また、ハーバード・ビジネス・スクール・プレスから、非常に面白くて興味深いイノベーションに関する本が出た。
フランス・ヨハンソンと言うスエーデン人の異文化交流に長けた多岐に亘る分野において博識な社会学者(?)の著作で、異文化・異分野の交差点で何故革新的で豊かな発見や発明が行われるのかを克明に活写していて興味が尽きない。
本書のタイトル”The Mediti Effect: Breakthrough Insughts at the Intersection of Ideas, Concepts, and Cultures"が、総てを上手く物語っている。
「メディチ効果:アイデア、コンセプト、そして、文化の交差点での飛躍的・画期的な進歩・発展に関する洞察」と言うことであろうか。
翻訳者幾島幸子さんは、「メディチ・インパクト:世界を変える「発明・創造性・イノベーション」は、ここから生まれる!」とタイトル付けされていて、勿論、この方が分かり易い。
メディチは、銀行業で富を蓄積したフィレンツェの富豪の大公で、あらゆる分野の芸術家や学者・文化人を保護した為に、ダヴィンチやミケランジェロは勿論、画家や彫刻家、詩人、哲学者、建築家、実業家など多種多様な人々が沢山フィレンツェに集まり切磋琢磨しあった。
正に、フィレンツェが異文化や異分野の学問や思想の坩堝となり、新しいコンセプトやアイデアに基づく新しい文化を創造しルネサンスへの道を開いた。
ギリシャの黄金時代のように、創造性に満ちた革新的な文化運動を巻き起こしたこのメディチ効果と同じ様な現象がインパクトとなって、人類社会の文化文明のみならず、国家や企業の発展、そして、イノベーションを引き起こす原因となっている、それを実際に検証してみようではないかと言うのが、著者の問題意識であった。
異なる文化、領域、学問が一ヶ所に収斂する交差点で、創造性が爆発的に開花する、その現実を、ビジネス、科学、文化、医療、料理、IT等々あらゆる部門に渡ってメジチ効果を捲き起こして画期的・革新的な業績を上げている第一人者にインタヴューして纏め上げたのがこの本で、とにかく、その逸話や秘密の数々を読むだけでも、下手な推理小説よりは遥かに面白い。
ヨハンソンは、太西洋のど真ん中アゾレス海の小さな港町オルタの「ピーター・カフェ」から話を始めている。
ここで、世界周航中のヨットマンや南米への船旅の途中の人間や生い立ちも文化も全く違った人々がめぐり会って次のような豊かな会話を交わす。
「キューバでは、マカジキを釣るのにルアーの周りにボロをまいて釣る。魚が口を突っ込むと摩擦で抜けなくなる。しかし、人には簡単にはずせるし傷もつかない。」
この文化の結節点・交差点でランダムに飛び交うこのような多種多様なアイデアが、発展・伝播して次の新しい発想を生む。
あの英国の保険業が、シティの小さなロイズ・コーヒー店から始まったのは有名な話であるが、とにかく、人の集まるミーティング・スポットでは、何かが起こることは歴史上でも色々経験している。
異文化との遭遇による文化や社会の発展は、明治時代の日本の近代化が、異文化に触れて啓発された人々によって行われた事は周知の事実であり、文学だって、留学した夏目漱石や森鴎外などに先導された。
今日の勝ち組企業のトヨタの張副会長、キヤノンの御手洗社長、松下の中村社長等のアメリカ駐在経験も、メディチ効果の一例かも知れない。
私は、アーノルド・トインビーの「歴史の研究」を思い出した。
膨大な著作で、私は、サマベルの縮小版しか持っていないが、それでも3冊の大著で、学生時代より愛読していて、翻訳版と英語版を、海外への移転の度にも携えて持ち歩いている。
最初に感激したのは、4大文明が、自然の厳しい不毛の土地で発生したのは、人類が厳しい自然に対する応戦によって知恵と文化文明を開化させた為だと言うことであった。
しかし、その開花した文化文明が、辺境地帯から移って行く様をも語ってくれていて、私は、シルクロードによる文化のヨーロッパへの伝播と仏教文化やイスラム文化の東漸に興味をもってきた。
国境でもあり辺境地帯でもある文化・文明の結節点で、異文化がぶつかり合って新しい思想とコンセプトを生み出して、それが、誘い水として新しい国家や経済社会を生み出して行く。
さて、IT社会が進むと、異文化交流の結節点・交差点はどのように変化するのであろうか、面白い課題でもある。
フランス・ヨハンソンと言うスエーデン人の異文化交流に長けた多岐に亘る分野において博識な社会学者(?)の著作で、異文化・異分野の交差点で何故革新的で豊かな発見や発明が行われるのかを克明に活写していて興味が尽きない。
本書のタイトル”The Mediti Effect: Breakthrough Insughts at the Intersection of Ideas, Concepts, and Cultures"が、総てを上手く物語っている。
「メディチ効果:アイデア、コンセプト、そして、文化の交差点での飛躍的・画期的な進歩・発展に関する洞察」と言うことであろうか。
翻訳者幾島幸子さんは、「メディチ・インパクト:世界を変える「発明・創造性・イノベーション」は、ここから生まれる!」とタイトル付けされていて、勿論、この方が分かり易い。
メディチは、銀行業で富を蓄積したフィレンツェの富豪の大公で、あらゆる分野の芸術家や学者・文化人を保護した為に、ダヴィンチやミケランジェロは勿論、画家や彫刻家、詩人、哲学者、建築家、実業家など多種多様な人々が沢山フィレンツェに集まり切磋琢磨しあった。
正に、フィレンツェが異文化や異分野の学問や思想の坩堝となり、新しいコンセプトやアイデアに基づく新しい文化を創造しルネサンスへの道を開いた。
ギリシャの黄金時代のように、創造性に満ちた革新的な文化運動を巻き起こしたこのメディチ効果と同じ様な現象がインパクトとなって、人類社会の文化文明のみならず、国家や企業の発展、そして、イノベーションを引き起こす原因となっている、それを実際に検証してみようではないかと言うのが、著者の問題意識であった。
異なる文化、領域、学問が一ヶ所に収斂する交差点で、創造性が爆発的に開花する、その現実を、ビジネス、科学、文化、医療、料理、IT等々あらゆる部門に渡ってメジチ効果を捲き起こして画期的・革新的な業績を上げている第一人者にインタヴューして纏め上げたのがこの本で、とにかく、その逸話や秘密の数々を読むだけでも、下手な推理小説よりは遥かに面白い。
ヨハンソンは、太西洋のど真ん中アゾレス海の小さな港町オルタの「ピーター・カフェ」から話を始めている。
ここで、世界周航中のヨットマンや南米への船旅の途中の人間や生い立ちも文化も全く違った人々がめぐり会って次のような豊かな会話を交わす。
「キューバでは、マカジキを釣るのにルアーの周りにボロをまいて釣る。魚が口を突っ込むと摩擦で抜けなくなる。しかし、人には簡単にはずせるし傷もつかない。」
この文化の結節点・交差点でランダムに飛び交うこのような多種多様なアイデアが、発展・伝播して次の新しい発想を生む。
あの英国の保険業が、シティの小さなロイズ・コーヒー店から始まったのは有名な話であるが、とにかく、人の集まるミーティング・スポットでは、何かが起こることは歴史上でも色々経験している。
異文化との遭遇による文化や社会の発展は、明治時代の日本の近代化が、異文化に触れて啓発された人々によって行われた事は周知の事実であり、文学だって、留学した夏目漱石や森鴎外などに先導された。
今日の勝ち組企業のトヨタの張副会長、キヤノンの御手洗社長、松下の中村社長等のアメリカ駐在経験も、メディチ効果の一例かも知れない。
私は、アーノルド・トインビーの「歴史の研究」を思い出した。
膨大な著作で、私は、サマベルの縮小版しか持っていないが、それでも3冊の大著で、学生時代より愛読していて、翻訳版と英語版を、海外への移転の度にも携えて持ち歩いている。
最初に感激したのは、4大文明が、自然の厳しい不毛の土地で発生したのは、人類が厳しい自然に対する応戦によって知恵と文化文明を開化させた為だと言うことであった。
しかし、その開花した文化文明が、辺境地帯から移って行く様をも語ってくれていて、私は、シルクロードによる文化のヨーロッパへの伝播と仏教文化やイスラム文化の東漸に興味をもってきた。
国境でもあり辺境地帯でもある文化・文明の結節点で、異文化がぶつかり合って新しい思想とコンセプトを生み出して、それが、誘い水として新しい国家や経済社会を生み出して行く。
さて、IT社会が進むと、異文化交流の結節点・交差点はどのように変化するのであろうか、面白い課題でもある。