■사회인 「社会人」 2019年 〇〇〇〇-
(809)
2019年に公開されたインディーズ系の社会派ドラマ。
△トーナメント決勝戦に臨んだ草野球チーム(映画より)
トーナメントの決勝戦に臨む草野球チームを題材に、メンバーたちの
人生模様を各イニングの展開にオーバーラップさせながら描いている。
リストラされた会社員、詐欺にあった商売人、就活中のフリーター、
それに寿司屋の店主等々・・・。
△一旦は野球に挫折した元高校球児の寿司屋は、草野球を支えに新しい人生に挑む(映画より)
年齢も野球経験も生活背景も異なる人々が、週末ごとに好きな
野球をするために集い、そして、野球を支えにそれぞれがそれぞれの
人生を前向きに生きる姿に、すっかり感情移入させられてしまった。
期待していた以上におもしろい映画だった。
なお、この映画を見て初めて知ったことだが、日本語で言う「草野球」は、
韓国語では「사회인야구(社会人野球)」と呼ばれている。
同じ漢字語で言う「社会人野球」が、日本と韓国では大きく異なって
いる、ということだ。
野球好きの韓国語学習者なら、知っておいても損はしない相違点
だろう。
(終わり)
■메모리즈 「メモリーズ」 2019年 〇〇〇〇-
(808)
2019年に公開されたインディーズ系の社会派ドラマ。
結婚生活に失敗し、母親(1人親)との関係や仕事の面でも
問題を抱え、精神的に追い詰められていた男が主人公。
皮肉にも、彼は区役所の健康センターで働く「심리상담사」
(心理相談士)。日本で言うカウンセラーのことだ。
母親との関係がさらに悪化した彼は、同僚から紹介された
アパートに引っ越し、1人暮らしを始める。
そして、そのアパートで備え付けの家具のあちこちから、
家事や炊事に関する様々なアドバイスが書かれた、不思議な
メモを発見していく。
試しにそれらのメモのアドバイスに従ってみることにした
彼の心理に、徐々に変化が表れはじめ、ギスギスしていた
相談者や母親との関係もうそのように好転していった。
メモに救われたと考えた男は、メモを残したアパートの
前の住人に感謝の気持ちを伝えたいと思い始める。
前の住人が、以前、センターが支援していた引き籠りの
女性だったことを知り、彼女の現在の居場所を探すが、
いくら探しても見つからない。
△アパートの中で発見したメモを窓に張り付けた男(映画より)
あきらめかけていた矢先、ついに彼は、彼女のメモの中に暗号が
隠されていることに気づき、その暗号を読み解くことに成功する。
そこには彼女の連絡先(メールアドレス)も書かれてあった。
そうして、彼は、やっと彼女にメールを送ることができたの
だった。
映画は、穏やかで幸せそうな顔をした彼が、車で彼女に
会いに行く場面で終わった。
その時点で、彼はまだ、彼女が美人であることは知らない...。
「ヲタク」好みの、なかなかいい映画だった。
(終わり)
■아줌마...줌마들의 반란 「アジュンマ...中年女たちの反乱」 2016年
〇---- (807)
2016年に公開された社会派のコメディ映画。
全羅道や慶尚道など地方出身者が多く住むソウル近郊のある町を
舞台に、婦人会のおばちゃんたちが、4大社会悪の撲滅をめざし、
立ち上がる。
ここで言う4大社会悪とは、
성폭력,가정폭력,학교폭력,불량식품
(性暴力、家庭内暴力、校内暴力、不良食品)
の4つ。
おばちゃんたちの活躍により、濃い方言を話す破廉恥なおやじ
たちが、次々と「血祭り」にあげられていく。
ただし、主人公のおばちゃんが不良高校生グループからうらまれ、
強姦されそうになったり、自分の夫の浮気を告発したりと、
自らも深い傷を負った。
総じて、「ヲタク」の趣向には合わない映画だった。
(終わり)
■미쓰GO 「ミスGO」 2012年 〇〇〇--
(806)
2012年に公開された犯罪コメディ。物語の舞台はプサン。
△釜山港大橋はまだ建設中(映画より)
パニック障害に苦しむ30代のさえない独身女性(標準語話者)が、
全く無関係の麻薬取引に巻き込まれてしまい、命まで狙われる
ハメになる。
しかし、窮地に追い込まれた彼女は、過去、千冊を超える推理
小説を読破した経験と知識を生かし、犯罪組織と汚職刑事らを
手玉に取り、まんまと大金をせしめることに成功する。
△旧国際旅客ターミナルが登場(映画より)
そして、病気まで克服した彼女は、せしめた大金を持って、仲の
良い後輩(釜山方言話者)が留学中の日本(大阪)に高飛びする。
けっこう笑える、面白い映画だった。
△旧ターミナルと関釜フェリー(映画より)
さらに、この映画の場合、物語の本筋とは無関係のところで、
「ヲタク」をもっと楽しませてくれた。
「ヲタク」が30年以上(回数にして100回以上)もお世話になった、
昔の国際旅客ターミナルが登場したこともうれしかったが、最も
興奮させられたのは、港内を走る日韓高速船、ビートル号の姿に
気づいた瞬間だった。
△白い航跡を引きながら港内を低速航行する日韓高速船(映画より)
韓国映画に登場する日韓高速船を見たのは、おそらくこの映画が
初めてだ。
(終わり)
■신마적 : 독불장군 엄동욱 「新馬賊 : 一匹狼 オム・ドンウク」
2019年 〇---- (805)
2019年に制作されたアクション時代劇。
日本統治時代の朝鮮を舞台に、勉強好きで相撲の強かった
朝鮮人青年が、差別的で横暴な日本のならず者たちを打ち倒し
ながら、裏社会でのし上がっていく様を描いている。
実在の歴史的人物に着想を得た作品ではあるが、物語の内容は
全くのフィクション。
全体的に街並みなどセットの安っぽさが目立つ作品だったが、
主人公が柔道部の横柄な主将をやっつける場面は、特に
いただけなかった。
△柔道部主将と勝負する主人公<左>(映画より)
柔道経験者(2段)の「ヲタク」から言わせてもらえば、
意味不明の旭日旗や白いマット、それに部員たちの現代風の
長髪姿はまだしも、せめて、主将をはじめ部員たちの半分
以上の腰には黒帯(有段者の証明)を巻かせてほしかった。
(終わり)
■유열의 음악앨범 「ユ・ヨルの音楽アルバム」 2019年 〇----
(804)
2019年に公開され、120万を超える観客を動員したメルヘンチックな
ラブロマンス。
主人公は、チャーミングではあるが、とびっきりの美人とは言えない、
ごく普通の女性。
その彼女には、貧しいけれども10年以上も自分のことだけを一途に
愛し続けてくれている、1歳年下のイケメン男がいる。
そして、もう1人、仕事の面で自分を引き立て、さらに愛して
くれる、年上のハンサムな実業家がいる。
女の心は、全くタイプの異なる2人の男の間で揺れる。
(おそらく、この状況が少なくない韓国人女性を映画に没入
させるのだろう。)
しかし、最後に女が選んだ男は、当然のごとくに(?)、年下の
イケメン男。
△一旦は豪邸で彼女と同棲までした包容力のある年上男(映画より)
「ヲタク」にとっては、全く感情移入ができないばかりか、見て
いて途中から不快感さえもよおすような映画だった。
唯一、年上の実業家を演じたパク・ヘジュンの存在感と渋い
演技にはうならされた。彼は、若い女性を自然に惹きつける、
包容力のある優しい中年男を見事に演じていた。
(終わり)
■밤의 문이 열린다 「夜の扉が開く」 2019年 〇〇〇--
(803)
2019年8月に公開されたインディーズ系の心霊ミステリー。
主人公は、繊維工場でまじめに働きながらも、人とのかかわりを
避け、自分など生まれてこなかった方がよかったと考えながら
生きている孤独な女性。
そんな彼女が、ある日の夜、予期せぬ犯罪の被害にあい、意識
不明の重体に陥る。そして、魂が肉体を幽体離脱し、幽霊となる。
明日を生きることができない幽霊は、1日1日と時間を過去に
さかのぼりながら、自分が巻き込まれた事件の顛末を必死に探る。
その過程で、幽霊は、命の大切さと自分が生きてきたことの意味に
気づかされていく。
△彼女をひそかに思い続けていた同僚青年(映画より)
幽体離脱から6日後(事件の6日前)、誠実ではあるが、口下手な
同僚男性は、彼女にこう言った。
혜정씨를 보고 있으면은..아...보고 있으면.....
혜정씨를 보고 있으면 내가 하고 있는 일이..내 삶이
초라하고 헛된 게 아니라는...살아가는 거가 그냥 그 자체로
빛이 나는 거구나.............요.
へジョンさんを見ているとね..あ...見ていると....
へジョンさんを見ていると、僕のやってる仕事が..僕の生活が
みすぼらしくて無駄なものじゃないって...生きていくことが、
ただそれ自体で輝くものなんだなって.............んです。
しばらく沈黙が続き、その言葉に対して、自分がはっきりと
고마워요.
ありがとう。
と答えていたことを幽霊が確認した後、重体の彼女は息を
引き取る。
何とも切ない結末であった。
ただし、幽体離脱した彼女の幽霊が事件につながる過去に
関与したことで、少なくとも彼女以外の2人の死者の命が
救われた可能性は示唆されているので、もしかすると彼女も
死なずにすむかもしれない。
見た後に温かい余韻が残り、いろいろと考えさせられた映画で
ある。
(終わり)
■일진 시즌 2 : 도깨비 「不良グループ 2 : オバケ」 2019年 〇----
(802)
2019年に公開された成人指定の学園アクション。
主人公は、中学生の頃、いじめられっ子だった1人の男子高校生。
その彼が、父親からもらった「당수도(唐手道)」の教本をもとに
武術の達人となり、悪辣な不良グループに鉄槌を加えていく。
この映画では、何と言っても、「唐手道」なる武術が、現在も
なお、韓国社会の中に命脈を保っていることを知り驚いて
しまった。
(終わり)
■서울야행 「ソウル夜幸」 2016年 〇〇---
(801)
2016年に公開されたインディーズ系の映画。
ある日の夜、ソウルの生活に区切りをつけ故郷の全羅道に帰ろうと
していた男と、自殺を考えていた女が、漢江にかかった橋の上で
出会う。
男が警察を呼ぼうとしたことで口論となるが、結局、2人で
いっしょに橋を渡ることになった。
そして、いっしょに食事をし、夜の街の変態カップルや不良高校生
たちといさかいを起こすかと思えば、酒を飲んでカラオケを歌う。
最後に入ったラブホテルでは、男がバイアグラ代わりに買った
強壮剤のせいで、2人とも奇妙な幻覚を起こしてしまい、まさに
夢のようなセックスを経験する。
こうして若い男女は、何のあてもない不確かな夜明けを2人で
迎え、映画は終わる。
とりとめのない映画ではあったが、物語の展開には、そこそこ
引き込まれた。
■우리들의 일그러진 영웅 「我らの歪んだ英雄」 1992年 〇〇〇〇-
(800)
1992年に公開された純文学風の映画で、国際的に高い評価を得た
名作だ。過去、「ヲタク」も2,3度見た覚えがある。
主人公である1人の予備校講師が、過去の自分を回想する形で物語が
進む。
ソウルの名門小学校から郡部の小学校に転校した1人の男子生徒が、
学級に君臨する「급장(級長)」の理不尽な独裁に抵抗するものの、
結局、彼に屈服させられてしまう。そして、幼心(おさなごころ)に
独裁者に従順に従うことで得られるうまみと喜びを知る。
しかし、新しく赴任した担任教師が、級長が試験のたびに学年で
1番の成績を取っていた不正のからくりを見抜き、級長と級長の
不正に協力していた生徒たちを罰し、不正を正す。
独裁者の地位を奪われた級長は、学校に放火し、村を逃げ出す。
子どもの世界を描いた映画にしては、何とも、陰惨な内容の
ドラマであった。
おそらく、この映画の主人公である転校生には、過去、望むと
望まざるとに関わらず、韓国の軍事独裁政権を支え続けた多くの
国民の姿が重ねられている、と見るべきなのだろう。
独裁とは、決して独裁者1人で成立するものではない。1人に
従順に従い、ごまをすり、忖度し、そうすることによって自己の
利益と喜びを得る者たちの支えがあって初めて可能になるのだ。
(終わり)
■죽이고 싶은 「殺したい奴」 2010年 〇----
(799)
2010年に公開された異色のサスペンス映画。
物語の舞台は、プサンの海辺に立つ大型総合病院の特別病室。
△偶然、同室になった憎しみ合う2人の男(映画より)
主人公は、その病室に入院している全身不随の2人の男。
2人は、1人の女性(聴覚障がい者)をめぐり、お互いに激しく
憎しみ合う関係で、ついには、あの手この手を使い、殺し合いを
始める。
△相手を殺そうとして死んでしまう2人の男(映画より)
しかし、終盤のどんでん返しで、そうした状況自体が、1人の女医に
より仕組まれた2人の男に対する復讐劇だったことが明らかになる。
女医は、過去、2人の男に弄(もてあそ)ばれ、命まで奪われた
母親の無念を晴らすため、偶然を装い、2人を同じ特別病室に
「監禁」し、お互いに殺し合うように仕向けたのだった。
男の1人が話していた濃いプサン方言に親しみを感じはしたが、
内容的には「ヲタク」の趣向に合わない映画だった。
(終わり)
■변신 「変身」 2019年 〇〇---
(798)
2019年8月に公開され、170万を超える観客を動員したホラー映画。
悪魔祓い(エクソシスト)の神父が自らの命を投げ出し、兄家族に
憑(と)りついた悪魔を滅ぼす物語。
△主人公の先輩神父のいるフィリピンのマニラ(映画より)
この映画では、物語の本筋とは無関係ながら、主人公の先輩
神父が赴任していたマニラ(フィリピン)のカトリック教会が
印象に残った。
△マニラの某カトリック教会(映画より)
考えてみれば、フィリピンはアジア最大のカトリック国。
△マニラの教会で神父を務める主人公の先輩(映画より)
カトリック教徒の多い韓国なだけに、フィリピンとの宗教的
交流は、おそらく日本の比ではないだろう。
△マニラの市街地(映画より)
おかしな話だが、この映画を見て、一生に一度くらいはフィリピンに
行ってみたいと思った「ヲタク」である。
(終わり)
韓国語オタクの身でありながら、プサン草梁洞でのロシアタウン
(中華街)との関わりをきっかけに、新しくロシア語まで学び
始めた「ヲタク」。
勉強を始めてから、かれこれ3年が過ぎた。
目下、10月に行われるロシア語検定試験3級の受験を1か月後に
控え、「ヲタク」のロシア語学習も一層、熱を帯びてきたところ
である。
3級受験もこれで2回目。今度こそ、何とか合格したいものである。
しかし、そうは言いつつも、合格できそうな気がまるでしない
のも事実。
ロシア語検定試験の3級の手ごわさは、前回の受験で痛いほど
思い知らされている。
△某外国語スクールの資料より
一説に、ロシア語検定試験の3級は英検の2級に相当するとのこと。
次回受験の結果にもよるが、目標の設定を4級に変えることも、
真剣に考えたい。
受験する前から逃げ道を準備するようで、ちょっと格好は悪いが、
「ヲタク」のロシア語学習の到達目標は、あくまで初級(中学英語)
レベルなのである。
(終わり)
■식객 : 김치전쟁 「食客 : キムチ戦争」 2010年 〇〇---
(797)
2010年に公開されたグルメ映画。
ある老舗の韓国料亭で姉弟(きょうだい)同様に育てられた
男女が、韓国一のキムチを決めるコンテストで対決する。
料亭の女将の実の娘である女性が勝てば料亭は廃業し、女性は
新しいフュージョン料理の道を歩む。青年が勝てば、料亭は
伝統的な韓国料理店のまま存続させる。
コンテストを勝ち進む過程で、お互いが実の母親に対する誤解を
解き、母親の真実の愛情を知ったことで、2人とも、古い自分の
殻を破り、料理の面でも新境地に到達する。
△10年間、日本で修業し、超有名シェフとなった主人公(映画より)
そして2人が迎えた決勝戦。
2人が作った究極のキムチは、偶然にも、料亭の女将から引き継ぐ、
全く同じ味付けの伝統的な白菜キムチだった。
コンテスト終了後、女性は料亭を継ぐ道を選び、青年は今まで通り、
食材商として全国を回りながら韓国料理の神髄を探求する「食客」
生活を続ける。
△流ちょうな日本語も披露したキム・ジョンウン(映画より)
ところで、この映画では、久しぶりに女優のキム・ジョンウンを
鑑賞した。この映画出演時の彼女の年齢は円熟(?)の30代。
特に「ヲタク」好みの女優ではなかったはずだが、この映画の
中の彼女は、意外なほどセクスィーで魅力的だった。
(終わり)
■비스티걸스 「ビースティ・ガールズ」 2018年 〇----
(795)
2018年に公開されたインディーズ系映画。
△俗に「テンプロ」と呼ばれる高級個室クラブ(映画より)
芸能事務所と連携しながら運営されている高級個室クラブを舞台に
繰り広げられる、女の友情と闘いの物語。
「ヲタク」の趣向には合わない映画だったが、物語の展開には、
そこそこ引き込まれた。
なお、この映画でも、女性を店に縛りつける手段としての「マエキン」
(前借金)なる日本語由来の俗語が頻繁に登場していた。
■비스티 보이즈 「ビースティ・ボーイズ」 2008年 〇----
(794)
2008年に公開され、71万を超える観客を動員した映画。
主人公は、ソウルのホストクラブで働く2人の男。
△歌舞伎町の韓流ホストクラブでホストをする男(映画より)
1人は、あらゆる嘘をつきながら複数の女性を金ヅルにしたあげく、
うそがばれてしまい、逃げるように日本の歌舞伎町に渡る。
もう1人は、客として出会った1人の女性(後に風俗嬢であることを
知る)と愛し合う関係になったが、彼女に愛想をつかされる。
そして、彼女の心が自分に戻ってこないことに絶望し、彼女を
刃物で刺し殺してしまう。
何とも虚無的な内容の映画であった。
(終わり)