熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

セントラル・パークでMETオペラ・・・爆音がドミンゴを伴奏

2005年06月13日 | クラシック音楽・オペラ
   メトロポリタン・オペラからの”High Notes”。メールサービスで、ジョセフ ヴォルプ総支配人から、セントラル・パーク他で、METのオペラ「トスカ」と「サムソンとデリラ」、バレー「シルヴィア」「ライモンダ」「白鳥の湖」「ジゼル」等、無料の野外コンサートが開かれるとの連絡が入った。
   
   毎年行われている夏の風物詩・セントラル・パークの野外オペラは、いかばかりか、今年は、トスカをAprile Millo, カバラドッシを、Francisico Casanova, スカルピアを、James Morrisが歌うと言う。
   この野外オペラを筆頭に、欧米では、真夏の夕刻迫る頃から深夜にかけて、公園や古城、宮殿、野外劇場等で屋外コンサートや音楽フェスティバルが開かれて、クラシック音楽フアンを楽しませてくれる。

   フィラデルフィアでは、郊外の野外音楽場「ロビンフットデル」で、真夏に10回ほど、フィラデルフィア管弦楽団が、無料コンサートを開いていて、素晴らしいクラシック音楽の夕べを楽しませてくれた。
   ボストンのタングルウッドとか、ロスアンジェルスのハリウッドボール等もその延長線上のコンサートではなかろうか。

   オペラで有名なのは、何と言ってもイタリア・ベローナの古代ローマの野外劇場アレーナでの野外オペラで、凄いスペクタクルの舞台で、数万の観客を圧倒する。
   ローマのコロッセオより大きな野外劇場の4分の1位が舞台になるのであるから、壮大な宮殿の舞台も思いのまま、兎に角、登場人物の数から舞台のセットなど大変なスケールで、ウイーン国立歌劇場やミラノスカラ座のグランド・オペラとは一味も二味も違う。
   トーランドットとアイーダしか見ていないが、ホセ・クーラのカラフ「眠ってはならない」の熱唱など忘れられない。

   ロンドンで有名なのは、ハイド・パークの野外コンサートで、以前に3大テノールのジョイントコンサートが開かれた事もある。この頃は、BBCのプロムの野外部門を担っているようである。
   しかし、私が経験した思い出深い夏の野外オペラは、ロンドンの北の郊外ケンウッドでのロイヤル・オペラのコンサート形式の特別公演。この方は有料でチケットが中々手に入らない。
   毎年行っていたが、一番思い出に残っているのは、プラシド・ドミンゴがカバラドッシを歌った「トスカ」。トスカはマリア・ユーイング、スカラピアは、ユスチアス・ディアスであった。
   隣に座っていた老婦人、ドミンゴの追っかけで、スペインから来たと言う。

   森に囲まれた池を隔てた向こう側にステージがあって、正面にはイス席、その背後には広大な芝生が広がっていて、ピクニックスタイルで思い思いの恰好をした観客がひしめいている。公園の外の何も見えない木陰にも観客が一杯で、舞台がはねた後の交通渋滞は大変なものである。
   まだ青空が少し残り西日がさしている頃に、タクトが振り下ろされ、ドミンゴが、「星はきらめき」を歌い始める頃には、日はとっぷりと暮れて漆黒の闇に包まれている。
   水を打ったような静けさを、航路を外れた航空機の微かな爆音が名テナーのアリアに伴奏、しかし、暗くて陰湿なサンタンジェロの牢獄の中で死に直面しているカラバドッシの心境になって聞き入る全聴衆には、全く聞こえていないのかも知れない。

   兎に角、7月になると大オペラ劇場のシーズンは終わるが、夏のフェスティバルが趣向を凝らして各地で開かれるので、年中オペラシーズンは終わらない。
   夏の野外コンサートの唯一の泣き所は、その日の天候、雨である。ヨーロッパの夜は、時には異常に寒い。

   グラインドボーンの夏のオペラシーズンも堪らなく楽しいし、ハンプトンコート宮殿でのホセ・カレーラスのコンサートも楽しかった、それに、ストックホルム市庁舎前でのセミステージオペラ「こうもり」で、美人で実にチャーミングなロザリンデに見とれている間に雨に打たれて右往左往したり、面白い思い出が一杯だが、また項を改めて書いてみたい。
   
   
コメント
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