熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

企業の社会的責任(CSR)・・・豊田の”不就学”のこども

2005年06月03日 | 経営・ビジネス
   5月26日(木)NHK「クローズアップ現代」で、
   私も学びたい
   ~外国人”不就学”の子どもたち~、を放映していた。

   労働者として入国してきた外国人の子ども達が、「いじめられる」「教育費を払えない」ために、学校へも行かず、日本語も母国語も話せない、そんな不就学児童が増えていると言うことで、豊田市など日本各地の情況をドキュメントしていた。
   ”労働者”としてのみ扱い、その家族や教育を考慮してこなかった矛盾を浮彫りにしながら問題点を掘り下げている。

   文科省も調査に乗り出したと言う。何故、今頃。
   外国人労働者の問題は、もう何十年も前から、トルコ人の移住が進行してドイツの経済社会に深刻な問題を惹起した先例があり、年が経てば、家族が生まれ家庭が出来コミュニティが形成されて来るのは必定である。
   少子高齢化と騒ぎながら、自分達のことしか考えていないのか、何れにしろ、外国人労働者家族の問題は、外務、法務、厚生労働、経産等々政府全体で対処しなければならない。

   気になるのは、扱われていた多くのケースが、日系ブラジル人の家族の問題だが、棄民とまで言われて筆舌に尽くし難い労苦に耐えて生きてきた同胞に対して、その子孫に、再び苦難の人生を強いているのかと思うと苦しくて見ていられなかった。

   この番組を見ていて思い出したのは、アパレルとシューズの大手メーカー・ナイキのこと。
   アジア等海外での労働搾取とルーズな安全基準を助長していることを報道され、”企業市民”として悪名イメージを払拭出来ずに苦しんでいたナイキのことである。
   フィリップ・ナイトCEOは、自社製品を「ただ同然の賃金や強制的な時間外労働、恣意的な虐待と同義語」と呼び、健康と安全、児童労働、独立機関による監視、労働者の教育に留意した新しい労働方針を含む一連の改革を発表し、600の契約工場の労働条件の改善を世界に宣言し約束した。

   NHKの番組は、たしか、豊田市の自動車部品工場に働くブラジル人家族の生活苦による不就学児を扱っていた。
   この放送だけでは判断できないし、全くナイキの場合と次元が違っているかも知れないが、豊田市は、トヨタの謂わば城下町、何らかのトヨタ関連工場で働くブラジル人労働者の家族が、生活苦の為に子どもに十分な教育を受けさせられない情況であることには違いなかろう。
   トヨタが、末端の下請け工場の労働者家族の面倒まで見なければならないとは思わないが、世界に冠たる、かつ、世界最高峰の経営とその実力を誇るトヨタのお膝元で、このような問題があるとするならば、やはり、寂しい。
   企業の社会的責任が言われて久しいが、トヨタが本当に21世紀を担うリーダー・カンパニーを志向するのなら、新しいCSRがあっても良いのではなかろうか。
   蟻の一穴、問題にならない前に、トヨタが新しいCSRに取り組んでくれることを。
   GMやフォードを助ける等と言うことは、それからであろう。

   
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする