的な事実が次々と明らかになっていく。
(終わり)
■바비 「バービー」 2012年 〇〇---
(193)
この映画だけは見たくない、と思っていた映画を結局、見てしまった。
国際養子縁組を隠れ蓑にした、子どもの臓器摘出を目的とする
人身売買を告発した社会派のフィクション映画だ。
アメリカに憧れ、バービー人形になりたいと夢見る韓国人の少女が、
自分の運命も知らないまま、子どもの心臓を欲するアメリカ人の
「養子」として買われて行く。
△臓器目当てに買われた少女(「バービー」より)
いくらフィクションとは言え、よくもこんな残酷で醜悪な映画を
作ったものである。
ただし、この映画を荒唐無稽な作り話と言って済まされない闇が、
国際養子縁組の背後に存在するのは事実のようだ。
(終わり)
おそらく、愛犬家以外にはなじみのない犬のエリザベスカラー。
韓国の人気コメディ映画「朝鮮名探偵3」(2018年)では、朝鮮王朝
時代のヤンバン(主人公)が犬のエリザベスカラーを着けた場面が
出てくる。
そのあまりにナンセンスな場面を予告編で見た時から、絶対に本編を
見たいと思っていたのだが、先日、某中国系サイトを通じ鑑賞する
ことができた。
△美女吸血鬼に首を噛まれないようにエリザベスカラーで防御(「朝鮮名探偵3」より)
思っていた通り、犬好きの「ヲタク」の笑いのツボを見事について
くれる映画であった。
以下、最近の韓国映画鑑賞記録である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■조선명탐정3「朝鮮名探偵3-吸血怪魔の秘密-」2018年 〇〇〇--
(192)
2018年2月封切りのコメディ映画。240万を超える観客を動員した。
宮廷の陰謀に巻き込まれ命を失い、成仏できないまま吸血鬼になった
王妃らの復讐劇を、探偵として探ることになった主人公。
30年前の陰謀に加担した父の罪を自分の命で償おうとする主人公と、
子(主人公)の命を救うため自分の命を投げ出す父。
コメディーでありながらも、後半は父子の情を核にシリアスな
物語が展開した。
■어떤살인 「名もなき復讐」 2015年 〇----
(191)
B級のノワール映画。
虐げられた1人の女性の中途半端な復讐劇。しかも、最後に女性は
破滅する。
■조작된 도시 「操作された都市」 2017年 〇〇〇
(190)
2017年、250万を超える観客を動員したアクション映画(年間15位)。
バーチャルな世界でチームを組んでいたゲーマーたちが、陰謀に
巻き込まれた「隊長」を救うため、現実世界で力を合わせ、IT技術を
駆使しながら強敵を倒す物語。
見ごたえのあるアクション映画だった。
■분노의 윤리학 「怒りの倫理学」 2013年 〇
(189)
B級のノワール映画。
隣に住む女子大生の部屋を盗撮・盗聴していたため殺人現場を目撃
した警察官。女子大生を殺したストーカー男。女子大生と不倫して
いた大学教授。女子大生にお金を貸し、事件をお金儲けに利用しよう
とする高利貸しの男。不倫夫に復讐するため、夫に女性殺しの罪を
着せようとたくらむ教授の妻。
それぞれの罪と利己的な主張が複雑に絡み合いながら物語が
展開する。
全員悪人の中で、破滅するものと生き残るものの差は何だった
のか。
いわゆる倫理のかけらも存在しない、矛盾だらけの世界を描いた
コミカルなノワール映画である。
(終わり)
3月31日から4月3日にかけ、北朝鮮で韓国人アーティストらによる
公演「봄이 온다(春が来る)」が開催される。
複数の韓国メディアの報道によれば、公演団に参加するペク・チヨン
(白智栄)が歌う曲は、「총맞은 것처럼(銃で撃たれたように)」。
一時期、北朝鮮の若者の間でも流行った曲だとのこと。
■백지영 - 총맞은 것처럼
「ヲタク」も大好きな曲なだけに、感慨もひとしおである。
久しぶりにペク・チヨンの歌を聞きながら、今度こそ、米朝間の
「休戦」状態に終止符が打たれ、朝鮮半島に平和な春が訪れる
ことを、心から祈った。
「事実は小説よりも奇なり」
イギリスの詩人バイロンの言葉だ。
実際、現実世界では小説家や映画製作者が想像もできないような
事件が多発している。
実際に起きた事件に着想を得たフィクション作品が作られたって、
全く不思議なことではない。
韓国映画では、特に実際に起きた事件を題材にしたフィクション
映画が非常に多い。
脚色の度合いは作品によりまちまちだが、背後に実際の事件が
あるだけに、感動的な物語であれ凄惨な物語であれ、リアリティは
真に迫らざるを得ない。
今週末、実際の事件を題材にした映画を2本見た。
以下は、その鑑賞記録である。
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■제보자 「提報者 ~ES細胞捏造事件~」 2014年 〇〇〇--
(188)
2014年、175万を超える観客を動員した映画(年間16位)。
韓国におけるES細胞ねつ造事件を告発したMBC記者らの困難な闘いを
題材にした社会派ドラマ。
■해무 「海にかかる霧」 2014年 〇〇〇
(187)
2001年、黄海上で韓国の漁船に乗り移り、漁具の格納庫に隠れていた
20人余りの朝鮮族の密航者たちが酸欠で集団死する、という凄惨な
事故が実際に起きた。
その事件に大幅な脚色を加え撮影されたのが、この映画だ。
2014年、140万を超える観客を動員した(年間21位)。
(終わり)
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■그들도 우리처럼 「追われし者の挽歌」 1990年 〇〇〇〇〇
(186)
この映画の英語のタイトル名は「Black Republic」(黒い共和国)。
この映画がそれほどすばらしいのか、単に「ヲタク」が人並外れて
粘着質なだけなのか。
テレビで一度見た同じ映画をVHSビデオで見て、さらにDVDでも見た。
そして、今度はインターネットを通じて見た。
80年代の軍部独裁時代、江原道の小さな炭鉱町が舞台。
貧困や政治的弾圧を背景に本当の自分を隠しながら生きている孤独な
男女の恋の物語は、中高年になった「ヲタク」の心もふるわせる。
こんな映画に出会えたことに感謝しよう。
そして、また、この映画の主人公たちのように、観念や理想から
ではなく、この「みすぼらしい現実」から出発する生活に希望を
見出そう。
(終わり)
■하이힐 「ハイヒールの男」 2014年 〇〇---
(185)
2014年に公開された青少年観覧不可指定のノワール映画。
超人的な戦闘力を持つ、長身で細身の刑事が主人公。どこから見ても
完璧な男である。
しかし、彼が持って生まれた心の性は女。
その事実を認めたくない一心で、どんな男よりも男らしく生きてきた
のが、これまでの彼だった。
この映画は、そんな主人公が苦悩と葛藤の末、自分の心の性を受け入れ
生きて行こうとする様を、男である主人公に惚れた暴力組織の若親分
との宿命的対決を絡めながらノワール風に描いている。
なかなか見ごたえのある映画だった。
(終わり)
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Wi-Fiの性能が悪い、と不満を募らせていた家族が、地元の家電量販店で
高機能の無線LANルータ(エレコム社製)を買ってきた。
特価で販売していたとのこと。
2年ほど前の製品(2016年発売)だが、某価格比較サイトでも
最低価格(税込み)が8,000円を上回っているところを、7,160円は
確かに安い。
設定も簡単だった。
これにより、「ヲタク」家のWi-Fi環境は劇的に改善され、家族の
不満は消えた。
(終わり)
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■강남 1970 「江南ブルース」 〇〇〇--
(184)
2015年、210万を超える観客を動員した社会派のノワール映画
(年間14位)。過激なベッドシーンもあり、青少年観覧禁止に指定
された映画でもある。
1970年代、政府主導のもと急速に進められたソウル江南(旧・永東
地域)開発の影で、地上げや土地ころがしなど悪質な土地投機が
横行した。
開発の利益に群がった人々には、政財界の大物ばかりではなく、
多くのブローカーや裏社会の人物も含まれていた。
この映画は、江南開発をめぐる大きな渦に巻き込まれ、大きな力に
利用され使い捨てられた、裏社会の男たち(架空)の野望と破滅の
人生を描いている。
フィクションとは言え、大いに勉強になった映画である。
(終わり)
香港ノワールの代表作である「男たちの挽歌」(1986年)と、韓国の
プサンに直接的な関係は全くない。
△広安大橋(「男たちの挽歌」より)
しかし、その香港映画のリメイク版である韓国映画「男たちの挽歌
A BETTER TOMORROW」(2010年)の舞台は、プサンである。
北朝鮮からの脱北者である3人の主人公以外の登場人物は、ほぼ皆、
プサン方言を使っていた。
△海雲台マリンシティー(「男たちの挽歌」より)
プサン好きの「ヲタク」には、たまらない設定である。
△プサン駅(「男たちの挽歌」より)
特に、「ヲタク」にとって思い入れの深い草梁洞(プサン駅周辺)が、
これほどたくさん登場する韓国映画は初めて見た。
△写真右上にチャイナタウンの赤いゲートが見える(「男たちの挽歌」より)
プサン駅や駅前のチャイナタウン。
△「BAIKAL」のネオンが特徴的なテキサス通り(「男たちの挽歌」より)
そして青少年通行制限区域のテキサス通り。
△テキサス通りのクラブ「ハリウッド」(「男たちの挽歌」より)
テキサス通りのクラブなど一度も入った経験のない「ヲタク」が、
この映画を見ながら未知の世界をのぞき見た(実際に店内で撮影
されたかどうかは未確認)。
△クラブ内で踊るロシア人風ダンサー(「男たちの挽歌」より)
草梁洞に限らず、プサン好きの人なら、随所に見知った風景が出て
くるに違いない。
△ロッテデパート光復店(「男たちの挽歌」より)
以下は、鑑賞記録である。
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■무적자 2010年
「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」 〇〇〇--
(183)
2010年、150万を超える観客を動員した映画(年間15位)。
脱北者の3人の男が主人公。
実の兄弟の情と裏社会の義兄弟の情が複雑に絡み合いながら、3人の
物語が展開していく。
3人を窮地に追い詰めた卑劣な裏切り男も破滅するが、情と義理に
生きる主人公ら3人にも救いは訪れない。
鮮烈な絶望感だけが残る、典型的なノワール映画である。
■하녀 「ハウスメイド」 2010年 -----
(182)
2010年、220万を超える観客を動員したヒット作(年間10位)。
舞台は大富豪の豪邸。
主人のお手つきにより妊娠した家政婦がたどる、悲惨で破滅的な
人生を描いている。
(終わり)
ジャンルや表現手法は全く異なるものの、同じく霊的現象をあつかった
韓国映画を2本、見た。
1本は日韓両国でヒットしたホラーサスペンス。
もう1本は、ある意味、見る者の目を欺(あざむ)くような実験的な
手法で撮られた映画。
以下、鑑賞記録。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■폰 「ボイス」 2002年 〇〇〇--
(181)
韓国のホラーサスペンス映画として、日本で最高の興行成績を収めた
ヒット作。
1人の女性記者が、携帯にかかってくる不可解な電話を手掛かりに、
身の回りに起きる怪奇現象の原因にたどり着いていく。
緊張が途切れない展開に、すっかり引き込まれてしまった。
実によくできた映画だった。
■싱글라이더 「エターナル」 2017年 〇〇
(180)
証券会社の支店長として懸命に働き、妻と子どもをオーストラリアの
シドニーに早期留学に送り出して2年。
突然、会社は倒産してしまい、妻と子は現地の男性と半同棲している
ことがわかった。順調に見えた主人公の生活は完全に破たんして
しまい、疲れ果てた彼はソウルの自宅で自死してしまう。
かたや、オーストラリアで2年間働いて貯めたお金を持って韓国に
帰国しようとしている若い女性。
ネットで見つけた有利なレートにつられ接触したシドニー在住の闇の
韓国人両替屋に、1万9000豪ドル(約150万円)を奪われたあげく
殺されてしまう。
その男女(の霊)が、オーストラリアのシドニーを舞台に、死の
前後にわたって繰り広げる、悲しくも切ないドラマを描いた実験的な
映画だ。
(終わり)
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硬派なノワール映画が好きだったはずの「ヲタク」が、学習のため
とは言え、ついに韓国の恋愛映画まで見るようになってしまった。
以下、この週末に見た2本の恋愛映画の鑑賞記録である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■내 머리 속의 지우개 「私の頭の中の消しゴム」 2004年 〇〇〇--
(179)
2004年、250万を超える観客を動員した、日本ドラマを原作とする
ラブストーリー(年間5位)。
日本で公開された韓国映画の中で最高の興行収入を上げた作品でも
ある。
この映画で、最も「ヲタク」の印象に残ったシーンは、建設会社の
社長が、会食の場で一旦は反対した、下請け作業員の青年と娘との
交際を認める場面。
別れを約束させられたにも関わらず、貧血で倒れた女性をびしょ濡れに
なって病院に担ぎ込み、心配そうに女性の様子を見守る青年。目覚めた
女性は、青年と強く抱擁し合う。
娘の幸せ、人の幸せにとって何が一番重要なのかを悟った父親の
表情が、実に感動的だった。
その後、2人は結婚し、青年も建築士となり夢を叶えた。
しかし、2人の幸せな生活も長くは続かない。若年性アルツハイマー
という不治の病が女性を襲うのだ。
好きな展開の映画では全くないが、悲しくも美しい結末まで、何とか
見終えた。
■뷰티 인사이드 「ビューティー・インサイド」 2015年 〇〇
(178)
2015年、205万を超える観客を動員したラブロマンス(年間15位)。
18才の誕生日の日から、毎朝目覚めると肉体が別人に替わるように
なってしまった男。
映画とは言え、よくもこんな奇想天外な話を思いついたものである。
そんな男と一人の女性の世にも奇妙な恋の物語に、すっかり引き込まれ
てしまった。
あまり知られていない事実だが、韓国では子どもの海外養子縁組が
非常に活発である。(関連ブログ記事)
この週末、孤児院などから養子として海外に渡った韓国出身者を
描いた映画を2本見た。
2本とも非常に切ない内容の映画だった。
以下、鑑賞記録である。
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■여행자 「冬の小鳥」 2009年 〇〇〇--
(177)
9才(小学校3年生)の時に韓国の孤児院を通じ養子としてフランスに
渡った感受性の強い少女が、フランスで成人した後、映画監督となり、
韓国の孤児を主人公にした自伝的フィクション映画を撮った。
大好きだった父親と旅行に出たはずが、孤児院に置き去りにされた
現実を受け入れられず、絶望のあまり、孤児院の植木の影に穴を掘り
自分を埋め、消えてしまおうとする少女。
その少女が、希望を取り戻し、新しい家族の元へと旅立つまでの
日々を淡々と描いている。
■마이 파더 「マイ・ファーザー」 2007年 ----
(176)
1才の時に入所した韓国の孤児院から5才の時に養子としてアメリカに
渡り、成人後、在韓米軍の兵士として韓国で勤務していた時、テレビ
番組(2002年)を通じ実の両親を探した青年の実話を元に描いている。
父親と名乗り出た男は死刑囚(事実)。
後に遺伝子検査で青年と親子関係がないことが判明した(事実)。
それでも、青年は、名乗り出た男を父親と信じ続け(事実)、当時の
韓国メディアもこの映画も、「親子」の再会とその後の交際を美談
として描いている。(現在の状況は不明)
事実関係だけをつなげて考えれば、青年の、血のつながった肉親を
求める、悲しいまでに強い願望が読み取れるだけである。
あまりにも切なすぎる「美談」である。
(終わり)
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主に言葉や社会の学習を目的に韓国映画を見ている「ヲタク」だが、
「ヲタク」も男である。
たまに女優に心を奪われることもある。
△プサン松亭ビーチを歩く主人公の2人(「青い塩」)
映画「푸른 소금」(青い塩)で殺し屋の女を演じたシン・セギョン
(申世景)は実によかった。
△全羅北道コムソ塩田の2人(「青い塩」)
映画を見終わるころには、すっかりファンになってしまっていた。
△殺し屋をやめ、男といっしょに東南アジアに渡った主人公(「青い塩」)
最近の話で言えば、「ヲタク」が女優のファンになるのはチョ・ボアに
次いで彼女で2人目だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■푸른 소금 「青い塩」 2011年 〇〇〇〇〇
(175)
プサン海雲台の松亭ビーチとソウルを舞台にしたノワール風映画。
組織から足を洗い、食堂を開くため料理を学んでいる中年男が、
組織の内部抗争に巻き込まれて行く。
男は、自分を監視する役目を負った殺し屋の女と愛し合うようになる。
そして、結末は、意外にもハッピーエンド。
ハッピーエンドで終わるノワール風映画も、なかなかいいものだ。
■남자가 사랑할 때 「傷だらけのふたり」 〇----
(174)
2014年、190万を超える観客を動員した恋愛映画(年間14位)。
やっと幸せをつかみかけた男女なのに、男が死の病に侵されてしまう
という、「ヲタク」が最も見たくないパターンの恋愛映画だった。
ノワールっぽい邦題に引かれたのが間違いだった。
(終わり)
■밀양 「シークレット・サンシャイン」 2007年 〇〇〇〇-
(173)
2007年、160万を超える観客を動員したラブロマンス(年間13位)。
慶尚南道密陽(秘「密」の「陽」光=シークレット・サンシャイン)を
舞台にした30代の男女の物語。
夫と1人息子を亡くし1人ぽっちになってしまった女性が精神の
バランスをくずしていく。その女性の困難な日々を、着かず離れず
見守り続ける男。
男を演じるソン・ガンホは、金海駕洛面(現・プサン西区)の出身
ということもあり、慶尚道方言もマイルドながら自然で小気味よい。
男の口から「愛している」というセリフはただの一度も出てこないが、
女性を見守る男の深い愛情に心揺さぶられる大人の恋愛映画だ。
プサン方言好きの「ヲタク」には、堪(こた)えられない映画だった。
■봉이 김선달 2016年
「キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち」 〇〇-
(172)
2016年、200万を超える観客を動員したコメディ時代劇(年間17位)。
ニワトリを鳳凰と欺いて売ったり、大同江の水を売ったりした話で
有名な稀代の詐欺師、キム・ソンダル。
昔話で人気のキャラクターを主人公にした勧善懲悪型の時代劇だ。
(終わり)