採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

モディカチョコレート

2012-02-16 | +お菓子・おやつ

店先からはすっかりチョコレートは片付けられてしまい、ピンクカラーのひな祭りモードに変身しています。

でも、私はまだチョコレート気分。

という訳で、チョコレートにも色々ある中でも珍しい「じゃりじゃり」のチョコレートをご紹介します。

 

チョコラータ・ディ・モディカ。
シチリアの南端ちょっと西側のモディカという町のチョコレートです。

メーカーはいくつかあるようですが、こちらはアンティカ ドルチェリア リッツァという工房のものです。 

(marinoさんありがとうございました!) 

中味はこんな感じ。
写真からは分かりませんが、持ってみるとずっしり重たいチョコレートです。

そして何より特徴的なのはその質感。
写真で分かるかなー。
大きめのツブツブはナッツなのですが、チョコレート部分に、細かい白い点々があるのが分かるでしょうか。
これは、(溶けていない)お砂糖です。 
なので、食べるとお砂糖がじゃりじゃり! 
チョコレート部分も、滑らかな口溶けではなくて、通常のものよりザラザラと粗い感じです。 

しおりには、お湯で溶いてココアにしてもよい、とあります。


このモディカチョコレートは、アステカ民族が儀式の際に作っていた時と同様の、大変由緒ある(原始的な?)製法で作られています。

カカオ豆を細かくすり潰して作った塊(カカオマス)をまずある一定の温度に温めます。
(終始45度以下の低温を保つことで、このチョコレートに不可欠な砂糖の結晶が溶けないようにしているそうです)
ここに、キャスター・シュガー(グラニュー糖みたいなもの?)と香料などを加え、アステカ時代の石臼(metate。台のついた四角い石板で、中程の膨らんだ麺棒状のものを転がしてものをすり潰す)の代わりにリファイナー(磨砕する機械)で擂り混ぜて、型に流し込みます。
温度を上げず、またコンチング(精錬)工程を行わず、また他の成分(植物油・乳製品・レシチンなど)を添加しないことで、カカオの香りが際だってくるとか。

確かに食べてみると、ジャリジャリ感はあるものの、ものすごくインパクトのあるカカオ味です。
カカオ分70%とか80%の板チョコにも負けないくらいです。
(カカオ豆そのままということは、カカオ分45%くらいのはずなのだけれど??) 
後味もスッキリしていて、味が濃い割には後をひきます(父は、あっという間に1本食べてしまっていました)。

じゃりじゃりのもの(ザラメせんべいとか、ザラメまぶしカステラ(!))が苦手な方はどうかわかりませんが、チョコレート好きならば、一度は食べてみる価値があるかもしれません。

そういえば、イタリアの方って、エスプレッソが大好きですよね。
しかも、30ccくらいの少量のコーヒーに、お砂糖をスプーン何杯も入れたりして。
飲むと言うより、コーヒー風味のジャリジャリを食べる、という嗜好の人もいるようです。
このモディカチョコレートはそれに近いのかも? 

======================


ちなみにカカオの加工工程はこんな感じです。

(1)【収穫】カカオポッド(ラグビーボール型)を木から収穫する。

(2)【発酵】ポッドから果肉がついたままカカオ豆を取り出し、木箱などに入れて1週間程度発酵させる。

(3)【乾燥】豆を広げて天日で(もしくは乾燥器で)乾燥させる。 ここで、カカオ豆生産地から出荷。

(4)【選別】【焙煎】加工地に運ばれた後、ふるいや目視などで異物を取り除く。
これをロースターで(コーヒーよりは低温で)焙煎する。 

(5)【粉砕】【風選】焙煎後の豆は、粗く粉砕され、風選によって外皮と胚芽を取り除かれる。
選別が済んだ粗く粉砕されたカカオ豆は、カカオニブと呼ばれる。
(最近、チョコの中に入っていたりしますよね)

(6)【磨砕】カカオニブを、磨砕機で0.1ミリメートル程度まですりつぶす。 カカオニブには55%程度の天然の油脂分が含まれるため、磨砕直後は液状であり、これをカカオリカーと呼ぶ。
カカオリカーが冷却・固化したものが、カカオマスとなる。
モディカチョコレートは、おそらくこのカカオマスが原料ではないかと思われます。

(7)【カカオマスからココアパウダーの加工】カカオマスから適度にココアバターを圧搾する。出来上がった固体物はココアケーキと呼ぶ。これを粉砕して粉末状にしてものが、ココアパウダーとなる。
ココアパウダーには、11-23%程度の脂肪分が含まれる。

(8)【カカオマスからチョコレートの加工】数種類のカカオマスをブレンドし、砂糖、粉乳、ココアバター、植物性油脂、レシチンなどを加えて混合する(チョコレートドゥ)。
チョコレートドゥはその後、レファイナー(最終磨砕をする機械)、コンチング(精錬)、テンパリング、成形など多くの工程を経て、チョコレートになる。 
なお、最終磨砕を経ていない分、カカオマスのほうがカカオ粒子が粗いということになります。
(今までずっと、同じかと思っていました。ザラザラするのは砂糖がなくて油脂分が少ないせいかと・・)

(?)カカオマスと、カカオ100%のチョコレートは違うのかしら?
カカオマスには油脂が55%含まれるということは、カカオ分45%ということになるのかしら?
それにしては随分苦いけれど???
チョコレートのカカオ分70%は、カカオマス分なのかな??
(よく分からないので調べてみます。ご存知の方教えて下さい) 



===

■参考情報
(1)アンティーカ・ドルチェレリア・ボナイウートのモディカチョコレートのページ(日本語) 

(2)ウィキペディア カカオマス

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする