正月2日は事始め、今年真っ先に読んだ本が橋本久義氏と岡野雅行氏の座談会を主にした「町工場こそ日本の宝」と言う面白い本である。
名物社長の岡野氏から金型及びプレスの深絞り加工物語等興味深い話を、上手く橋本氏が引き出していて、世界に冠たる日本の物作りの強さの秘密を語りかけている。
機械を超えた「ローテクの技」が、ハイテクの技術を支えていると言う興味深い話で、昔、いくら機械でレンズを磨き上げても、手の感触で磨き上げた名人のレンズ磨きには及びもつかないと言う話を聞いたことがある。
文明や機械技術が如何に進歩しようとも、人間の名人の技には及ばない技術分野はごまんとあって、そのローテクの技術がなければ、ハイテクの高度な機械は製作不能である場合がいくらでもあるのだと言う。
岡野氏の製作で有名な「痛くない注射針」であるが、これは、全長20ミリ、針穴の直径が80ミクロン(100分の8ミリ)、針の外形が200ミクロンで、蚊の針と同じ位の太さだから、痛くないのだと言う。
これを、岡野氏は、金属の薄い板を丸めて、金属自身の持つスプリング力で締め付けて、液の漏れない針を作り上げ、大量生産に成功したと言う。
最新の工作機械は装置産業なので、ハードとソフトを買って来れば良いのだが、一歩進んだ自分の創造性を生かした斬新なものは絶対にそれでは作れないと言う。
物作りの現場では、ハイテク製品は雑貨から生まれていて、折り畳み傘の骨やライター、万年筆と言ったローテクの雑貨用の金型製作技術が必須だと言うのである。
こうして、岡野社長は、世界の誰も製作できなかった電池のケースや物を摑める割れるスプーン等ユニークなものは勿論、名だたる大企業のハイテク金型を数多く製作し続けていて、人が創れないものしか製作しない。
金型の基本は「根気」で、打っては削り、また打っては削りの連続で、金型はまさに「まごころ」で、切る、削る、穴を開ける、磨く、と言う作業をひたすら根気良く繰り返す。
しかし、この単純な繰り返しが、名工に、機械や科学や人智を超えた素晴しい創造力を付与し、ハイテク技術を支えている。
昔、インカ帝国のマチュピチュを訪れた時に、カミソリ一枚入り込めない程ピッタリと精巧に積み上げられた石垣を見て感激したのを思い出した。
何故、インカの職人がこれほど素晴しい技術を持っていたのか、聞いてみたら、一番単純な技術で、ピッタリ合うまで何度も試行錯誤を繰り返したのだと言うのである。
岡野社長は、一切図面を描かずに金型を製作すると言う。作る毎にグレードアップして止まる所を知らない。
新しい発想を生む為に海外に出かけると観光そっちのけで、ドイツ語や英語の技術専門書を漁って勉強すると言う。
とにかく、途轍もない現場力と創造的な技術を追求する岡野社長の話は、多岐に渡っているが、何故、日本の製造技術力が世界一高いのかの一面を如実に物語っていて、実に興味深い。
名物社長の岡野氏から金型及びプレスの深絞り加工物語等興味深い話を、上手く橋本氏が引き出していて、世界に冠たる日本の物作りの強さの秘密を語りかけている。
機械を超えた「ローテクの技」が、ハイテクの技術を支えていると言う興味深い話で、昔、いくら機械でレンズを磨き上げても、手の感触で磨き上げた名人のレンズ磨きには及びもつかないと言う話を聞いたことがある。
文明や機械技術が如何に進歩しようとも、人間の名人の技には及ばない技術分野はごまんとあって、そのローテクの技術がなければ、ハイテクの高度な機械は製作不能である場合がいくらでもあるのだと言う。
岡野氏の製作で有名な「痛くない注射針」であるが、これは、全長20ミリ、針穴の直径が80ミクロン(100分の8ミリ)、針の外形が200ミクロンで、蚊の針と同じ位の太さだから、痛くないのだと言う。
これを、岡野氏は、金属の薄い板を丸めて、金属自身の持つスプリング力で締め付けて、液の漏れない針を作り上げ、大量生産に成功したと言う。
最新の工作機械は装置産業なので、ハードとソフトを買って来れば良いのだが、一歩進んだ自分の創造性を生かした斬新なものは絶対にそれでは作れないと言う。
物作りの現場では、ハイテク製品は雑貨から生まれていて、折り畳み傘の骨やライター、万年筆と言ったローテクの雑貨用の金型製作技術が必須だと言うのである。
こうして、岡野社長は、世界の誰も製作できなかった電池のケースや物を摑める割れるスプーン等ユニークなものは勿論、名だたる大企業のハイテク金型を数多く製作し続けていて、人が創れないものしか製作しない。
金型の基本は「根気」で、打っては削り、また打っては削りの連続で、金型はまさに「まごころ」で、切る、削る、穴を開ける、磨く、と言う作業をひたすら根気良く繰り返す。
しかし、この単純な繰り返しが、名工に、機械や科学や人智を超えた素晴しい創造力を付与し、ハイテク技術を支えている。
昔、インカ帝国のマチュピチュを訪れた時に、カミソリ一枚入り込めない程ピッタリと精巧に積み上げられた石垣を見て感激したのを思い出した。
何故、インカの職人がこれほど素晴しい技術を持っていたのか、聞いてみたら、一番単純な技術で、ピッタリ合うまで何度も試行錯誤を繰り返したのだと言うのである。
岡野社長は、一切図面を描かずに金型を製作すると言う。作る毎にグレードアップして止まる所を知らない。
新しい発想を生む為に海外に出かけると観光そっちのけで、ドイツ語や英語の技術専門書を漁って勉強すると言う。
とにかく、途轍もない現場力と創造的な技術を追求する岡野社長の話は、多岐に渡っているが、何故、日本の製造技術力が世界一高いのかの一面を如実に物語っていて、実に興味深い。