「ヲタク」は2006年の年末、船中での1泊を含み4泊4日の日程で
プサンを訪ねてきた。
短い滞在ではあったが、妻(プサン育ちの韓国人)方の親戚への
義理(?)もはたしながら、それなりに充実した時間が送れた。
携帯電話のカメラを使ってではあるが、写真もずいぶん撮ってきた。
妻や子どもたちから、かなりの顰蹙を買いながらも、あえて
撮ってきた。
徐々に整理しながらこのブログに公開していきたい。
しかし、どうしても撮れない写真が2枚だけあった。
カメリア号を利用して博多港に帰国した際、入国審査で審査室に
収まらない程の長蛇の列を成す韓国人観光客らを横目に、
日本人と再入国の外国人のみ、専用の審査台に誘導されながら
スイスイ通り抜けて行く様を写真に収めようとした時だった。
「撮影禁止になっとうよ!」という上の娘の小言を無視したまでは
よかったが、結局、警備官に咎められてしまった。
ある種の特別扱いに特権意識をくすぐられる一方、善意の
韓国人観光客には日本(人)への小さな不信感を招きかねない
光景に義憤(?)を感じシャッターに収めようとしたのだ。
限りあるスペースの中で外国人と日本人(再入国外国人も
含む)の審査台(1台)を分けている以上、圧倒的少数の日本人の
審査が早めに終わるのはある意味では当前のことだ。日本人を
早めに片付けた後で、その1台の帰国者用審査台も韓国人旅行客の
ために使ったほうがより効率的だという判断もあるのかもしれない。
とは言え、外国からの善意の旅行者の目には、日本人の身びいきの
ように映るおそれもあり、「ヲタク」はそこに小さな理不尽を
感じたのだ。
考えすぎなのかもしれないが、「ヲタク」としては、韓国人
旅行客といっしょに並ばさせられる方がよっぽど気が楽だ。
それともう1枚が、プサンの街中で見かけた日本語だ。
タクシーに乗って、窓越しに移り行く異国の街の風景を眺めて
いると、国道沿いの雑居ビルの2、3階付近に横に大きく
「大人のおもちゃ」と書かれた日本語が「ヲタク」の目に飛び込んで
きた。
正確には記憶していないが「성인용 완구(成人用玩具)」なる
韓国語が下に書いてあった。共にかなり目立つ大きな文字だった。
これには我が目を疑い、かなり驚かざるを得なかった。
国道沿いとは言え、日本人観光客が立ち寄るような場所では
なかったし、いわゆるピンク街が近くにあるわけでもない。
どう見ても一般の(?)韓国人を主なターゲットにした店だった。
1人ならば引き返してでも写真に収めるところだったが、親戚も
同乗していたし、さすがの「ヲタク」も遠慮してしまった。
誤解を防ぐために書いておくが、「ヲタク」はその種の器具の
愛好家でもなければ興味関心も全くない。
「オレは信じてるぜ」
(写真とは無関係)
根強い反日意識が存在する一方、「大人のおもちゃ」のような
日本の典型的な「저질문화(低質文化)」が、プサンの大通りで
堂々と(?)店舗を構えている様を記録しておきたかったに
過ぎない。
「ヲタク」はそこに、根深い反日感情と「日本フェチ」とも言える
日本への深い関心がごく当たり前のように同居する二重人格的
社会の不思議さやその奥深さを感じ取ったのだ。
こちらの1枚については、またの機会を待つとしよう。
(終わり)