■얼굴없는 보스 「顔の見えない首領(ドン)」 2019年 〇〇〇--
(876)
2019年に公開されたインディーズ系のノワール映画。
全羅道の体育大学でボクシングをやっていた主人公の
男が、ソウルの遊興街でマフィアのボスをやっている
大学のOBからスカウトされ上京する。
男は、全羅道派のマフィア組織の中で、義理と人情を
重んじる行動隊長として頭角を現していく。
そして、組織を裏切り、組織の財産を持ち逃げしようと
したボスを追放し、ボスの地位を引き継ぐ。
△出所した主人公を出迎える構成員たち(映画より)
その後、組織を再建し、プサン派との抗争にも
勝利した男だったが、その過程で多くの命が失われた
ことに強い責任を感じ、苦悩を深めて行く。
そして、跡目を後輩に譲り、裏社会からの引退を決意
した男だったが、結局は、再建を目指すプサン派の
報復を受け、自らも命を落としてしまう。
なお、この映画では、皆が標準語を話し、悪役だった
プサン派のボス(抗争で死亡)だけが、濃いプサン
方言を話していた。
(終わり)
■60일의 썸머 「60日間の夏」 2018年 〇〇---
(875)
2018年に公開されたインディーズ系の家族ドラマ。
主人公は、いじめを受け高校に行けなくなった無職の
少年。
その少年が、長い間、断絶状態になっていた父と祖父の
関係を取り持ち、家族の絆を回復させるとともに、自分の
夢(ウェブ漫画家)の実現に向け、一歩を踏み出す。
この映画で、少年の交友の拠点として登場していた
場所がネットカフェ。
韓国にノートパソコンを持ち込むようになるまでは、
訪韓のたびに「ヲタク」もお世話になっていたのが、
このネットカフェである。
韓国語では「PC방」(PC房)。
ちょっと懐かしい気持ちがした。
(終わり)
■유병재의 블랙코미디 「ユ・ビョンジェのブラックコメディ」
(874) 2018年 〇〇〇〇-
2018年、ネットフリックスが配信したユ・ビョンジェの
スタンドアップコメディーショー。
抱腹絶倒とまではいかなかったが、時間がたつのも忘れて
聞き入ってしまうくらいには、おもしろかった。
△独特の語り口で人を笑わせるユ・ビョンジェ(映画より)
様々なテーマについて、ちょっと屈折した、どちらかと
言えば自虐的な視点から語っていた。
ここでは、「ヲタク」の笑いのツボをついた話の中から、
3つだけ紹介しておく。
①딸딸이...オナニー(俗語)
話者が自分のオナニーについて語ったのだが、あまり
下品な話にはしたくないからと、「オナニー」という
単語を全て「会議」という単語に置き換えて話を
進めて行った。
つまり、人一倍「会議」が好きで「会議」に特別の
思い入れを持つ話者が、「会議」中に起きた忘れ
られないエピソードやトラウマ、「会議」に関する
哲学などを語った、ということだ。
②개새끼야...ケーセッキヤ
男子中、男子高に通っていたころ、背も低く力も
弱かった話者が、厳しい男世界の中を生き延びて
行くために、「ケーセッキヤ」(ふざけるな)の
言い方だけを一生懸命に練習。
ついに、決して強そうには見えないが、「こいつには
手を出さない方がいい」とまわりに思わせるくらいの、
不気味ですごみのある言い方を体得した。
「キェーセッキヤ!」(ふずあっけるな!)
負けるとわかっているから喧嘩は絶対にせず、この
言葉だけを頼りに、何とか無事、いじめられっ子にも
ならず中高生時代を生き延びることができた。
オチとして話者は、自分のそういう姿を「北朝鮮の
ようだった」と語り、会場に悲しい(?)笑いを誘った。
③욕...汚い罵倒語
韓国語には、性器の名称などを使った汚い罵倒語が
多種多様に存在する。それでも、どんなに汚い罵倒語でも、
少しだけ言い回しを変え、丁寧に言えば、一種、不思議な
言語表現となり、聞く者はあっけにとられてしまう。
(終わり)
△自宅に届いた試験結果
10月に受験していたロシア語能力検定試験(3級)の成績表が
送られてきた。
結果は、残念ながら今回も不合格。
それでも、前回の初受験と比較すれば、格段の進歩である。
不合格(60%未満)科目は和文露訳の1科目のみ。しかも、
合格には4%足りない56%。
合格はできなかったが、「合格まであと一歩」という地点に
立てたことは間違いない。
しかし、その「あと一歩」の大変さは、「ヲタク」自身が
一番よく知っている。
今後、あくまで3級合格にこだわっていくのか。それとも、
一旦、目標を4級に下げるのか。
中国語学習に、もう少し時間を割きたいと考えている
今日この頃(きょうこのごろ)でもある。
この冬、プサン草梁洞のロシアタウン(中華街)で、
おいしいロシア料理や中華料理を食べながら、また、
じっくり考えてみることにしよう。
(終わり)
△博多ふ頭とポートタワー
この冬も、「ヲタク」がプサンを訪問する際にお世話になる予定の
博多港(福岡市)。
今では、貿易関係の仕事をしている「ヲタク」の長女が、働いている
港でもある。
その博多港の港運協会が、最近、就活生向けのリクルート動画(約2分20秒)を
制作したとのこと。
△日韓国際フェリー「カメリア号」
動画の中には、この冬、「ヲタク」が乗船する予定の日韓国際フェリー、
カメリア号も映っている。
△カメリア号の甲板
乗船の日が待ち遠しい「ヲタク」である。
(終わり)
■이,기적인 남자 「利己的な男」 2018年 〇〇〇〇〇
(873)
2018年に公開されたインディーズ系のコメディドラマ。
主人公は、インチョンにある大学の演劇映画学科の教授。
インテリのくせに妙に軽薄で女癖は悪いが、どこか
憎めないところのある40代の中年男だ。
結婚して10年になる妻も同じ大学で教えており、つい
最近、やっと妻が初めての妊娠をする。
しかし、男は、妻を気づかうどころか、平気で妻を
裏切り、若い助教の女性を無理やりホテルに連れ込もうと
して失敗する。
そんな男が、ふとしたきっかけで、妻の浮気を疑い
始めたところから、状況は一変する。
実際、妻は浮気をしていた。
△妻の浮気現場であるホテルに乗り込んだ男(映画より)
しかも、相手は、何と男がしつこくちょっかいを
かけていた助教の女性だった。
男が知らなかっただけで、実は妻はバイセクシャルで、
妻と助教は、以前から同性愛の関係にあったのだ。
映画に現れる夫婦関係を上から目線で他人事のように
論じていた男が、映画でも見たことがないような
現実に直面し、エゴも自尊心も崩壊して行く。
男は、妻とお腹の子に強く執着するが、妻は家を
出て行き、男にあっさりと離婚を迫る。
追いつめられた男は、悩み抜いたあげく、妻に
妻の恋人も含めた3人での同居を提案する。
それから1年後。
△妻を中心にした夫と妻の恋人と赤ちゃんの暮らし(映画より)
家庭に入り(育児休暇?)、かいがいしく赤ちゃんと
2人のキャリアウーマンの世話をする、幸せそうな男の
姿を見せながら、映画は終わる。
ナンセンスと言えばナンセンスな内容だが、実によく
練られた、「ヲタク」好みのコメディ映画であった。
(終わり)
■신문기자 「新聞記者」 2019年 〇〇〇〇〇
(872)
韓国では2019年10月に公開された日本の社会派サスペンス
映画。日本の政治的現実(安倍政権)を痛烈に風刺・批判
した作品だ。
△主演女優は韓国人女優のシム・ウンギョン(映画より)
リアルな世界でメディアに陰湿な圧力を加え続けている
首相官邸の顔色をうかがい、日本の女優(所属事務所)が
主演をしり込みする中、韓国人女優がいなければ制作
できなかった、との風聞まで流れた問題作。
ここでは、韓国人女優が主演を務めたこの日本映画を、
「ヲタク」が見た韓国映画の1本として、カウントして
おきたいと思う。
△韓国公開版には、当然、ハングル字幕が(映画より)
この映画で、韓国人女優のシム・ウンギョンは、
韓国人の母を持ち、アメリカで生まれ育った日本人
女性記者の役を熱演した。
いわゆる帰国子女という役柄だったので、微妙に
つたない日本語にも、十分、説得力があった。
まっすぐに真実を追究しようとした彼女は、国民の
目から真実を隠し、さらに事実を捻じ曲げようとする
強大で狡猾な権力の壁にぶち当たる。
彼女の前には挫折と絶望しかないように思える。
果たして彼女に、いや、この映画を見る私たちに、
希望や展望を見出すことは可能なのだろうか。
結局、それは、私たち一人一人が、まず自分が
生きている場所で、何を考え、どう行動するかに
かかっている、ということなのだろう。
「ヲタク」が見るに、安倍政権とは、「安定政権」と
いう羊の皮をかぶった「全体主義」のオオカミである。
(終わり)
■자칼이 온다 「ジャッカルが来る」 2012年 〇〇〇--
(871)
2012年に公開された異色のコメディ映画。
主人公は女の殺し屋、名はジャッカル。
そして、彼女が現役最後の仕事として引き受けた依頼が、
ある腹黒の有閑マダムの暗殺。依頼主は高齢の夫。
彼女は、有閑マダムの暗殺と同時に、自らのニセ者
である殺し屋の男、ニセジャッカルを始末する計画を
立てる。
2人を同時に始末するため、彼女は、ニセジャッカルに
有閑マダムの不倫相手(若いツバメ)である人気歌手の
暗殺を依頼し、マダムと歌手の密会場所であるホテルに
ニセジャッカルをおびき出す。
△殺し屋の女と人気歌手(映画より)
ドタバタ劇の末、彼女は見事(?)、計画を成功
させるのだが、何ともややこしくてわかりにくい
展開の映画だった。
ただし、この映画の舞台になったのが慶尚北道星州
(大邱市に隣接)のホテルだった関係で、劇中、
コミカルな慶尚道方言を話す個性的な人物が、多数、
登場した。
慶尚道方言ファンの「ヲタク」など、ただそれだけの
理由でけっこう楽しめた。
結局、「ヲタク」の場合、どんな映画でも、慶尚道
(プサンも含め)方言さえ聞こえてくれば、とりあえず、
映画に引き込まれてしまうようである。
(終わり)
■박나래 농염주의보 「パク・ナレ セクシー注意報」2019年
(870) 〇〇---
2019年、Netflixを通じ世界に配信された、人気お笑い
芸人パク・ナレのスタンドアップコメディショー。
△日本宣伝版より
恋愛や性を赤裸々に語る、かなりどぎつい内容の露骨な
下ネタ漫才の数々。
残念ながら、「ヲタク」の趣向には合わず、ほとんど
笑えなかった。
ただし、例によって「웃통을 까다」(喧嘩などする時、
もろ肌脱ぐ)などの韓国語表現を、新しく学ぶことは
できた。
■좋은 친구들 「狼たちのバラード」 2013年 〇〇---
(869)
2013年に公開されたノワール映画。日本で実際に起きた
事件を映画的に脚色した作品(冒頭のテロップより)。
△コリアンクラブで歌う1人の主人公青年の恋人(映画より)
日本のコリアンクラブなどを拠点に活動していた韓国人の
愚連隊グループが地元の日本人ヤクザと抗争事件を起こす。
△韓国人グループの主流派はヤクザの軍門に下ることを決めた(映画より)
そして、その後の手打ちと内部粛清をめぐり、韓国人
グループ内で凄惨な報復合戦が起きる。
その過程で、主人公である仲の良かった3人の青年の
うち、まず1人が粛清され、2人はその報復の過程で、
望まない殺人を犯し、自らも命を落とす。
「友情に殉じた破滅の美学」と見ることもできようが、
何とも虚無的な結末の映画であった。
(終わり)
■첫잔처럼 「最初の1杯のように」 2019年 〇〇〇--
(868)
2019年に公開されたインディーズ系の映画。
製薬会社で働く30代半ばの独身営業マンが主人公。
誠実さと人に対する優しさを忘れず地道に努力する
人間には、ちょっとした勇気さえあれば、仕事の面
でも恋愛の面でも、いつかは必ず福が訪れる、という
展開の物語り。
身を粉にして働きながらも、なかなか報われないで
いるサラリーマンに対する、応援歌のような映画
だった。
ところで、この映画の中で主人公がインスタント
ラーメンを作って食べるシーンがあった。
この映画に限らず、韓国映画には、かなり頻繁に
インスタントラーメンが登場する。
以前、「世界で一番インスタントラーメンを食べている
国民は韓国人」という記事を読んだ記憶があるが、
韓国におけるインスタントラーメン人気は、現在もなお、
健在と見てよさそうだ。
(終わり)
唐突ながら、久しぶりのシャープペンネタになる。
当ブログにも書いた通り、10月某日の日曜日、「ヲタク」は
福岡市でロシア語能力検定試験の3級を受験した。
その際、使ったシャープペンがドクターグリップの0.5mm
だった。
△「ヲタク」の受験用勝負ペンはドクターグリップ0.5mm
前回の受験では、書き取り練習に使っている、いつもの
0.7mmのシャープペンを使ったのだが、芯先が微妙に
太くて、細かい漢字を限られたスペース内に書き込むには
不向きだった。
その点、0.5mmはいい。
狭いスペースであっても、鮮明な漢字が書き込める。
試験を受けている最中にも関わらず、指先に感じさせて
くれた「小さな快感」に感謝である。
(終わり)
■니나 내나 「あなただって私だって」 2019年 〇〇〇〇-
(866)
2019年に公開されたインディーズ系の家族ドラマ。
主人公は3人姉弟。
慶尚南道晋州に暮らすシングルマザーの長女と新婚の
長男。そして、プサンに暮らす末っ子。家族には
打ち明けていないが、彼はゲイ(恋人は不法滞在中の
韓国系カナダ人)。
晋州で長男と写真館を経営していた老父は、痴ほう症に
かかり、現在はけがで入院中。
そんな姉弟の元に、ある日突然、病床に伏す母親から
「会いたい」と書かれた1枚の手紙が届く。
その昔、横暴な夫から逃げるためとは言え、姉弟を
捨て家を出て行った老母に対し、姉弟はそれぞれに
複雑な心情を抱いていた。
それでも、姉弟は母が入院している非武装地帯近くの
街(パジュ)の病院まで、車を走らせることにした。
△3人姉弟と長女の娘(映画より)
結局、姉弟がパジュに着いた時、老母はすでに遺骨に
なってしまっていたが、母親が優しい老人(内縁の夫)に
看取られたこと、病気で倒れるまでずっと、事故死
した次男の名前を取った店名のうどん屋を経営して
いたこと、などを知る。
途中、家族につながる縁者が数多く登場し、若干、
焦点が散漫になる嫌いはあったが、家族の絆が
回復される物語の展開にすっかり引き込まれて
しまった。
これには、姉弟たちの話す言葉が、「ヲタク」にも
なじみ深い釜山(慶尚道)方言だったことも大きい。
全く誇張のない、自然で落ち着いた釜山方言だった。
(終わり)
先日、「ヲタク」の妻(プサン出身の韓国人)が地元の
スーパーで韓国のカップ麺を大量購入した。
1個50円(税抜き)という激安価格に引かれたそうだ。
△元来、「ヲタク」は辛いものが苦手
しかし、いざ食べてみると「辛いだけで味に深みがない
から、もう食べたくない」とのこと。
そこで、「ヲタク」に食べろ、ときた。
理不尽である。
△「突き抜ける辛さ」など、迷惑である
とは言え、この程度の理不尽さに腹を立てていては、
夫婦関係は維持できない。
とりあえず、「ヲタク」は、粉末スープを3分の1程度
入れて「試食」してみた。
味はまあまあ。
それでも、けっこうな辛さで、額からは大量の汗が
噴き出し、おまけに唇が痛くなった。
<追記>
数日後、妻は気変わりし「やっぱり食べる」と言ってきた。
一件落着である。
(終わり)
■걱정말아요 「心配しないで」 2017年 〇〇〇--
(865)
2017年に公開されたインディーズ系の短編映画。LGBTを
主人公に描いた3本の作品のオムニバス。成人指定。
①애타는 마음「焦がれる思い」 〇〇---
△主人公はさみしくなると車をゲイの街・N洞に向ける(映画より)
タクシー運転手をしている、さえないゲイの中年男が、
ソウルの代表的ゲイコミュニティーであるN洞(鐘路3街)で、
自分好みの若い美青年と出会い、ドタバタ劇の末、結ばれる
までをコミカルに描いた作品。
自らもゲイである美青年が、最初は中年男を「変態!」と
はねつけながらも、最後に結ばれていく展開がおかしかった。
「ヲタク」の場合、ゲイではないが、男女関係とダブらせて
見てしまうことで、一種、不思議な感情移入が可能だった。
決して自慢できるような話ではないにしろ、ある意味、
「ヲタク」だって、十分、「変態」なのだ(一部女性に
対してのみ)。
②새끼손가락「小指」 -----
同性愛者の支援団体を舞台にした、美青年同士の恋の
物語。
「ヲタク」の趣向には全く合わない作品だった。
③소월길 「素月道路」 〇〇〇〇-
△ニューハーフと中年女性(映画より)
主人公は、ソウル中心部のS通り沿いの一角で売春を
しているニューハーフの女性と中高年女性の2人。
この作品では、社会の闇を生きる2人の数奇な交流と
心温まる人間的友情を描いている。
3作品の中で「ヲタク」が最も心を動かされた作品である。
(終わり)