BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

虚構推理 第1話 『一眼一足』 感想

2020-01-12 09:44:26 | 虚構推理
なんかちょっとイメージしていたものと違った。

もっとシャープな画面づくりをしてくると思っていたのだけど、思いの外、コミカル、というか、間抜けな絵になってしまった。。。

うーん。

なんか、ちょっとこれじゃないかなー感が強い。

あと、シリーズ構成もちょっと原作と変えてきたね。

最初に短篇をいくつかこなして、そこで琴子や九郎のキャラを先に紹介してしまおう、ということみたい。

で、一通り、この世界の様子やキャラの性格がわかったところで、おもむろに「鋼人七瀬」の事件に向かう展開のようだね。

確かにそのほうが「鋼人七瀬」の話をテンポよく、加速させて終えられるようには思えるので、多分、正解。

あと、CVは琴子の方はアタリだね。ああいうなにを語るにしても必ず一言二言飲み込んで語るタイプの、言葉を選ぶ、その分腹に一物抱えた感じの、ちょいワルでマセた女子の役は、とても合っているw

一方、九郎の方は、原作で受けた印象はもう少し根暗な感じだったので、ちょっと優男すぎる気もするけど、こんなもんなのかね。

ともあれ、全体的に、怪異譚というよりも日本昔話のようなコミカルな感じになってしまったことが、どう転ぶか、かな。

どうでもいいディテールだけど、落ち武者とかのアヤカシは、絵面的にはガチな造形でありながら、芝居でコミカルな雰囲気を作ったほうが、原作の雰囲気に合っていると思っていたので、そういうところがとにかく心配。

漫画風の絵面にはアヤカシはしてほしくなかったかな。

もっとも、こんなふうに感じるのも、同じ作家の原作ということで、『絶園のテンペスト』のボンズの雰囲気をイメージしながら、原作を読んでしまったからなのかもしれないけれど。

物語的には面白いと思っているので、あとは画作りがどこまでそれにマッチしていくのか。

そういう意味では、ちょっと「鋼人七瀬」が心配だったりする。

きちんと、シリアスに振ってほしいな。コミカルではなく。

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城平京 『虚構推理』 感想

2019-07-25 14:56:02 | 虚構推理
たまたま講談社タイガのところに並んでいたので、手にとったら、なんか感じるものがあって、読み始めてしまったのだけど、意外と、というか、予想通り、面白かった。

怪異とか、インターネットとか、なんか、ちょっと古いなぁ、と思っていたら、この本、2011年に出ていたのね。
ただ、オチ自体は、特に古いと思わなかったので、逆に、この10年くらいの間、ネットって全然変わってないんだな、と思って、そっちの方に驚いた。

あとは、作者が『絶園のテンペスト』の原作者だったのね。
ものすごい納得。
だから、こんな今どき、もったいぶった演劇的世界で物語をつくってるんだなー、と思った。

タイトルの通り、「虚構」の「推理」が主題。
要するに、作中、登場する怪異が、実は、人びとの集合意識によって「真実」らしくなったもので、その「真実らしさ」を担保している「虚構」を、これもまた「虚構」で上書きして、なかったものにする、という話。

で、そうした物語を展開させるために、子供のときにアヤカシにさらわれ、彼らの知恵の神になるため、右目と左足を奪われ「一眼一足」の「おひいさま」になったヒロイン岩永琴子と、
未来予知の怪獣「くだん」と不死をもたらす「人魚」の肉を子どもの頃に一族の悲願として、それと気が付かぬうちに食わされ、その2つの能力の「捕食」に成功した琴子の恋人・桜川九郎、
の二人が主人公の話。

といっても、本巻では、九郎の正体を知って逃げ出した九郎の元カノの弓原紗季が最初から最後まで出ずっぱりなので、事実上、3人目の主人公として活躍していた。まぁ、主人公というよりも、琴子と九郎へのツッコミ役であり、怪異の存在をもはや日常としている琴子と九郎の様子に対して、まさに読者代表としていちいち驚いてくれる役。

なので、お話の「面白さ」という点では、この紗季さんの存在は大きかった。
でも、どうやらゲスト出演のようだから、次作以降は出てこない?ようなので、お話としてはちょっと心配。

で、肝心の「虚構推理」の部分は、いつの間にか、ネットのまとめサイト/掲示板への書き込み対決になってしまって、地味なこと、この上ないw

いや、その間も九郎くんはずっと怪異の「鋼人七瀬」と死闘を繰り返しているのだけどw でもその場面は直接は、物語の終結には関わってこない。

正確には、九郎くんは、臨死状態になって初めて「くだん」の未来予知、というか未来確定能力を発動させることができるので、怪異と戦って死んでは生き返るのを繰り返すことで、事件の解決には多分に貢献はしているのだけど。

でも、それは、まさに作中の「設定」でしかなくて、ビジュアル的には全然問題解決には絡んでこない。

なので、ほんと、地味。

推理と言ってるけど、どちらというと、法廷ドラマにおける知略戦。

なので、小説で読む分にはまぁまぁ、面白いけど、これ、映像化してもさえないだろうなぁ、という感じしかしない。

でも、どうやら来年1月にアニメ化するらしいw

まぁ、ネタ的には西尾維新の化物語に近いノリなんだけどね。

でもなぁ、九郎くんのCVが宮野真守って、合ってない気がするな―。九郎って、あんな甘ったるい声じゃない感じがするんだけど。。。

ともあれ、どんな絵になるんだろうねぇ。

若干、気になったのは、琴子が一眼一足になったこと自体は、アヤカシの世界にコンタクトできる点で妥当な取引だった、とサバサバと受けいれているところかな。

まぁ、そこでウジウジされてもお話が前に進まないから、当然といえば当然なのだけど、そのあたりの身体喪失に対するサバサバ感が、なんか戯言シリーズ時代の西尾維新みたいで、さすがに古いな、と思った。

今どきは、痛みに対しては大いに「痛い!」と声に出した上で、自分自身を納得させるプロセスがキャラには必要に思えるのだけど。
そのあたり、今後、少しはいじってくるのかな。

ともあれ、世界観自体は面白いことは面白いので、それを次作以降は、もっとスムーズに生かしてくれるといいかな。
いかんせん、今回は、第1巻ということで、そうした設定は、まさに説明のための説明として使われただけで、今ひとつだった気もするので。

ていうか、九郎のくだんと人魚を両方食らう設定って、あまりにもピンポイント過ぎて、都合良すぎね?とは思ったけど。

なので、琴子と九郎の「敵」として、九郎の一族で九郎と全く同じ能力をもつ「六花」を配したのだとは思う。
要するに、九郎も六花も、一種の改造人間ってことね。
で、それが善玉の改造人間と悪玉の改造人間に分かれて争いつつ、しまいには、改造をした張本人たる一族に復讐?するとかいう展開になるのかなぁ。

というわけで、今後、シリーズとして面白くなる可能性は高いと思うのだけど、いまだに続きは、短編集が1冊と、最近出た長編が1冊(といっても第1冊ほどは厚くないw)があるだけ、というので、ちょっと心配。

それこそ西尾維新なら、半年1冊くらいのペーで出して、今頃は、第15巻あたりが出ているくらいの時間は過ぎているw

設定が命の物語は、その設定が古びないうちに物語を進めないと、容易にホコリを被って化石になってしまうから。

ともあれ、続きにも手を出すつもりではある。

ちなみに、『絶園のテンペスト』は嫌いではなかったので、ちょっと期待はしているw

ただ、『絶園のテンペスト』もそうだったけど、作風としては、やっぱり古いんだろうなぁ。

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