熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

老いを感じると言うことの不思議

2010年03月23日 | 生活随想・趣味
   先日、友人夫妻が、花束を持って、私の退院祝いに自宅を訪れてくれたので、咲き乱れている庭の椿を肴にして、久しぶりに楽しく歓談した。
   丁度、このブログを開始した直後の5年前にも、9時間の大手術を受けて、2週間ほどブログを空けたのだが、今回は、5時間弱の手術と言えども、少しずつ、体力への負担が増しており、老いの訪れを感じている。
   私の場合は、幸いにも二回とも、直接、生命に関るような危機的な病状や手術ではなかったのだが、しかし、全身麻酔で寝ていたので分からないもののの、手術如何によっては、死と隣り合わせと言うか、その一歩手前まで行っており、危機を脱したと言うことのような気もしている。

   幸いなことは、手術を受けたのは、二回とも日本に帰ってから信頼できる病院であったことで、ブラジル時代に苦しんだ腎臓結石や先の病気の異常な胆嚢結石などの原因は、殆ど、世界各地で色々な食事を取り、また、得体の知れない水を飲んだりした長い海外生活の結果だと思っているのだが、これまで、何度も七転八倒して病院に担ぎ込まれていた筈だと言われたのだが、業務も多忙を極めていたし、その都度、どうにか我慢をして苦痛に耐えて乗り切って来た。
   古き学生時代に流行った歌の文句ではないけれど、ロンドン、パリを股にかけ、フィラデルフィアの大学院を出てあっちこっちを駆け回っていたのであるから、当然の結果かも知れなかった。

   海外生活の過半が、比較的文明度の高い欧米だったとは言え、中東や東南アジア、南アメリカなどと言った衛生や医療関係が整っていないところも随分歩いて来たし、兎に角、異国の地での体調の異変は数え切れない程経験しているが、良く分からない土地で治療を受ける気にはなれず、若さゆえだったのか、兎に角、我慢を続けてどうにか大事に至らず突破して来た。
   今思えば、例えば、ベルリンの壁崩壊前の東欧や、東南アジアの僻地や、あるいは、恵まれて居る筈の南欧の田舎町であっても、異国のどこかで病院に担ぎ込まれていたらどうなっていたかと思うと、空恐ろしくなることがある。

   これまで、殆ど感じなかったのだが、今回の入院手術で、遅ればせながら、少し、死について考え始めた。
   70に近づくと、既に、親しかった友の何人かは、鬼籍に入ってしまっているし、寿命から言ってもそれ程遠い話でもない。
   机を並べて頑張ったゼミの仲間も二人、ずっと以前に、ビジネスの絶頂期に他界しており、花を愛することの素晴らしさを教えてくれたフィラデルフィア時代の友人も、今はもう居ないし、同僚だった先輩後輩、あるいは、身近な人々にも、消えて逝った人が多くなってしまった。

   歳を取ると最初に弱るのは、ハメアシだとか、ハメ○○だと言われる。
   後ろの二つは歳なりに仕方がないとしても、私の場合は、前の歯と目の方はかなりしっかりしている。
   歯は、大臼歯1本と親不知3本は抜いたが、残りの28本は、無傷で今も健在である。
   目は、若い頃から近眼だが、先日、めがねのレンズ交換に出かけた時も、以前から悪化しておらず、視力1.0で調整しており、同年齢の平均よりは目は大分良い方だと言う。
   毎日読書三昧に明け暮れており、かなり、難しい専門書にも挑戦している私にとっては、目が命であり、大切にせねばと思っている。
   それに、頭のMRIだったと思うが、皺が十分にあるので、認知症などの心配はないと太鼓判を押された。
   いずれにしろ、頭も働いており、歯目が丈夫なことだし、何か、突発的な特別な事故や病気に襲われなければ、少しは長生きの資格はあるように思っているので、兎に角、5年ピッチで頑張って行こうと考えている。

   やはり、歳には勝てないのか、体力の回復には時間が掛かりそうで、当分の間、歌舞伎やコンサートなどに行けないのが、一寸残念である。

   手術から回復すれば、これまで以上に散歩に心がけようと思っている。
   千葉の田舎だと、車か自転車で、少し、移動すれば、いくらでも散歩の好適地はあるし、頭の活性化に良いかも知れないと思っている。
   
   病気をすれば、人々の優しさ、温かさが、痛いほど身にしみる。
   今回も色々な方に、励まされ助けられて来た。
   ところが、日ごろ親しく付き合っている人ほど、大丈夫と思ってくれているのだろうが、冷たいと言うか無関心なのに気づいて面白いと思った。
   人生色々、大切な一日一日を心して生きなければならないと、殊勝なことを考えている今日この頃である。
コメント
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