今、書店の経営学書のコーナーで、静かなブームを巻き起こしている非常に素晴しい本がある。
ヨーロッパのトップ・ビジネススクールの一つINSEADのW.チャン・キムとレネ・モボルニュ両教授の「ブルー・オーシャン戦略」と言う本で、ハーバード・ビジネス・スクール・プレスの出版だが、表紙が美しいので経営学書には見えない。
既存の市場をレッド・オーシャンと称して、そこで血みどろの戦いを繰り広げる時代はもう終わった。これからは、ブルー・オーシャン、即ち、未開拓の市場を開拓して無限の可能性を追求して行く時代だと言って、その為の経営戦略を説く。
既存市場で限られた需要を確保する為に、差別化やコスト削減競争で勝利しても所詮はコップの中の戦い、競争のない市場空間を生み出して競争を無意味にする「ブルー・オーシャン」の創造こそが、何よりも重要な戦略的行動である、と言うのである。
早い話が、米国500大会社の殆どは50年の社歴もない新しい企業で、現在の企業価値トップを占める会社の大半は全くの新規企業。
近代の産業社会の主役はドンドン入れ替わり新陳代謝していて、永遠のエクセレント・カンパニーなどは存在し得ない。
GMにとって良いことはアメリカにとって良いことだ、と豪語したGMが、最早、風前のともし火。
19世紀から生き永らえている大企業はGEだけだが、最早電機会社ではなく金融会社になってしまっている。
企業調査によると、新規事業の86%は生産ラインの拡張でレッドオーシャン向けだが、ブルーオーシャンを目指した残りの14%が、全体の売上高の38%を、そして、利益は全売り上げの62%をたたき出していると言う。
新しい市場空間を切り開き需要を大きく押し上げる「戦略的打ち手」が何であるかが重要だが、その土台は「バリュー・イノベーション」だと言う。イノベーションだけ先行しても、実用性、価格、コストなどとの調和が取れていないと、折角自分達で金の卵を産み落としながら他社に孵化されてしまうので、バリューとイノベーションを等しく重視することが重要だと説いている。
普通、競争を前提とする戦略論では、価値とコストはトレードオフ関係であり、差別化か低コスト化かで悩む。
しかし、ブルーオーシャン企業の場合は、商っているモノやサービス及びその属性を、減らす、取り除く、増やす、付け加えると言う4つのアクションを行うことによって、競争のない新しい市場空間の扉を開くので、差別化と低コストは両立するのである。
今、JRの駅中や繁華街の街角に、ほんの2~3坪の小さなサンパツヤQBハウスがあり、頭を刈るだけだが、10分間で1000円で散髪をしてくれる。
普通、サンパツヤに行って散髪してもらうと1時間はかかる。頭を刈って洗って髭を剃るだけではなく、念入りにマッサージまでして、時にはコーヒーまで振舞ってくれるが、QBハウスは、髪を刈るだけで剃りもしなければ洗いもせず、その後掃除機のノズルのようなエアーウオーッシャーで毛を吸い込んで、それで終わりである。
しかし、クシとタオル代わりのネックペーパーは新品で衛生には注意を払っている。
サンパツヤに何の目的で行くのか、徹底的に分析して、削ぎ落とすべきサービスは削ぎ落とし、加えるべきものは付け加えて、在来の散髪の概念を変えてしまったのである。
60分散髪して4~5000円の在来のサンパツヤと比べて、QBは徹底的にコスト削減出来て収入増につながり、客は早くてコスト・パーフォーマンスが高いので両方得で大流行。
街の散髪屋が店変えをしたり、1000円散髪屋に変わったり、何れにしろ、組合制度で温存されていた旧制度を破壊して散髪革命をやってしまったのである。
もっとも、私には、シニア割引がきくので在来の散髪屋で3000円払って気持ちよく散髪して貰うほうが有難いとは思っている。
私は、外国に長かったので、このQBシステムは、不思議でも何でもなかった。
外国では、散髪の場合は、まず、頭を刈ることが先で、その次に、頭を洗う、髭を剃る、マニキュアをする、と言ったように客の希望によってサービスが追加されて、その分料金が加算されていくのである。
私の経験では、全部込みこみでやってくれるのは日本と中国系だけだったように思う。
最初、アメリカに留学した時に、散髪には悩んだ。
上手く英語で指示するのは難しい。それに、分からないアメリカ人(イタリア系が多かった)に、顔にカミソリを当てられるなど考えただけでも恐ろしい。
結局、頭を刈って貰うだけで済んだので助かったが、終わると急いで寮に帰ってシャワーを浴びて頭を洗って髭を剃った。
サンパウロでは、日系か中国系の散髪屋を探した。
アムステルダムは、ホテル・オークラにヨネクラがあって助かった。
ロンドンには、美容修行中の日本人若者が多くてその関連の店に行った。
とにかく、外国では散髪が悩みの種なのである。
懐かしい思い出だが、要するに、在来型の事業でも、いくらでも「ブルーオーシャン」があると言うことであり、如何にこの新市場を開拓できるかが、事業の盛衰を決定すると言うことであろう。
ヨーロッパのトップ・ビジネススクールの一つINSEADのW.チャン・キムとレネ・モボルニュ両教授の「ブルー・オーシャン戦略」と言う本で、ハーバード・ビジネス・スクール・プレスの出版だが、表紙が美しいので経営学書には見えない。
既存の市場をレッド・オーシャンと称して、そこで血みどろの戦いを繰り広げる時代はもう終わった。これからは、ブルー・オーシャン、即ち、未開拓の市場を開拓して無限の可能性を追求して行く時代だと言って、その為の経営戦略を説く。
既存市場で限られた需要を確保する為に、差別化やコスト削減競争で勝利しても所詮はコップの中の戦い、競争のない市場空間を生み出して競争を無意味にする「ブルー・オーシャン」の創造こそが、何よりも重要な戦略的行動である、と言うのである。
早い話が、米国500大会社の殆どは50年の社歴もない新しい企業で、現在の企業価値トップを占める会社の大半は全くの新規企業。
近代の産業社会の主役はドンドン入れ替わり新陳代謝していて、永遠のエクセレント・カンパニーなどは存在し得ない。
GMにとって良いことはアメリカにとって良いことだ、と豪語したGMが、最早、風前のともし火。
19世紀から生き永らえている大企業はGEだけだが、最早電機会社ではなく金融会社になってしまっている。
企業調査によると、新規事業の86%は生産ラインの拡張でレッドオーシャン向けだが、ブルーオーシャンを目指した残りの14%が、全体の売上高の38%を、そして、利益は全売り上げの62%をたたき出していると言う。
新しい市場空間を切り開き需要を大きく押し上げる「戦略的打ち手」が何であるかが重要だが、その土台は「バリュー・イノベーション」だと言う。イノベーションだけ先行しても、実用性、価格、コストなどとの調和が取れていないと、折角自分達で金の卵を産み落としながら他社に孵化されてしまうので、バリューとイノベーションを等しく重視することが重要だと説いている。
普通、競争を前提とする戦略論では、価値とコストはトレードオフ関係であり、差別化か低コスト化かで悩む。
しかし、ブルーオーシャン企業の場合は、商っているモノやサービス及びその属性を、減らす、取り除く、増やす、付け加えると言う4つのアクションを行うことによって、競争のない新しい市場空間の扉を開くので、差別化と低コストは両立するのである。
今、JRの駅中や繁華街の街角に、ほんの2~3坪の小さなサンパツヤQBハウスがあり、頭を刈るだけだが、10分間で1000円で散髪をしてくれる。
普通、サンパツヤに行って散髪してもらうと1時間はかかる。頭を刈って洗って髭を剃るだけではなく、念入りにマッサージまでして、時にはコーヒーまで振舞ってくれるが、QBハウスは、髪を刈るだけで剃りもしなければ洗いもせず、その後掃除機のノズルのようなエアーウオーッシャーで毛を吸い込んで、それで終わりである。
しかし、クシとタオル代わりのネックペーパーは新品で衛生には注意を払っている。
サンパツヤに何の目的で行くのか、徹底的に分析して、削ぎ落とすべきサービスは削ぎ落とし、加えるべきものは付け加えて、在来の散髪の概念を変えてしまったのである。
60分散髪して4~5000円の在来のサンパツヤと比べて、QBは徹底的にコスト削減出来て収入増につながり、客は早くてコスト・パーフォーマンスが高いので両方得で大流行。
街の散髪屋が店変えをしたり、1000円散髪屋に変わったり、何れにしろ、組合制度で温存されていた旧制度を破壊して散髪革命をやってしまったのである。
もっとも、私には、シニア割引がきくので在来の散髪屋で3000円払って気持ちよく散髪して貰うほうが有難いとは思っている。
私は、外国に長かったので、このQBシステムは、不思議でも何でもなかった。
外国では、散髪の場合は、まず、頭を刈ることが先で、その次に、頭を洗う、髭を剃る、マニキュアをする、と言ったように客の希望によってサービスが追加されて、その分料金が加算されていくのである。
私の経験では、全部込みこみでやってくれるのは日本と中国系だけだったように思う。
最初、アメリカに留学した時に、散髪には悩んだ。
上手く英語で指示するのは難しい。それに、分からないアメリカ人(イタリア系が多かった)に、顔にカミソリを当てられるなど考えただけでも恐ろしい。
結局、頭を刈って貰うだけで済んだので助かったが、終わると急いで寮に帰ってシャワーを浴びて頭を洗って髭を剃った。
サンパウロでは、日系か中国系の散髪屋を探した。
アムステルダムは、ホテル・オークラにヨネクラがあって助かった。
ロンドンには、美容修行中の日本人若者が多くてその関連の店に行った。
とにかく、外国では散髪が悩みの種なのである。
懐かしい思い出だが、要するに、在来型の事業でも、いくらでも「ブルーオーシャン」があると言うことであり、如何にこの新市場を開拓できるかが、事業の盛衰を決定すると言うことであろう。