最初にタナ・トラジャへの入り口ゲートを紹介しましたが、この写真はさようならゲートです。SELAMAT JALAN は残る人が去る人に贈る「さようなら」という意味のインドネシア語です。トラジャ語でないことに注目ください。
写真はトラジャのガイドUDIN Mさんです。マンダル人でイスラーム教徒です。バリ島のガイドはバリ人でヒンドゥー教徒であることはすでに紹介しました。ジャワ島のガイドはジャワ人のプリヤディさんでイスラーム教徒です。各々の母語は異なります。多民族国家ですね。
彼がトラジャ語を教えてくれました。左がトラジャ語で右が英語ですね。ちなみにインドネシア語の「ありがとう」はtorimakasih 「おはよう」はselamat pagi です。表記文字はすべてこのようにラテン文字です。
インドネシアはいろんな意味で多様な国家です。インドネシア政府の国是は「多様性の統一」です。民族の指標になる言語はウィキペディアの日本語版は583以上、英語版では700以上、小川忠氏によれば(「インドネシア 多民族国家の模索」)415というわけです。人口2億4千万人でジャワ語の使用が6000万人、ついでスンダ語が2400万人と続きます。インドネシア語はこの国を構成する民族の言語ではなくマレー語に起源をもつ交易言語が元になりました。
「多様性の国家インドネシア国家統一の最大の武器は、インドネシア語にほかならない」(小川忠p18) 今回の旅行で感じたのは小川氏のこの指摘の正しさでした。
土産物屋の店員をはじめとして私の接触した人はすべてインドネシア語と自民族の言語のバイリンガルでした。尋ねた土産物屋の店員同士の会話は当然インドネシア語だそうです。家に帰っての家族同士の会話は所属の民族語ということでした。
聞いてみると新聞はすべてインドネシア語ということでした。民族語の新聞は禁止ですかと尋ねてみましたが、肯定的にこたえる場合と、部分的に民族語が併載されている場合もあるかのような返事もありました。家族同士の手紙のやり取りなどもインドネシア語である場合が多いような返事でした。すでにインドネシア語が母語になっている人もいるようです。学校教育はすべて幼稚園からインドネシア語です。
この村で出会ったトラジャ人です。この人と以下のような会話をしました。私「あなたの宗教は?」。答え「クリスチャン」。私「アクロイド教では?」。答え「そうだ」。 トラジャ人「あなたの宗教はシントウですか」。私(ビックリ)「違います」
私のコメント。
1、キリスト教徒とアクロイド教の習合。
2、シントウは神道のようです。これにはビックリ。しかし、この質問は今 回だけではないくつかで国で「あなたの宗教は仏教ですか」と尋ねられ、違うと答えると「それでは神道か」と言われたことがありました。
どうも日本の「神道」は世界界的には比較的よく知られた存在のようです。