マタタビは以前記事にしたような気がしていましたが、検索しても出てこないので、まだだったようです(過去記事をもし見付けたら教えて下さい)。
父の採集ですが、ご紹介します。
父が行くゴルフ場のひとつに、マタタビが生えているそうで、季節には必ず行くそうです。
目的は、実。
マタタビはマタタビ科、マタタビ属の、雌雄異株(正確には雄株と両性株)のツル植物で、ドングリ型の実と、カボチャ型の実がつきます。
ドングリ型の実は正常タイプ。カボチャ型の方は、マタタビミタマバエという虫が寄生して出来た虫瘤果です。
ドングリ型の実は、(キウイの仲間ですし)酸味と辛味と苦味があり、塩漬けなどにして食用にされます。
カボチャ型の方は、有効成分の含有量が多いという説もあり、薬用とされます。
マタタビ酒にするのは、このカボチャ型の方だとか。
ドングリ型とカボチャ型、両方の実がつくマタタビの木もあるようですが、ゴルフ状のマタタビは、カボチャ型のみ。
父の採集は、マタタビ酒が目的です。
ツル性の植物なので、実自体は手が届かないくらい高いところに実っているのですが、虫瘤果は9月くらい(?)に、青いままぽとぽとと落ちてくるのだとか。
意外と競争率が高いもののようで、ちょっと時期を間違えると、すっかり拾われてしまうそうです。
虫入りなので、しばらく水に漬けて虫出しをしてからホワイトリカーに漬けるそうです。
那須では肉体労働をすることが多いので、「これを飲むとまた旅が出来る」というマタタビ酒には疲労回復効果がありそうで、私もよく御馳走になっています。
このスライスを一かけ食べてみたところ、すっかりマタタビ酒の味(甘くてやや苦い)が染みているので、本来の味は不明です。
食感は、シャリシャリして梨を更に固くしたような感じ。
それにしても、種はどこへ。
気になって調べてみたところ、興味深いサイト(写真沢山でとても参考になります)を見付けました。
それによると
「実際には、マタタビミタマバエが産卵することによって、雄花の子房にあたる部分がふくれ、花が咲く頃に(花が開かないまま虫こぶになるものも多い)このような虫こぶが出来るもので、見かけは果実のようでも、果実ではないということが初めて分かりました。 (図18・19) 」
「虫こぶはほとんど雄花にできるのですが、中には両性花(雌花)にも虫こぶができているものがありました。 (図20・21) こちらの虫こぶも受粉して果実になったものではなく、花の時期にすでにこんなに大きくなって実のような形になっていました。」
ということです。
なるほど~。そうだったのかー。
虫瘤果は、果実がどうにかなって膨らんだのかと思っていましたが、花がどうにかなったもののようです。
ゴルフ場のマタタビには、カボチャ型の実しかつかない、ということは、雄株だな、きっと。
そして虫瘤「果」とはいうものの、雄花の子房にあたる部分が(花が開く前に)ふくらんでいるため、種は形成されている訳もないのでした。
■参考情報
(1)樹木図鑑 マタタビ
花、葉、正常果、虫瘤果、虫瘤果断面など沢山写真あり。
(2)マタタビの正常果の断面写真ほか (ブログ)
マタタビはキウイフルーツと同じマタタビ科のようです。
正常な果実の場合、種はキウイのように、横断面に大して放射状につきます。
(3)マタタビの雄花、両生花など写真沢山
(4)マタタビの虫瘤果サイズに関する論文(信州大学、2009) PDF
標高950mまでは、標高が高いほど虫瘤果サイズが大きくなる傾向があるようです。
(それより標高が高くなると、サイズは小さくなっていく)
あちこちに行ってマタタビを集める研究は、何だか楽しそう
(5)デイリーポータル(読み物サイト)
・またたびを食べる
北秋田市の道の駅「あに」にはマタタビラーメン、マタタビ甘納豆、マタタビ煎餅などがあるとか
・猫はキウイで酔っぱらうか
マタタビ科のキウイフルーツ。実では何の影響もない猫ですが、葉や根っこには大興奮だそうです。
完熟したマタタビの実、というのは、細長い、(虫えい果ではない方の)本当の実、ですよね。
うちのまわりにはマタタビがみあたらないのですが、父にそのタイプがないか、聞いてみます。
またご縁がありましたらコメントお待ちしております。