■리틀 포레스트 「リトル・フォレスト」 2018年 〇〇〇--
(479)
2018年、150万を超える観客を動員した映画。
日本映画(および漫画)「リトル・フォレスト」のリメイク版だ。
△主人公の田舎の家、冬(映画より)
韓国版は、撮影こそ慶尚北道の山間地(軍威郡)で行われたが、
土地の老人たちを含め、登場人物は皆、標準語を話しており、全く
地域色のない映画になっている。
その分、ソウルで教員採用試験に落ちた後、田舎に戻って一人暮らしを
始めた主人公女性や周囲の人物たちに、誰もが感情移入しやすくなって
いるのかもしれない。
△主人公は、甘酒やマッコリの作り方も知っている(映画より)
若い女性が、いとも簡単に畑で野菜を作り、しごく当たり前のように
マッコリを作って飲む姿に、少なからず不自然さを感じたが、そうした
暮らしの術(すべ)の全てが、父親の死後も村に残り、一人娘を育て
あげた母親からの偉大な贈り物だったのだ。
△黄金色の田園を犬と一緒に駆け抜ける主人公(映画より)
美しい四季の移ろいの中で、彼女が、今は都会に出て家にいない
母親との暮らしを思い返しながら、幼なじみたちと交流する姿に、
「ヲタク」の気持ちも自然と寄り添って行った。
△主人公の田舎の家、秋(映画より)
豊かな山の幸や新鮮な野菜を食材に彼女が作る、芸術作品を思わせる
ような手作り料理の数々は、少なくとも「ヲタク」の目と耳を十二分に
楽しませてくれた。
△干し柿と主人公(映画より)
映画は、再び始まる山村での母娘2人の暮らしや幼なじみとの恋を
予感させながら終わる。
自然に抱かれた暮らしの持つ豊かな可能性を、美しい映像とともに
実感させてくれる映画だった。
血なまぐさいノワール映画を好む「ヲタク」ではあるが、たまには、
こういう映画を見るのもいい。
(終わり)
■내사랑 싸가지 「愛しのサガジ」 2004年 〇〇〇--
(478)
2004年、150万(公式統計)を超える観客を動員したラブコメディ。
名門大に通う金持ちのボンボンと高3のお転婆娘の心温まる恋愛劇を
描いている。
△主人公男性はレクサスsc430に乗って登場(映画より)
最初は、少女漫画の実写版でも見せられているようで、少し
不愉快な気分になりつつあった「ヲタク」が、いつの間にか、
グイグイと映画の展開に引き込まれていった。
△教室でカン・スジのヒット曲を切々と歌い上げた主人公(映画より)
映画の随所随所に挿入された80年代歌謡が懐かしかったこともあるが、
最大の要因は、ハ・ジウォンの名演技にあった。
△別れが信じられない主人公(映画より)
25、6才で高校3年生を演じていたので、若干の無理があったのは
事実。
しかし、一旦、彼氏に振られた後、気持ちを切り替え、彼氏のいる
大学に入るため猛勉強する姿は、実にいじらしかった。
△彼氏が送り込んだ家庭教師とも知らず、猛勉強を誓う主人公(映画より)
結局、それら全ては、親と彼氏によって仕組まれた試練で、大学
合格後、彼氏は彼女の親の許しを得、晴れて彼女とつき合うことが
できるようになった。
熟女好きを標榜しながらも、若かりし日のハ・ジウォンに惚れ直した
自分の無節操さが、少々情けない。
なお、この映画の題名に使われている「싸가지」(サガジ)とは、
「礼儀知らず」くらいの意味。
(終わり)
← 応援のクリックをお願いします。
■중천 「レストレス -中天-」 2006年 〇----
(477)
2006年、150万(公式統計)を超える観客を動員したファンタジー・
アクション大作。興行的には失敗し、制作会社は倒産した。
映画によれば、現生と来生の間には、転生する前の魂が49日間留まる
「中天」なる世界がある、という。
生きたままその中天に迷い込んだ男性主人公が、中天の女王であり、
現生では彼の恋人であった女性のために、中天と現生を支配しようと
する悪の勢力と戦う。
△中天の天人(女王)を演じたキム・テヒ(映画より)
「ヲタク」の趣向には全く合わない映画だったが、この作品が
初主演映画だった女優、キム・テヒの可憐な演技には、やはり、
注目せざるを得なかった。
△ソウル大生の頃、街中でスカウトされ芸能界に入ったキム・テヒ
「ヲタク」は特に彼女のファンというわけではないが、その存在は、
彼女が美少女モデルとして芸能界デビューしたころから知っていた。
それにしても、プサン生まれで蔚山育ちの彼女に、ノワール映画に
でも出演し、得意なはずの慶尚道方言で、激しく自己主張する
美熟女役を演じてほしいと思うのは、「ヲタク」だけだろうか?
(終わり)
■너의 결혼식 「(直訳)君の結婚式」 2018年8月 〇----
(476)
2018年夏、280万を超える観客を動員した異色の恋愛映画。
どんなに気が合い、お互い好きあっていても、タイミングが合わな
ければ、二人が結ばれることはない。
お互いがお互いに感謝の気持ちを持ちながら、きれいに別れる結末。
パク・ポヨン主演作ではあったが、「ヲタク」の趣向には全く
合わない映画であった。
■명당 「(直訳)明堂」 2018年9月 -----
(475)
2018年9月に公開され、200万を超える観客を動員した時代劇。
朝鮮王朝の末期を舞台に、1人の風水師が活躍するフィクション
時代劇だ。
この映画では、風水師を意味する「지관(地官)」なる韓国語の
存在を初めて知った。
また、フィクションとは言え、若かりし日の大院君が登場したりも
したので、少しだけ歴史の勉強にもなった。
(終わり)
← 応援のクリックをお願いします。
■안시성 「(直訳)安市城」 2018年9月 〇〇〇〇-
(474)
2018年9月に公開され、540万を超える観客を動員したヒット作。
△山裾に築城された安市城(映画より)
645年、唐の太宗(2代皇帝)率いる大遠征軍を安市城(現中国遼寧省
鞍山市)に迎え撃ち、撃退した高句麗の将軍、楊万春を主人公に
描いた正統派時代劇だ。
△弓を射る楊万春(映画より)
楊万春と言えば、一説に安市城の戦いで唐の太宗の片目を弓で射抜いた
とされる、韓国の歴史的英雄である。
△矢が片目に命中し倒れる唐の太宗(映画より)
最終的には唐と新羅の挟撃により滅んでしまう高句麗だが(668年)、
4度にわたる隋の侵攻、2度にわたる唐の侵攻を打ち破った高句麗の
頑強なる抵抗がなければ、もしかすると、朝鮮民族も国家を失い、
現在のウィグル民族やチベット民族と同じような運命をたどって
いたかもしれない。
そういう意味からしても、韓国において、高句麗の栄光の歴史を
現代に伝える映画が作られるのも、至極、当然な話だ。
△高句麗の騎馬兵団(映画より)
こうした映画を見て、たまには隣国のスケールの大きな英雄譚
(英雄物語)に酔ってみるのも悪くない。
(終わり)
← 応援のクリックをお願いします。
■S 다이어리 「Sダイアリー」 2004年 〇----
(473)
2004年、150万(公式統計)を超える観客を動員したラブコメディ。
アラサーの女性主人公が、過去、自分とつき合いながらも、自分を
捨てた神学生(現在、神父)や大学の先輩(現在、警察官)、年下の
マザコン男(現在も軍入隊を引き伸ばし中)の元を訪れ、彼らに
復讐を遂げ、最後は許すという、ナンセンスで物悲しい「自分探し」の
物語。
「ヲタク」の趣向には全く合わない映画だったが、主人公が2人目の
彼氏からカレー(日本風)の作り方を教わるシーンは印象に残った。
△主人公の2人目の彼氏が作ったカレー(映画より)
日本ほどではないにしろ、韓国にも一定、カレー好きな人々が
いるようだ。
(終わり)
■작전 「作戦 THE SCAM」 2009年 〇〇〇--
(471)
2009年、150万を超える観客を動員した映画。
デイトレーダーとして実績を上げ始めたばかりの青年が、株価の
不正操作を手掛ける悪徳金融グループに取り込まれ、使い捨てられて
しまう。
しかし、美人トレーダーの協力を得ながら、彼らに対する復讐を
成し遂げ、有望な事業を支援する良心的な投資家として見事な
復活を果たす。
この映画では、特に印象に残ったシーンがある。
△グループの宴会シーン(映画より)
それは、主人公も参加した日本料理店での宴会シーンだ。
△一升瓶は「八海山」(映画より)
グループの会長は、ちょくちょくその店を使っているらしく、
「サケ」(日本酒)については、わざわざ「ハッカイサン」(八海山)と
いう銘柄を指定した。
△一升瓶は「八海山」(映画より)
日ごろは、安手の甲類焼酎の柑橘(今の時期ならカボス)割りばかり
飲んでいる「ヲタク」が、久しぶりに上質の日本酒を飲んでみたく
なったワンシーンである。
(終わり)
■유감스러운 도시 「遺憾な都市」 2009年 〇〇〇--
(470)
2009年、150万を超える観客を動員したコメディタッチのノワール
映画。
裏組織に潜入した警察官と警察に潜入した裏組織の構成員が、
それぞれ、裏組織に殺された元同僚と恋人の復讐のため、組織に
報復する物語。
「ヲタク」の中でコメディとノワールが融合することはなく、作品と
しての統一性に疑問は感じたが、そこそこ見ごたえのある映画だった。
△この映画にも極東のロシアンマフィアが登場(映画より)
なお、この映画の中で、韓国の裏組織が韓国焼酎の原料(人工アル
コール)を工業用の溶剤としてロシア(の裏組織)に輸出し、それが
ウォッカの原料にばける、という話が登場した。
いかにもありそうな話だと、妙に納得させられた。
もしかすると、実際に、ロシアの極東部あたりのウォッカの中には、
韓国産の人工アルコールを原料に使っている偽ウォッカもあるかも
しれない。
(終わり)
← 応援のクリックをお願いします。
■보트 「ノーボーイズ,ノークライ」 2009年 〇〇〇--
(469)
2009年公開の日韓合作映画。
小型船を使い韓国から日本に麻薬を運ぶ韓国人青年と受け取り役の
日本人青年が、命がけの友情を育んでいく過程を描いた作品だ。
△韓国の港(映画より)
なかなか見ごたえのある映画だった。
△男と密輸船(映画より)
ただ、釜山や福岡、山口あたりが物語の舞台になっているはずだが、
映画の中では、韓国語にしろ日本語にしろ、皆、地域的特徴の全く
ない標準語を話し、具体的な地名も一切、登場しなかった。
△日本側のロケ地は新潟や長崎だったようだ(映画より)
唯一、バスセンターの背景画面に福岡や長崎空港の文字を見つけたが、
その地名には、背景に偶然、写り込んだ文字以上の意味はなかった。
そういう面からも、非現実的で無機的な雰囲気に包まれた、一種独特な
ノワール映画だった。
(終わり)
■북경반점 「北京飯店」 1999年 〇〇〇--
(468)
中国帰りの一人の青年が手作りの「춘장」(中華甘みそ)を
生かしたチャジャン麺(ジャージャー麺)で、老舗の中華料理店を
廃業の危機から救う物語。
△韓国風ジャージャー麺(映画より)
1999年公開の作品。
△ジャージャー麺人気で活況を取り戻した店(映画より)
韓国中華の大ファンを自認する「ヲタク」としては、もっと早くに
見ておきたかった映画である。
■클래식 「ラブストーリー」 2003年 〇----
(467)
2003年、150万(公式統計)を超える観客を動員した恋愛映画。
結ばれなかった母の悲恋の軌跡と娘の純愛をオーバーラップさせ
ながら描いている(女優は1人2役)。
ただし、お金持ちの良家の子女(母の父親は保守系国会議員)、しかも
美男美女たちが繰り広げる純愛の物語は、「ヲタク」に少女漫画の
世界を連想させはしたが、物語の展開には全く感情移入できなかった。
(終わり)
← 応援のクリックをお願いします。
■마파도 2 「麻婆島 2」 〇----
(466)
2007年、150万(公式統計)を超える観客を動員したコメディ。
ヒット作「麻婆島」の第2弾。
今度は、礼金目当てに財閥会長の初恋相手を探しに、黄海上に浮かぶ
孤島、麻婆島を訪れた男と5人の老婆がナンセンスなコメディ劇を
繰り広げる。
最後に島から油田が噴き出したのには驚いたが、「ヲタク」の
趣向には全く合わないコメディだった。
■야수와 미녀 「野獣と美女」 2005年 〇〇---
(465)
2005年、150万(公式統計)を超える観客を動員したラブコメディ。
自分の容姿に強いコンプレックスを抱く男が、盲目の美女に恋をし、
献身的な愛情を注ぐ。
しかし、美女が手術で視力を取り戻した後、男は身を引こうとする。
映画では、紆余曲折を経て、ありのままの男と美女が結ばれるまでを
コミカルに描く。
(終わり)
← 応援のクリックをお願いします。
■원스 어폰 어 타임 「ワンス・アポン・ア・タイム」 2008年
(464) 〇----
2008年、150万を超える観客を動員した映画。
1945年8月、日本敗戦前夜のソウルを舞台に、「東方の光」と呼ばれる
新羅時代の財宝(ダイヤモンド)の日本本国への移送をめぐり、財宝を
ねらう美人怪盗や独立運動家らが活躍する冒険アクション。
「ヲタク」の趣向には全く合わない映画であった。
△「皇國臣民」に加え「朝鮮」の漢字まで間違えている(映画より)
ところで、この映画では、「皇國臣民」を「皇国新民」と誤記した
横断幕が登場するなど、いくら娯楽作品とは言え、時代考証の
お粗末さが目立った。
韓国社会総体として、日本統治時代の記憶が、それだけ薄れて
いることの証(あかし)なのかもしれない。
△「どこかの国では、首相が国会答弁で『~云々』を
『~デンデン』って読んで澄ました顔をしてたんだヨッ!」
△「その点、私は読書家で美しい自国語に人一倍強い誇りを持って
ますので、『云々』を『ニムニム』って読むことくらい知ってます。
常識ですよね」
△「え?お前も湯鳥か?!恥を知れ!『ニムノマ』も読めないとは!」
(終わり)
← 応援のクリックをお願いします。
■와일드 카드 「ワイルド・カード」 2003年 〇〇〇--
(463)
2003年、150万(公式統計)を超える観客を動員した映画。
ソウル市警の「강력반(強力班)」刑事たちの活躍を描いたアクション
映画だ。韓国版「捜査1課」とでも言ったところか。
△エレベーターの中でも女性警官をくどく若手刑事(映画より)
慶尚道方言を話す裏組織のボスたちと連携(?)しながら、4人組の
残忍な強盗犯を追い詰めていく展開には、グイグイ引き込まれた。
△この後、心を決めた女性警官が刑事に強引なキス(映画より)
また、若手刑事の女性警官への粘り強い(しつこい)アタックが、
ついに成功を収めた時には、軽いカタルシスも感じさせてもらった。
(終わり)
← 応援のクリックをお願いします。