BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

七つの魔剣が支配する 第5巻まで(原作) 感想: これはなんとも巧妙に組み上げられた復讐譚でありピカレスクロマン!

2023-08-03 17:06:41 | 七つの魔剣
先に感想を書いたコミックの42話がおおむね原作の3巻までの内容だったので、そのまま原作に移行w

で、読んでみたら、どうやら5巻が序盤の区切りだったように感じたので、ひとまず、ここまでに思ったことをまとめておくことにする。

ていうか、それくらい5巻が物語の設定や背景を語る場面が多かったってこと。

5巻までに、オリバーは母クロエの仇として、ダリウスとエンリコを討ったわけだけど、その背景となる事情が、クロエが存命中のエンリコとのやり取りを含めて、あれこれ書かれていた。

で、先に一番大事だなと感じた思いつきを書いておくと、

多分、ナナオは、今現在エスメラルダ(学園長)の中に取り込まれている亡きクロエの魂を移し替えるための「器」として、シェルの父セオドールによって見出されて、学園にまで連れてこられた、ってことなのだろうな、ってこと。

どうしてそう思ったかというと、一つには5巻のオリバーVSエンリコ戦で描かれたように、いくらクロエの遺児とはいえ凡夫のオリバーでは、千年の一人の超天才魔法使いクロエ=ハルフォードの魂を降ろす先としては、絶望的なくらい矮小だから。

裏返すと、クロエの魂を移すには、クロエに匹敵するくらいの天賦の才を持った逸材を見つけるしかなく、その逸材が、どうやらナナオだったということ。

だから、エスメラルダとクロエの先輩で両者と親しい友人でもあったセオドールは世界中を旅して、東方の地でイノセントカラーの素養のある侍ナナオを見出してきた。

セオドールからすれば、クロエの殺害の際にその魂と融合したエスメラルダを、魂魄融合の苦しさから解放してやりたいということなのかもしれない。

だからこそ、4巻で、セオドールは、入学後1年経ったナナオの「器」としての成長ぶりを試すために、わざわざ人斬りを用意して、ナナオの腕を試すようなことをしたのだろう。

で、こうなってくると、どうしてエスメラルダたちはクロエの殺害を計画したのか、ということになるわけで、そのことはおいおい語られることになるだろうと思うけど、5巻の内容をみる限り、それは、異界(水金地火木土天冥)の神に帰依した異端の討伐の中で、たた討伐するだけではだめだと考えたクロエへの対処であったことは間違いなさそう。

で、エスメラルダがクロエを慕っていた後輩ちゃんだった、ってことからすれば、他のものにクロエが討伐されるくらいなら、自分たちの手で討ちたいと考えたとしてもおかしくない。

そうはいっても、クロエの才能は失うにはあまりにも偉大だったので、だったらその「魂」を奪い取ることで、クロエの才を後世に伝える機会を残したいと考え、そのための魂の器としてエスメラルダが名乗りを上げたということなのだろう。

で、それならクロエ討伐を言い出したのがエスメラルダだったというのも納得できる。

同時に、ただ殺害するだけでなく、クロエに考えつく限りのありとあらゆる拷問を尽くした上で殺したのも合点がいく。

というのも、5巻で、オリバーがクロエの魂を受け入れる際には、事前に父によって心身ともに擦り切れるほどまで痛めつけられたところで、そこまでいってようやく生じる魂の引き合い?によって、母クロエの魂との融合をようやく始めることができたから。

同様のことは、魂を引き剥がされるクロエにとっても必要だったのではないか。

そして、そうなると、クロエの魂を受け止める器として自らを差し出したエスメラルダにしても実は、ほぼ死に体の状態にあったのではないか。

だから、むしろ、状況的には、エスメラルダが、エンリコにように後にクロエの殺害者・拷問者として名を連ねるものたちによってまさに殺害されようとしている場面に、そのエスメラルダを救済しようとクロエが駆けつけ、エスメラルダ解放の条件として、自らが痛めつけられる方向を選択した。

裏返すと、エスメラルダは、自らを餌にしてクロエをおびき出し、自らの解放のために、クロエに魂を献上せよと交渉したのかもしれない。

クロエからすれば、そうしたエスメラルダの意図を組んだ上での殺害(実質的な自殺?)だったので、その超天才性によって、魂を分割し、残りの魂が後にオリバーのもとに届くようにしたのかもしれない。

・・・って具合に、クロエ殺害の真相が、いずれは明らかにされるのだろうな、と期待している。

同時に、こういうことなら物語の最後では、エスメラルダからクロエの魂を譲渡されたナナオが、同じくクロエの魂をもつオリバーと真剣勝負を行う場面もあるのかもしれない。

で、それは、とてもドラマティックだなーと。

と、こんなことを5巻読了後に思いついてしまったので、とりあえず書き留めておこうと思った

なにはともあれ、業の深い物語だよ。

表向きのハリポタ的魔法ファンタジーとしても、その裏にあるオリバーの復讐譚にしても、そのままでは物語としては終わらないのは間違いなくて。

なんだったら、「クロエの悲劇」が、ナナオに対して、オリバーやシェラ、ガイ、カティ、ピートたちによって繰り返される、という惨劇による終劇もあるかもしれない。

『アルデラミン』の作者だったら、それくらいのバッドエンド、なんの痛痒もなく描ききってしまいそうで怖い。

でもだからとてもこの先が気になるw

ということで、6巻に向かうことにするw

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七つの魔剣が支配する 第42話 『救出』 感想

2023-07-31 09:48:21 | 七つの魔剣
正確にはコミックの42話までの感想。

それでわかったのは、この物語の基本プロットは、オリバーによる、彼の母を殺した学院の教師たちに対する復讐であること。

母殺しへの復讐という点では、これもギアスの系譜で、オリバーはいわばルルーシュの変種。

ただ、その一方で、ルルーシュのように学生の友人を駒として使うのではなく、ナナオやシェラたち剣花団との友情を育んでいく話でもある。

その点は確かにハリポタっぽいw

物語の主たる目的が復讐にあるため、主人公のオリバーも常に仮面を被っていなければならず、つまり感情に身を任せて行動するところにどうしても制動がかかるので、ナナオとの距離も縮まりそうでなかなかそうもいかない、という感じなのも、見どころのひとつなのだろうけど。

オリバーの不思議なのは、ガルダ事件のときに、結果として助力してくれたアンドリューズに敬意を払うところに見られるように、むしろ、同僚に対しては徹底的に公正であろうとしているところがある点。

なので、結果的に物語全体としては、老害は排すべし、若者は連帯すべし、という感じのGenZっぽい性急さが見られなくもない。

そう思わせるオリバーの行動がやっぱり不可解といえば不可解。

こういうのは、一人称の語りが可能なテキストのほうがしっくり来る類のものかもしれない。

そう思って気づいたのは、この作品の作者って『天鏡のアルデラミン』の作者だったのね。

『天鏡のアルデラミン』ってかなり異色の物語で、だいぶ度肝を抜かれたことを思い出した。

だって、ヒロインだと思っていた武人の女傑イグセムを物語の中盤であっさり殺してしまったから。

いや、もちろん、主人公の盾となって、という英雄性はもちろんあったのだけど。

なので、そのノリでいけば、『七つの魔剣』も、途中でオリバーをかばってナナオが死ぬ、という展開もありえそう。

ヒロインの早期脱落という点では、シェラが死ぬ可能性もなきにしもあらずだけど。

ともあれ、そういうヤバさを抱えている作品になるのは多分間違いないのだろうな。

そういうわけで、当初感じたナナオの侍としての生硬なウザさも、あえて作り込まれていたということで納得。

とはいえ、なかなか微妙な話だよな。。。

無駄に世界観の設定に凝っていて、その分、その説明のための用意された物語が目立つのもちょっと気になる。

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七つの魔剣が支配する 第4話 『円形闘技場(コロシアム)』 感想

2023-07-29 11:22:33 | 七つの魔剣
おお、今回はいいじゃん。

どこまでも下品に徹するお貴族様wたちはまぁ、お約束だからおいとくとしてw

そんな輩を盛大に一喝するナナオは、やっぱり心地よい。

まぁ、あれだけの空気読まないウザキャラなんだから、こういうときはちゃんと吠えてくれなくちゃね、とは思うけど、それにしても見事な一喝!

で、そのまま、強者(なんだよね?)のガルダに挑み、オリバーの助力を得て、その首を切り落とすのだから、いやー、痛快w痛快w

で、そこに、ぐじゅぐじゅと面倒ないじめっ子ムーブをしてたアンドリューズが加勢する、という、ジャンプっぽいお約束の徹底。

うん、なんかある意味、お約束の上にお約束を重ねたフルコースみたいw

でも、そういうのって美味しいんだよね、やっぱり。

ということで、これで、ツンデレなアンドリューズくんも、オリバーたちの準・仲間になったと思っていいのだろうな。

もちろん、ガルダを差し向けた黒幕がいるはずなので、そいつをどうするか、というのが次のフェーズなんだろうけど。

それにしても、定番通りのラノベ展開で笑える。

でも、こういう確執を経た勝利と友誼、というのは、なろうではすっかりスルーされルノが当たり前になっているので、一周回って新鮮といえなくもなくw

ともあれ、アクションの作画はスゴイと再認識させられた回だった。

ここまでくると、なんか、伝統芸能みたいに思えてきたw

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七つの魔剣が支配する 第3話 『死兵(ソルジャー)』 感想

2023-07-22 21:21:10 | 七つの魔剣
うーん、なんかどこを見てもウザいキャラしかいなくてちょっとゲンナリしてきたw

ナナオ、ウザい、カティ、ウザい、アンドューズ、超ウザイw!

それに、いきなり煉獄さん!wが登場してビックリしたぞw

まぁ、これは偶然の為せる技でしかないのだろうけどw

なんていうか、なろうに慣れきってしまった後だと、こういうお約束のうえにお約束をこなしていく厨ニ的プロットって、結構、つらいなぁ、と。

自分ツッコミと言うなの反省がない子どもたちが主人公というのはマジでつらい。

とにかく、ナナオの死にたがりは面倒だなぁ。

あと、取ってつけたように「魔剣」が解説されていたのはご愛嬌。

教師も、良い教師とイカれた教師に二分されているのねー。。。

どこを見ても書き割りのようなキャラばかりで、この展開じゃ、正直なろう以下なんじゃないの???

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七つの魔剣が支配する 第2話 『魔法剣(ソードアーツ)』 感想

2023-07-15 18:06:02 | 七つの魔剣
ちょっと驚くくらいちゃんと魔法学校してるw

今回は、オリバーたち仲間の性格の紹介、並びに簡単な掘りさげ、という感じ。

あとは、生意気そうな同級生と、ヤバメの教師、それと後輩イビリの先輩w

ある意味、全てがテンプレ通りで、しかし、それを誰も斜に構えずに真面目にやっているのがね。

とりあえず、あのままオリバーとナナオが切り合っていたらヤバかった、というのはわかった。

そもそもオリバーはなんで、ナナオが実際に人斬りをしてきたとわかるのか?

ってことは、オリバーもすでに人を殺めているということか?

という具合に少しずつ疑問を持たせて話の次を期待させるのは素朴に上手いと思った。

次回、とりあえず、先輩諸氏とどうやり合うのか。

図ったかのようにピートがウザいのが、マジでウザいw

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七つの魔剣が支配する 第1話 『入学式(セレモニー)』 感想

2023-07-09 17:27:47 | 七つの魔剣
なんか随分古風な、一昔前のラノベみたいな始まりで、結構びっくりw

そんなふうに思うとは、いつの間にか、どうやらすっかりなろうの定番に毒されてしまっていたらしいw

もちろん、原作は未読。

しかし、いまどき「ござる少女」とは。

聞いているほうが恥ずかしくなる。

てか、演ってる人も恥ずかしいんじゃないの?と思ったりw

なんかオリバーって胡散臭いなと思っていたら、最後になってやっぱり訳ありだったこともわかり、それもラノベっぽくて笑ったw

オリバーのCVの田丸篤志ってどうも声質が苦手で、この人が出てくるとついつい敬遠していたのだけど、今回の演技はなんだか石田彰みたいで、ちょっとこれなら平気かな、と思った。

ともあれ、まずはオリバーとナナオがメインなのはわかった。

でも、それと合わせて、いきなりオリバーの仲間たちを、今回の冒頭の騒動で無理やり集めてそのまま固定する、というのは、いくらなんでも力技すぎでは?と思ったので、そこは苦笑。

校長のイキった挨拶も今時珍しいな、と。

ということで、とにかく、一周回って、随分と古典的な一昔前のラノベっぽい物語で、なんだかむず痒い。

真面目に中二な魔法ラノベをやられるとこんなにも小っ恥ずかしいのかとw

そういう意味で、なんだか逆張りで悪目立ちしているw

しかし、いまどき、ござる少女とはw 

なんか、作者の感性に驚くよw

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