アメリカの金融危機による経済不況は底なしの恐怖だが、その影響が、ニューヨークのオペラ芸術の殿堂であるメトロポリタン歌劇場や、歴史に残る多くの名演コンサートで有名なカーネギー・ホールなどの文化的な機関の経営に波及して、経営を圧迫し始めたと言う。
恐らく、ブロードウエーにも不況の波は押し寄せているのであろうし、もっと、経済状態が悪いと言うロンドンのロイヤル・オペラやウエスト・エンドのミュージカル劇場の苦境は大変なものであろうと思われる。
日本の劇場はどうなのか、今月は、歌舞伎劇場、都響の定期と映画館だけしか知らないが、確かに大入り満員ではなかった。
しかし、名門オペラではあるまいし、ベルナルド・ハイティンク指揮のシカゴ響のチケットが3万5千円で売り出されているような非常識な国であるから、不況の影響がないのかも知れない。
余談ながら、私は、最盛期のハイティンクを、コンセルトヘボーやロイヤル・オペラ、それに、ウィーン・フィルやベルリン・フィルで直接かなり聞いており、随分前だがシカゴ響も聞いており、確かに魅力的な組み合わせではある。しかし、400ドルとは法外で、現地と比べて4倍ほどの高値だと思うが、直前になってディスカウント・チケット発売無しに客が入れば、ご同慶の至りで、もしそうなら、日本のクラシック音楽ファンが別人種だとしか考えられない。
ところで、METだが、今夜のNHK「クローズアップ現代」で、「芸術を変革せよ ピーター・ゲルブ氏に聞く」と言うタイトルの番組が、ニューヨーク訪問中の国谷アナウンサーがMETで、ゲルブ総裁にインタビューする形で放映されていた。
世界中の劇場に、最新の技術を駆使して、METの公演を同時上映して好評を博しているMETライブ・ビューイングなどのイノベイティブな経営等について、ゲルブ総裁の芸術革新をレポートする番組だったが、私が興味を感じたのは、今回の金融危機の影響を諸に被ってMETの経営状態が悪化して、経営建て直しと言う新しい挑戦を受けていると言うことである。
(今年度は、まだ、行っていないが、METライブ・ビューイングやゲルブ総裁の経営については、何度か、このブログでも書いているし、昨年1月にはMETで4演目見ておりレポートも書いている。)
ゲルブ氏の報酬を30%削減したり、スタッフの給与の引き下げを求めており、コストのかかる大掛かりな演目を取りやめるなど、相当大変なようだが、公的資金のサポートのあるヨーロッパの歌劇場と違って、主に、法人や個人の献金や寄付、入場料収入、基金の運用益等と言った劇場だけの収入に頼った経営であるから、景気が悪化すれば、一挙に企業や個人からの資金がダメッジを受け、また、同時に入場者が激減するのであろう。
普通、欧米のオペラやオーケストラ公演の場合には、年間を通して定期会員券を取得している客が多いのだが、METは劇場が大きいこともあり、また、ニューヨークの特性もあり、かなり、観光客の観客が多いので、そのためのチケット売り上げの減少も大きいのではないかと思う。
このMETライブ・ビューイングだけでも、コストが1回に1億円掛かると言っていたが、折角、斬新かつ革新的な経営革新で、新しい芸術の創造と普及のために始動し始めたゲルブの試みが、後退しないことを祈るのみである。
オペラが民衆に愛されるためには、野球と同じで、実況放送が最も望ましいと考えて、METライブ・ビューイングを企画したようだが、これから、益々進展発展を続けてゆくITデジタル技術を駆使すれば、全く、想像も出来ないような素晴らしいオペラの楽しみ方が生まれるかも知れない。
カーネギー・ホールの苦境については、今夜の日経夕刊の「音楽の殿堂に不況の波 来期の公演1割減」と言う記事で知ったのだが、この劇場も、興行収入と寄付金等で運営されており、個人の寄付金や企業のメセナ社会貢献活動の減少で経営悪化に見舞われていると言う。
この劇場は、前世紀の古き良き時代のアメリカの音楽文化の息吹をむんむんと感じさせてくれる素晴らしい雰囲気のホールで、ニューヨーク・フィルが本境地を移してからは、色々な公演が行われているのだが、やはり、アメリカ文化を発信し続けている文化財的な存在でもある。
いずれにしろ、経済不況は、人々の生活を窮地に追い込むのみならず、不要不急で最もナイーブで脆弱な文化を真っ先に直撃し蝕む。
ところで、この頃、NHKが、デジタル放送で、毎週のように素晴らしいオペラ番組を放映しているので、当分は、これをDVD化して楽しむのも手かもしれない。
録画しか利かないが、NHK教育TV3など毎月曜夜に、海外名門劇場のオペラ公演を放映していて、中々魅力的である。
一回のチケットが6万円以上もする海外オペラ公演鑑賞の楽しみから程遠いが、相撲と同じで、安い切符を買って米粒のような力士や歌手の姿を見るよりも、臨場感豊かで、この方が良く分かって別な楽しみ方が出来て良いのかも知れない。
(追記)写真は、METライブ・ビューイングで、マスネのタイスの幕間で、ルネ・フレミングを案内役のプラシド・ドミンゴがインタビューするシーン。NHKTVより。
恐らく、ブロードウエーにも不況の波は押し寄せているのであろうし、もっと、経済状態が悪いと言うロンドンのロイヤル・オペラやウエスト・エンドのミュージカル劇場の苦境は大変なものであろうと思われる。
日本の劇場はどうなのか、今月は、歌舞伎劇場、都響の定期と映画館だけしか知らないが、確かに大入り満員ではなかった。
しかし、名門オペラではあるまいし、ベルナルド・ハイティンク指揮のシカゴ響のチケットが3万5千円で売り出されているような非常識な国であるから、不況の影響がないのかも知れない。
余談ながら、私は、最盛期のハイティンクを、コンセルトヘボーやロイヤル・オペラ、それに、ウィーン・フィルやベルリン・フィルで直接かなり聞いており、随分前だがシカゴ響も聞いており、確かに魅力的な組み合わせではある。しかし、400ドルとは法外で、現地と比べて4倍ほどの高値だと思うが、直前になってディスカウント・チケット発売無しに客が入れば、ご同慶の至りで、もしそうなら、日本のクラシック音楽ファンが別人種だとしか考えられない。
ところで、METだが、今夜のNHK「クローズアップ現代」で、「芸術を変革せよ ピーター・ゲルブ氏に聞く」と言うタイトルの番組が、ニューヨーク訪問中の国谷アナウンサーがMETで、ゲルブ総裁にインタビューする形で放映されていた。
世界中の劇場に、最新の技術を駆使して、METの公演を同時上映して好評を博しているMETライブ・ビューイングなどのイノベイティブな経営等について、ゲルブ総裁の芸術革新をレポートする番組だったが、私が興味を感じたのは、今回の金融危機の影響を諸に被ってMETの経営状態が悪化して、経営建て直しと言う新しい挑戦を受けていると言うことである。
(今年度は、まだ、行っていないが、METライブ・ビューイングやゲルブ総裁の経営については、何度か、このブログでも書いているし、昨年1月にはMETで4演目見ておりレポートも書いている。)
ゲルブ氏の報酬を30%削減したり、スタッフの給与の引き下げを求めており、コストのかかる大掛かりな演目を取りやめるなど、相当大変なようだが、公的資金のサポートのあるヨーロッパの歌劇場と違って、主に、法人や個人の献金や寄付、入場料収入、基金の運用益等と言った劇場だけの収入に頼った経営であるから、景気が悪化すれば、一挙に企業や個人からの資金がダメッジを受け、また、同時に入場者が激減するのであろう。
普通、欧米のオペラやオーケストラ公演の場合には、年間を通して定期会員券を取得している客が多いのだが、METは劇場が大きいこともあり、また、ニューヨークの特性もあり、かなり、観光客の観客が多いので、そのためのチケット売り上げの減少も大きいのではないかと思う。
このMETライブ・ビューイングだけでも、コストが1回に1億円掛かると言っていたが、折角、斬新かつ革新的な経営革新で、新しい芸術の創造と普及のために始動し始めたゲルブの試みが、後退しないことを祈るのみである。
オペラが民衆に愛されるためには、野球と同じで、実況放送が最も望ましいと考えて、METライブ・ビューイングを企画したようだが、これから、益々進展発展を続けてゆくITデジタル技術を駆使すれば、全く、想像も出来ないような素晴らしいオペラの楽しみ方が生まれるかも知れない。
カーネギー・ホールの苦境については、今夜の日経夕刊の「音楽の殿堂に不況の波 来期の公演1割減」と言う記事で知ったのだが、この劇場も、興行収入と寄付金等で運営されており、個人の寄付金や企業のメセナ社会貢献活動の減少で経営悪化に見舞われていると言う。
この劇場は、前世紀の古き良き時代のアメリカの音楽文化の息吹をむんむんと感じさせてくれる素晴らしい雰囲気のホールで、ニューヨーク・フィルが本境地を移してからは、色々な公演が行われているのだが、やはり、アメリカ文化を発信し続けている文化財的な存在でもある。
いずれにしろ、経済不況は、人々の生活を窮地に追い込むのみならず、不要不急で最もナイーブで脆弱な文化を真っ先に直撃し蝕む。
ところで、この頃、NHKが、デジタル放送で、毎週のように素晴らしいオペラ番組を放映しているので、当分は、これをDVD化して楽しむのも手かもしれない。
録画しか利かないが、NHK教育TV3など毎月曜夜に、海外名門劇場のオペラ公演を放映していて、中々魅力的である。
一回のチケットが6万円以上もする海外オペラ公演鑑賞の楽しみから程遠いが、相撲と同じで、安い切符を買って米粒のような力士や歌手の姿を見るよりも、臨場感豊かで、この方が良く分かって別な楽しみ方が出来て良いのかも知れない。
(追記)写真は、METライブ・ビューイングで、マスネのタイスの幕間で、ルネ・フレミングを案内役のプラシド・ドミンゴがインタビューするシーン。NHKTVより。