(プサンの街角で販売されている新聞 2005年12月)
韓国の世論に圧倒的な影響力を持っている全国紙が、朝鮮日報、
中央日報、東亜日報、いわゆる「朝・中・東」の大手3紙だ。
以前にもこのブログで紹介したことがある。
(プサンでは上記の写真に出ている新聞以外に、全国紙の「ハン
ギョレ新聞」や地域紙の「国際新聞」をみかけることも多い。)
ところで、この「朝・中・東」の3社は、それぞれ特定門閥の一族が
各新聞社を所有しているのみならず、経営や編集にも直接的な
影響力を行使していると言われ、韓国のジャーナリズムの公正で
健全な発展を妨げているとの批判が、折に触れ提起されている。
いわゆる「족벌지배(族閥支配)」批判がそれだ。
特に、中央日報については、経済的に巨大な影響力を持っている
サムソン財閥系の一族が所有していることで有名だ。
こうした問題は、プサンを代表する地域紙である「プサン日報」に
ついても例外ではない。「プサン日報」の株式を100%所有して
いるのは、パク・チョンヒ元大統領の娘である現ハンナラ党党首、
パク・クネ氏が理事長を務める「正修奨学会」である。この奨学会は、
他にプサンMBC(テレビ会社)の株を100%所有しており、MBC
本社の株も30%所有している。また、ソウルの京郷新聞社の
本社ビルの土地なども所有している。
この「正修奨学会」の名称である「正修」とは、パク元大統領夫妻の
名前から一字ずつ取ったものである。
奨学会の資産形成については、それが企業家による国家に対する
「純粋な寄付行為」であったのか、独裁政権による「不当な恣意的
収奪」であったのか、その解明と清算は、現代韓国政治に課せ
られた非常にデリケートな今日的課題であり続けている。
(終わり)
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