■평양성 「(直訳)平壌城」 2011年 〇〇---
(442)
2011年、170万を超える観客を動員した時代劇。百済の滅亡を描いた
「 黄山伐(ファンサンボル)」(2003年)の続編にあたる作品だ。
隋(4回)と唐(2回)による度重なる侵攻を撃退してきた高句麗が、
百済を滅ぼした新羅と唐の連合軍の挟み撃ちを受け、ついに滅んで
しまう(668年)。
△唐と新羅の連合軍が高句麗を攻める(映画より)
この映画は、高句麗の命運を決した平壌城の戦いをテーマに描いた、
異色の歴史コメディ。
前作同様、劇中、新羅の王や将兵は慶尚道方言を、高句麗の王や
将兵は北朝鮮風の朝鮮語を話していた。また、唐の皇帝や将兵の話す
中国語にはハングル字幕が付いていた。
なお、この映画には描かれていなかったが、高句麗が滅亡した後、
新羅は唐との戦いに勝利し、朝鮮半島における朝鮮民族統一王朝の
基礎を固めていく。
(終わり)
■러브픽션 「ラブ・フィクション」 2012年 〇〇---
(441)
2012年、170万を超える観客を動員したラブコメディ。
これまで一度も女性とつき合ったことのない30過ぎのさえない
無名小説家に、やっと美人の彼女ができた。
△彼女はニコンユーザー(映画より)
彼女は、家族で移民したアラスカ(米国)から、1人、韓国に戻り、
大学で写真を学んだ後、広告関係の仕事をしながら創作活動を続けて
いるアマチュアカメラマン。
「ヲタク」の趣向には合わない映画だったが、彼女が「ヲタク」と同じ
ニコンユーザーだったことには小さな喜びを感じた。
(終わり)
■너와 극장에서 「(直訳)君と映画館で」 2017年 〇〇〇〇-
(440)
「2017ソウル独立映画祭」(2017年11月30日開幕)の開幕作として
上映されたインディー映画。
映画館に関連する、内容も趣向も手法も全く異なる3本の短編映画の
オムニバスだ。
1作目・・・日頃は自分の部屋のパソコンで映画を見ることの多い
主人公のOLが、気になる男に誘われたと勘違いし、街外れの小さな
名画座を訪ねてしまう、ちょっと悲しい物語(白黒作品)。
△ノートパソコンで映画を見る主人公(映画より)
2作目・・・「映画館殺人事件」なる短編作品の上映後、映画館で
開かれたトークショーの場で、不都合な質問をする観客を銃で
打ち殺す女流映画監督の物語。
3作目・・・欠勤し連絡も取れない男性社員を探し、彼の居場所で
ある映画館を突きとめ、結局、彼といっしょに古いアメリカの
名画を見ることになってしまった女性社員の物語。
△秋葉原に詳しく、唐突に日本語を話す日本オタク(日本かぶれ?)の男女(映画より)
この映画では、主人公の男性社員探しを手伝った日本オタクの
カップルが、滑稽ながら、けっこう新鮮だった。
彼らは、日本の秋葉原に妙に詳しく、会話の端々(はしばし)に、
2人の合言葉のような形で日本語のフレーズを差しはさむ。画面の
2人が、唐突に日本語を話し始めた時には、「ヲタク」自身、我が耳を
疑った。
(終わり)
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■주먹이 운다 「クライング・フィスト」 2005年 〇〇---
(439)
2005年、170万(公式統計)を超える観客を動員した映画。
ボクシングを通じ、人生の希望を取りもどす2人の男の物語。
△その年のスーパーライト級新人王戦で対決した2人(映画より)
一人は、アジア大会銀メダルという過去の栄光を持ちながら、
事業に失敗し家も家族も失い酒におぼれる40男。プロとして
ボクシング界に復帰し、新人王を目指し奮闘することで、人生の
希望や家族との信頼関係を取りもどす。
もう一人は、非行のあげく、ついに刑務所に入った青年。一念発起し、
刑務所内のボクシングクラブに加入、ストイックな訓練を積み重ねる。
そして、ついに新人王に輝き、祖母への恩返しを果たし、2つの拳で
見事に自分の未来を切り開いた。
△新人王戦は2-1の判定で青年(左)の勝利(映画より)
そこそこ見ごたえのある映画ではあったが、40男のリング復帰という
設定には、正直、かなりの無理を感じてしまった。
(終わり)
■연애의 목적 「恋愛の目的」 2005年 〇〇---
(438)
2005年、170万(公式統計)を超える観客を動員した異色の
ちょいエロ・ラブコメディ。
主人公は、高校の英語教師の男と年上の教育実習生の女。
映画が始まってしばらくは、英語教師の実習生に対する、笑うに
笑えないどぎついセクハラとパワハラのオンパレード。
先輩教師が妹のようにかわいがっている他校に努める女教師の
フィアンセがいるにもかかわらず、無節操な英語教師は、ついには
無理やり実習生と肉体関係を持つことに成功する。
△男は実習生を旅館に連れ込んだ(映画より)
とんでもない男だと思って見ていると、事態は急展開。
学校のホームページの掲示板に2人の関係を暴露する写真付きの投稿が
なされたことで、学校中が大騒ぎとなり、2人は窮地に陥る。
そして、理事会の聞き取り調査の場で、身勝手な理屈を並べ、うまく
言い逃れようとする英語教師の言葉に傷つけられ、怒った実習生が、
英語教師の数々のセクハラと性的暴行を赤裸々に告発する。
△学校に出動したパトカー(映画より)
英語教師は、その日のうちに学校で逮捕され、職もフィアンセも失う。
△英語教師は強姦容疑でパトカーに連行される(映画より)
しばらくして、塾の講師として働く失意の男の元を元実習生が訪れ、
そこから、2人の奇妙ではあるが、真実の恋が始まり、映画は終わる。
例によって「ヲタク」の趣向には全く合わない映画ではあったが、
物語の展開にはそこそこ引き込まれてしまった。
△見る角度によっては沢口靖子に似ていたカン・ヘジョン
また、過激な濡れ場など、体当たりの演技を見せた沢口靖子似の
清純派女優(カン・ヘジョン)にも、少なからず(性的?)関心を
引かれてしまった。
中高年「ヲタク」である。
(終わり)
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■바람난 가족 「浮気な家族」 2003年 〇〇---
(437)
2003年、170万(公式統計)を超える観客を動員した映画。かなり
エロくてどぎつい内容のブラックコメディ。
主人公は、そこそこ良心的に働く30代の弁護士。
しかし、家族や親族間のつながりは薄く、田舎の祖父は死後半年が
過ぎてやっと村人から発見される始末。
末期がんの父親は、相変わらず傍若無人で入院先の病院でも
鼻つまみ者。
母親は、そんな父親をしり目に、幼なじみの老人と浮気中で、
人生で初めてオルガズムを知ったと主人公夫婦に公言する奔放さ。
一方、実は主人公も、目下、性に奔放な若い女性と浮気中。
△主人公との営みの後、自慰する妻(映画より)
加えて、妻は、何と近所に住む、性欲旺盛な登校拒否中の高校
2年生の若者と仲良くなり、ついには、肉体関係まで持ち、彼の
子どもを身ごもる。
△高校生との浮気でオルガズムに達する妻(映画より)
崩壊して行く夫婦や家族を、乾いたタッチでコミカルに描いた
退廃的、かつ虚無的な映画だった。
「ヲタク」の趣向には全く合わない映画だったが、物語の展開には
そこそこ引き込まれてしまった。
■거룩한 계보 「偉大なる系譜」 2006年 〇〇〇--
(436)
2006年、170万(公式統計)を超える観客を動員した映画。
全羅道を舞台に、ある暴力組織に使い捨てられた幹部が、組織に
復讐を果たすまでの激闘を描いた、若干、メルヘンチックな
ノワール映画。
会話のほとんどが全羅道方言であった。
(終わり)
■대호 「隻眼の虎」 2015年 〇〇〇〇-
(435)
2015年、170万を超える観客を動員した異色のフィクション時代劇。
△子どもの死骸を奪い返すため、人間の前に姿を現した虎(映画より)
1920年代、日本統治時代の智異山を背景に、「山の神」と畏怖された
隻眼の大虎と1人の猟師の魂の交流と最期を描いた映画。
△狼に食べられそうになった猟師の息子の死体を猟師の元に送り届けた虎(映画より)
虎と一緒に死ぬ道を選んだ猟師の目を通じて描いた、絶滅した
朝鮮虎たちへの鎮魂歌、とも言える作品だ。
△幼い頃、猟師に命を救われた虎の恩返しだったのか?(映画より)
例によって、虎と猟師を死に追い込んだ日本軍の描かれ方が、
ステレオタイプの悪役に過ぎる点など、作品としての粗(あら)も
目についたが、総じて見ごたえのある映画だった。
△運命を共にした虎と猟師(映画のラストシーンより)
虎と猟師が降り積もる雪に消えていくラストシーンも去ること
ながら、虎が、巣穴に連れ帰った子どもたちの死骸を慈(いつく)
しむように撫で、舐めるシーンなど、「ヲタク」が決して忘れられない
シーンになることだろう。
(終わり)
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■아내가 결혼했다 「妻が結婚した」 2008年 〇〇〇--
(433)
2008年、170万を超える観客を動員した異色の恋愛映画。
最初の夫と結婚(法律婚)した女性が、最初の夫との夫婦関係を
維持したまま2番目の夫と結婚(事実婚)する過程を、最初の夫の
視線から描く、奇抜とも言える恋愛映画だ。
ただ、決してナンセンスな映画ではなかった。
とまどい、そして怒り、苦しむ最初の夫が2番目の夫に問う場面が
あった。
「お前は、(全て知っていて)なぜ、彼女と結婚したのか?」と。
すると、逆に2番目の夫が最初の夫に聞き返した。
「じゃあ、なぜ、アニキは、(彼女が僕と結婚したいと言い
出した時)彼女と別れなかったのか?」と。
△1人の妻、1人の娘に2人の夫と2人の父(映画のラストシーンより)
「ヲタク」の趣向には全く合わない映画だったが、1人の女性を
中心に、社会の規範や常識に縛られない男女関係が展開していく
物語に、すっかり引き込まれてしまった。
韓国映画も、なかなか奥が深い。
(終わり)
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■차우 「人喰猪、公民館襲撃す!」 2009年 〇〇---
(432)
2009年、170万を超える観客を動員したパニック映画。
△人間(円囲み)の背丈よりも大きな巨大猪(映画より)
日本統治時代に旧日本軍が品種改良に失敗し生み出した新種の
巨大猪が全羅道の山奥で種をつなぎ、彼らの縄張りに開発の手を
伸ばした人間たちを襲うようになった。
△巨大猪は、いわば「日帝残滓」。
困った人間たちは、子ども(ウリボウ)をおとりに巨大猪を廃工場に
おびきいれ、ダイナマイトで吹き飛ばす。
△生き残った巨大猪の子ども
動物愛護に偏った観点から見ると、何とも残酷で哀れな結末だった。
子どもが一匹、生き残ったのが、救いと言えば救いと言えるのかも
しれない(?)。
(終わり)
■흡혈형사 나도열 「(直訳)バンパイア刑事 ナ・ドヨル」
2006年 〇〇〇--
(431)
2006年、180万(公式統計)を超える観客を動員したコメディ映画。
△ドラキュラの血を吸った蚊(映画より)
ルーマニアでドラキュラの血を吸った蚊がジェット旅客機に運ばれ
韓国まで飛来し、1人の刑事の血を吸うところから始まる、実に
ナンセンスなアクション・コメディだった。
△超人的な能力を手にしたバンパイヤ刑事(映画より)
ただ、バンパイヤと化した主人公の刑事が、白い仮面をかぶり韓国の
夜の闇に巣くう悪を退治して行く展開は、「ヲタク」の予想より、
はるかに面白かった。
△えくぼのかわゆい恋人(映画より)
唯一、残念だったのは、バンパイヤとなった主人公が、えくぼの
かわいい恋人をあきらめざるを得なかったことだ。
△ベッドの上で髪をまとめる恋人(映画より)
人間として彼女と結ばれることを断念し、闇の世界に生きる道を
選んだ主人公の決断は、コメディとは言え、深い悲哀を帯びていた。
年甲斐もなく主人公に感情移入してしまった「ヲタク」は、この女優の
ファンになってしまった。もちろん、今(2018年)から12年も前の
若かりし頃の彼女に、ではあるが・・・。
女優の名はチョ・ヨジョン。
(終わり)
■北에 '유화 손짓'…日, 압수했던 조선학교 학생 北기념품 돌려줘
■北に「融和メッセージ」..日、押収した朝鮮学校生徒の訪朝土産返還
(連合ニュース 9月18日)
△東京朝鮮中高級学校
-本文省略-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6月、北朝鮮を訪問した朝鮮学校(神戸)の生徒が持ち帰った
北朝鮮のお土産を、日本の入管当局が押収していた、とのこと。
これなど、安倍政権の対北朝鮮政策を象徴するような、狭量で
幼児的、かつ犯罪的行為なのではないだろうか?
日本国民として、実に情けない限りだ。
「ヲタク」自身、決して北朝鮮の政治体制や核武装を支持する者では
ないが、この記事を読みながら、悔しさのあまり目頭が熱くなってきた。
もし「ヲタク」がそんなことをされたら、土産物を力いっぱい
床に叩きつけ、抗議していたかもしれない(それこそ幼児的行為か?)。
おそらく、「ヲタク」より格段も行儀のよい朝鮮学校の生徒や先生
たちは、ぐっとこらえて辛抱したのだろう。
いずれにしろ、実に不愉快な日本関連記事を読んでしまった。
(終わり)
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■나의 PS 파트너 「マイPSパートナー」 2012年 〇〇---
(430)
2012年、180万を超える観客を動員した、ちょいエロ・コメディ。
この映画で言う「PSパートナー」とは「Phon Sex パートナー」の略語。
日本語で言えば「テレフォンセックス・パートナー」くらいになるの
だろうか?
いずれにしろ、全く興味を引かれない映画であったが、韓国社会で
一定の関心を集めた映画なので、例によって韓国語学習を目的に、
しぶしぶ見ることにした。
まず、題名の「PS」は、携帯電話の機種変更の際の不手際から、
主人公女性が主人公男性にかけた間違い電話が元で起きた隠微な
ハプニングだった。
△昔の彼女とのS〇Xシーン(映画より)
物語は、そのハプニングをきっかけに、7年間付き合った彼女から
振られたばかりの男性と5年間付き合ったプレイボーイと結婚間近の
女性が、真の信頼と愛情を育んでいく恋愛コメディーだ。
「ヲタク」の趣向には合わない映画だったが、最後までそこそこ
楽しく見ることができた。
(終わり)
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■바람 피기 좋은 날 「浮気日和」 2007年 -----
(429)
2007年、180万(公式統計)を超える観客を動員した異色の
セクシー・コメディ。
△2人の浮気主婦が出会った郊外型ラブホテル(映画より)
2人の主婦が繰り広げる浮気の顛末(てんまつ)をコミカルに描いた
内容だが、久しぶりに見た駄作であった。
△大学の学食でデートする主婦と浮気相手の大学生(映画より)
人気女優演じる主婦が、年下の大学生と浮気する場面などが話題を
呼び、一定の観客は集めた映画ではある。
女優目当てか、あるいは、韓国語の学習などの目的がある人で
なければ、時間の浪費にしかならない映画だろう。
(終わり)
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別に自慢するような話ではないが、目下、韓国で上映中のヒット作を、
又もや、中国系の動画共有サイトで鑑賞することができた。
■공작 「(直訳)工作」 2018年8月 〇〇〇〇-
(428)
90年代の南北朝鮮を背景に、韓国の貿易商(プサン方言を駆使)を
偽装し、北朝鮮の金正日総書記(当時)とも面会した経験があると
される、韓国の実在の諜報部員をモデルに、脚色を加え制作された
実話風スパイ映画だ。
△北の最高指導者と面会する韓国の工作員(映画より)
彼の任務は、潤沢な工作資金を元に中国で外貨稼ぎに従事する北の
要人との関係を深め、彼とのパイプをテコに北の上層部に浸透し、
核開発の実情を探ることにあった。
しかし、工作活動の過程で、彼は、韓国の情報機関(当時は国家安全
企画部)が、国内の総選挙や大統領選挙で保守派に有利な世論を
形成するため、北朝鮮に挑発行動(いわゆる「北風」)を依頼する
工作まで行っていることを察知する。
△韓国の対北工作活動の主要舞台は中国
彼は、大統領選挙を前に、パイプを作った北の改革派要人と力を
合わせ、金大中候補に逆風を加えようとする韓国の保守派要人と
北の一部勢力の目論みを阻止することに成功する。
△北京・王府井を歩く主人公(左、映画より)
非常に見ごたえのある本格的スパイ映画だった。
(終わり)
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