中近東ではすっかりチャイに取って代わられたコーヒーですが、 ヨルダンではコーヒーではならないシチュエーションがあります。 以下はヨルダンのガイドJさんの物語です。
2001年9月11日以降の01年、ヨルダンでは海外からの観光客がほとんどなくなってしまいフリーランスで仕事をしているプロのガイドの多くが仕事がなく厳しい日々をすごしていたそうです。 そんなとき風邪をひき泣きっ面に蜂の状態で会社の近くの薬局に行ったJさんは薬局の彼女に一目惚れしてしまった。 毎日毎日風邪薬を少量だけ買いに通った2週間後とうとう彼女がJさんに“もう治ったはずよ。そんなに毎日毎日薬を飲むのは身体によくないのよ。”とやさしく諭してくれたそうです。 そのときにJさんは自分の思いを伝えて次の週にデートすることを約束して付き合いが始まり1年後に結婚を考えるように、、。
まだまだ結婚に両親の関与が多く見られるイスラム圏での恋愛結婚は珍しいようです。 ご両親への挨拶は、先ず男性側が女性側にします。しかし本人が直接出向くのではなく、Jは一族で一番権威のある叔父に代理を頼みました。叔父さんは数人の代表団を結成して彼女の家に、、、。もちろん彼女側の家族もこの訪問がどんなものかは分かっています。 代表団が彼女の家について応接間に迎えられると着席。そこに必ず出されるのがアラブ式コーヒーなのだと。 コーヒーが出されると叔父さんは厚く礼を述べ、しかし厳かな口調で、来訪の意図を話し、自分たちの望みが受け入れてもらえないままではこのコーヒーを飲むわけにはいかないと伝えます。彼女のご両親も押し黙ってしばらく熟考したあと厳かに、代表団の望みを了承したことを伝えると、叔父さんは破顔して満面の笑みとともにおいしそうにとっくに冷てしまったアラブコーヒーを飲み干したあとすぐに新しいコーヒーがいれられたそうです。 現在2人には2人のかわいい子供がいてお父さんのJさんは転んでくじいた足を引きずりながらもがんばって仕事をしていました。
(管理人)写真はヨルダンのアカバで伊藤さんが撮影したものでアラブコーヒーを入れているところ。2007年5月11日に紹介したようにここのコーヒーもトルココーヒー同じですが(こちらが元祖)トルココーヒーというと叱られるそうです。ヨルダントラディショナルコーヒーだそうです。