先日、ブックレビューしたチェスブロウの「オープン・サービス・イノベーション」に、アマゾンの項で、「成長をつづけるプラットフォームのリーダー」として、かなり、詳しく、アマゾンのイノベーションについて書いてあり、私自身も、利用しているので、その関わりもあって、感想を述べてみたい。
私自身、まだ、キンドルを利用していないので、本については、あくまで、紙媒体の本であり、その他については、アマゾンでのネット・ショッピングに関する印象が主体となる。 まず、チェスブロウのアマゾン説について概観し、その後で、私自身の感想を述べてみたい。
アマゾンは、オンライン書籍販売からビジネスを開始したが、当初からの大きなビジネス上の長所は、顧客の注文と代金をプロセスの初期の段階で受け取るので、現金を手にしてから業者への発注分の支払いができるので、デルコンピュータ同様、ポジティブなキャッシュ・フローとなり、顧客から直接的に事業拡大の資金が得られる仕組みで、利幅が少なくても、魅力的なビジネスモデルであった。
プロセスが稼働して、大きな範囲の経済性を生むようになると、CDやビデオ、おもちゃ、電子機器、工具、ソフトウエア、携帯電話、台所用品、ガーデニング用品等々、どんどん、扱う品目を拡大して行き、より多くの買い手が様々な商品を購入するために、アマゾンにアクセスするようになった。
ここで、重要なのは、アマゾンは、オンライン販売の王者として、自社販売商品の種類をどんどん増やして行き、すべての必要な機能を単一企業で満たせるようにするクローズド・イノベーションではなくて、
他社が商品を掲載できるような強力なオンライン・サイトを構築して、オープン化する戦略を取ったので、このオープン性によって範囲の経済性が拡大して、商品を売ろうとする多くの他社がプラットフォームに参入して来たことである。
当初は、zShopを開始して、他社がアマゾンのサイトの一部で商品の購入や注文処理を行っていたが、種々問題が起こったので、アマゾンが、支払処理や、商品の掲載や宣伝なども引き受けて、現在では、アマゾンの商品と同様に、単一のウエブ・サイト内で発注処理できるようになり、アマゾンの利用者は、他社への注文かどうかさえも殆ど気が付かないような状態になっている。
更にオープン化が進んで、アマゾンには、通販サイトの運営に関する豊富な知識やノウハウがあるので、自社サイトで商品を扱いたいと言う大手の小売業者と提携して、他社による通販サイトの作成を手助けして、アマゾンのサーバで他社のサイトをホステリングして、インフラの提供者となっている。
最近では、潜在的な顧客に対する「エラスティック・コンピュータ・クラウド(EC2)」と言う新しいビジネスを創始した。
自社でIT機器や専門家を管理できないような事業規模や専門知識を持たない中小企業などに対して、アマゾンがコンピュータ能力を提供して、他社のIT機能を肩代わりして、使われたサービスのみに料金を課すと言うシステムで、利用者にとっては、専門知識のない分野に多額の投資をする必要もなく、豊かな経験と知識を持つアマゾンが管理する低額のランニングコストだけで、販売できるのだから至れり尽くせりである。
このようにして、アマゾンは、他の小売業者と幅広く提携して、商品の幅を広げて行くことで、極めて大きな範囲の経済性を生み出し、様々なニーズを満たす買い物が出来るワンストップ・ショッピングを実現した。
他社のウエブサイトのホステリングやEC2等で、他社の取引を加えることによって、初期投資だと非常に高くつくインフラの構築であったが、使用頻度の拡大によって、利用コストは、限りなく縮小して行った。
それ故に、アマゾンは、他社に、インフラを好条件で提供しつつ健全な利益を得ることが出来、利用者は、インフラの購入、設置、運営、修理、維持と言った固定費を削ることが出来たのである。
更に、重要なアマゾンの優位性は、蓄積した膨大な情報量で、これに匹敵するのは、グーグル、マイクロソフト、IBMと言った一部の企業のみで、書店界の雄であったバーンズ&ノーブルやボーダーズは足元にも及ばず、太刀打ちできなかったのは、当然であろう。
ネットショッピングの色々な要素を頻繁に組み合わせて、強力かつ維持可能な関係式を作り出し、大量データを処理することで最も効率の高いデータ処理会社として、かつまた、膨大な販売量を活用して、巨大な範囲の経済性を齎して利用者に最高の利便性を提供できる企業は、アマゾン以外にはなく、これこそが、無限大の優位性であり、コモディティ・トラップからの解放であろう。
以上が、チャスブロウのアマゾンのプラットフォーム・イノベーションの骨子である。
それでは、楽天やヤフーとどう違うのかと言うことだが、まず、アマゾンの、提携会社や出店会社に対する一体感と信頼性については、問題なく、かつ、ワンストップ・ショッピング機能は十分だと言うことであろうか。
購入者のレビュー評価や、「○○を購入した60%の人が、××も購入しています」などと言った種々の顧客との共創システムは、どこのネットショッピング会社でも真似をしており、何でもないことだが、アマゾンの膨大なデータ量からの反映だと言うことになると、多少、ニュアンスが違って来るかも知れない。
私は、家電やカメラなど、型番や商品がはっきりしていて同じものについては、結構、ネットショッピングで買うことが多いのだが、価格コムあたりで価格を調べて、まずまずの値段であれば、アマゾンで買うことが、多くなっている。
かなり安くて、送料やクレジット・カード支払いなど煩わしいことは殆どなく、とにかく、処理が早くて適切で、条件の違う沢山の店舗が出店している他のサイトよりは、便利である。
商品によっては、他店の販売もあるのだが、「Amazon.co.jp が販売、発送します。」とか、「Amazon.co.jp 配送センターより発送されます」 と明記されている商品もあるし、かなり、アマゾンの管理が行き届いているような気がしている。
しかし、楽天でワインを買ったり、ヤフーでDVDを買うこともあるし、正直なところ、チェスブロウの言う程、アマゾンの優位性について、あまり感じたことはない。
本については、日本版のブックレビューは、レビューアーの質に問題があるので、私は、殆ど見ないし参考にもすることはない。
しかし、アメリカ版のアマゾンのレビューや関連資料は、かなり、しっかりしているので、原書や翻訳本の参考にすることがある。
ブックレビューは、かっては、熱心に投稿し、ベストレビューアー36位くらいまで行ったことがあったが、故意に、何の連絡もなく、投稿レビューを、数編、一挙に削除されたことがあったので、信用できなくなって、それ以降、止めてしまって、このブログのブックレビューに切り替えた。
記録も兼ねているつもりなので、かなり、力を入れて書いている。
本は、アマゾンや他のネットショップと書店で買うのが、半々くらい。
最近では、読みそびれていた本や資料関連本を、アマゾンの「中古品の出店」と言うコーナーから買うこともあるのだが、「中古品 - 非常に良い」を選べば、殆ど新品で、問題がない。
どんな本でも、あれば探せると言うネット・ブックショップのロングテール現象のお蔭だが、ITC革命の恩恵でもあろう。
これは、個人や古書店などの出店なので信頼性は一律ではないが、購入者の評価がアップツーデートに掲載されるので、まずまず、信用できるであろう。
私自身、まだ、キンドルを利用していないので、本については、あくまで、紙媒体の本であり、その他については、アマゾンでのネット・ショッピングに関する印象が主体となる。 まず、チェスブロウのアマゾン説について概観し、その後で、私自身の感想を述べてみたい。
アマゾンは、オンライン書籍販売からビジネスを開始したが、当初からの大きなビジネス上の長所は、顧客の注文と代金をプロセスの初期の段階で受け取るので、現金を手にしてから業者への発注分の支払いができるので、デルコンピュータ同様、ポジティブなキャッシュ・フローとなり、顧客から直接的に事業拡大の資金が得られる仕組みで、利幅が少なくても、魅力的なビジネスモデルであった。
プロセスが稼働して、大きな範囲の経済性を生むようになると、CDやビデオ、おもちゃ、電子機器、工具、ソフトウエア、携帯電話、台所用品、ガーデニング用品等々、どんどん、扱う品目を拡大して行き、より多くの買い手が様々な商品を購入するために、アマゾンにアクセスするようになった。
ここで、重要なのは、アマゾンは、オンライン販売の王者として、自社販売商品の種類をどんどん増やして行き、すべての必要な機能を単一企業で満たせるようにするクローズド・イノベーションではなくて、
他社が商品を掲載できるような強力なオンライン・サイトを構築して、オープン化する戦略を取ったので、このオープン性によって範囲の経済性が拡大して、商品を売ろうとする多くの他社がプラットフォームに参入して来たことである。
当初は、zShopを開始して、他社がアマゾンのサイトの一部で商品の購入や注文処理を行っていたが、種々問題が起こったので、アマゾンが、支払処理や、商品の掲載や宣伝なども引き受けて、現在では、アマゾンの商品と同様に、単一のウエブ・サイト内で発注処理できるようになり、アマゾンの利用者は、他社への注文かどうかさえも殆ど気が付かないような状態になっている。
更にオープン化が進んで、アマゾンには、通販サイトの運営に関する豊富な知識やノウハウがあるので、自社サイトで商品を扱いたいと言う大手の小売業者と提携して、他社による通販サイトの作成を手助けして、アマゾンのサーバで他社のサイトをホステリングして、インフラの提供者となっている。
最近では、潜在的な顧客に対する「エラスティック・コンピュータ・クラウド(EC2)」と言う新しいビジネスを創始した。
自社でIT機器や専門家を管理できないような事業規模や専門知識を持たない中小企業などに対して、アマゾンがコンピュータ能力を提供して、他社のIT機能を肩代わりして、使われたサービスのみに料金を課すと言うシステムで、利用者にとっては、専門知識のない分野に多額の投資をする必要もなく、豊かな経験と知識を持つアマゾンが管理する低額のランニングコストだけで、販売できるのだから至れり尽くせりである。
このようにして、アマゾンは、他の小売業者と幅広く提携して、商品の幅を広げて行くことで、極めて大きな範囲の経済性を生み出し、様々なニーズを満たす買い物が出来るワンストップ・ショッピングを実現した。
他社のウエブサイトのホステリングやEC2等で、他社の取引を加えることによって、初期投資だと非常に高くつくインフラの構築であったが、使用頻度の拡大によって、利用コストは、限りなく縮小して行った。
それ故に、アマゾンは、他社に、インフラを好条件で提供しつつ健全な利益を得ることが出来、利用者は、インフラの購入、設置、運営、修理、維持と言った固定費を削ることが出来たのである。
更に、重要なアマゾンの優位性は、蓄積した膨大な情報量で、これに匹敵するのは、グーグル、マイクロソフト、IBMと言った一部の企業のみで、書店界の雄であったバーンズ&ノーブルやボーダーズは足元にも及ばず、太刀打ちできなかったのは、当然であろう。
ネットショッピングの色々な要素を頻繁に組み合わせて、強力かつ維持可能な関係式を作り出し、大量データを処理することで最も効率の高いデータ処理会社として、かつまた、膨大な販売量を活用して、巨大な範囲の経済性を齎して利用者に最高の利便性を提供できる企業は、アマゾン以外にはなく、これこそが、無限大の優位性であり、コモディティ・トラップからの解放であろう。
以上が、チャスブロウのアマゾンのプラットフォーム・イノベーションの骨子である。
それでは、楽天やヤフーとどう違うのかと言うことだが、まず、アマゾンの、提携会社や出店会社に対する一体感と信頼性については、問題なく、かつ、ワンストップ・ショッピング機能は十分だと言うことであろうか。
購入者のレビュー評価や、「○○を購入した60%の人が、××も購入しています」などと言った種々の顧客との共創システムは、どこのネットショッピング会社でも真似をしており、何でもないことだが、アマゾンの膨大なデータ量からの反映だと言うことになると、多少、ニュアンスが違って来るかも知れない。
私は、家電やカメラなど、型番や商品がはっきりしていて同じものについては、結構、ネットショッピングで買うことが多いのだが、価格コムあたりで価格を調べて、まずまずの値段であれば、アマゾンで買うことが、多くなっている。
かなり安くて、送料やクレジット・カード支払いなど煩わしいことは殆どなく、とにかく、処理が早くて適切で、条件の違う沢山の店舗が出店している他のサイトよりは、便利である。
商品によっては、他店の販売もあるのだが、「Amazon.co.jp が販売、発送します。」とか、「Amazon.co.jp 配送センターより発送されます」 と明記されている商品もあるし、かなり、アマゾンの管理が行き届いているような気がしている。
しかし、楽天でワインを買ったり、ヤフーでDVDを買うこともあるし、正直なところ、チェスブロウの言う程、アマゾンの優位性について、あまり感じたことはない。
本については、日本版のブックレビューは、レビューアーの質に問題があるので、私は、殆ど見ないし参考にもすることはない。
しかし、アメリカ版のアマゾンのレビューや関連資料は、かなり、しっかりしているので、原書や翻訳本の参考にすることがある。
ブックレビューは、かっては、熱心に投稿し、ベストレビューアー36位くらいまで行ったことがあったが、故意に、何の連絡もなく、投稿レビューを、数編、一挙に削除されたことがあったので、信用できなくなって、それ以降、止めてしまって、このブログのブックレビューに切り替えた。
記録も兼ねているつもりなので、かなり、力を入れて書いている。
本は、アマゾンや他のネットショップと書店で買うのが、半々くらい。
最近では、読みそびれていた本や資料関連本を、アマゾンの「中古品の出店」と言うコーナーから買うこともあるのだが、「中古品 - 非常に良い」を選べば、殆ど新品で、問題がない。
どんな本でも、あれば探せると言うネット・ブックショップのロングテール現象のお蔭だが、ITC革命の恩恵でもあろう。
これは、個人や古書店などの出店なので信頼性は一律ではないが、購入者の評価がアップツーデートに掲載されるので、まずまず、信用できるであろう。