これは人骨です。鳥葬の後の人骨です。人骨そのものについてびっくりしたのは当然ですが、和田さんの著書、ホームページなどでカラーシャ族について事前に調べていたのですが、鳥葬については全く触れられていないのでビックリが2倍になりました。帰国していろいろ調べたのですが、やはりカラーシャ族の鳥葬に触れられている文献に出会うことができませんでした。たとえば、ウィキペディアの英語版はかなり詳しく(A412ページ)カラーシャについての記載があるのですが、鳥葬についてはぜんぜん触れられていません。ただゾロアスター教の影響という文言はありました。というわけで9月27日に世界初公開の写真といったのはこの写真のことです。
イランでのゾロアスター教の鳥葬については6月18日に少し紹介していますが、世界的にはその他チベット仏教が有名です。このカラーシャ族の居住地は地理的に両者に近いのですが、どちらの影響か、それともカラーシャ族独自のものかは私には分かりません。
附録 犬葬について
犬葬については6月18日に少し触れましたが、その後SKYさんからのコメントもありましたが、そこで述べましたように他に証明するようなものはないかと探していたところ、見つかりました。そこでそれを紹介しておきます。吉田豊氏と景山悦子氏の月刊誌「しにか」(2002年9月号)記載の論文「ソグド人―典籍を補う最新の出土資料から」(p48~49)と吉田豊氏の週刊朝日百科 シルクロード紀行13「ソグド人」(p22)です。両者を付き合わせて紹介します。
607年にソグド(ゾロアスター教徒)を訪れた葦説が「西蕃記」という報告書を書いています。その書は次のように記しています。「サマルカンドの郊外に200戸ほどの葬儀を行う集落があった。彼らの仕事は飼っている犬に死人の肉を食べさせ、残った骨を拾い集めることだった。ゾロアスター教は死人の腐肉が神聖な火・土・水に触れることを禁じている。」ソグトでは骨を収めた陶器(オッスアリ)が多数出土している。なお、このオッスアリはこのブログの2008年7月25日に紹介しています。
訂正
後日わだ晶子さんに問い合わせのメールを出したところ「鳥葬」説の誤りをご指摘いただきました。2008年10月30日と2009年3月1日にその内容を転載しています。