熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

みずほフィナンシャルグループ第11期定時株主総会

2013年06月25日 | 経営・ビジネス
   他のメガバンクの株主総会が、27日なので、みずほの株主総会に出てみた。
   特に、今回は、不祥事があるわけでもなく、極端な経済不況でも金融危機でもないので、会場としては、トップクラスのイヴェント会場である東京フォーラム(ホールA)であるから申し分なく、平安な総会であった。
   同じような株主質問や要望が続いていたので、2時間経過した時点で、会場を出たので、その後の状態は分からないが、無事に、会社提案議案は承認されて、9件もあった株主提案は、否決されたのであろう。


   やはり、問題になったのは、他の二つのメガバンクと比べての、みずほの株価の低さと配当の少なさ、であった。
   多くの株主が、みずほの株を持っているが故に大損をしている筈だと厳しい指摘があったが、私の場合にも、多くはないが、興銀時代からの株なので、3分の1以下の水準で、回復は有り得ないと諦めているものの、せめて、もう少し上がればと期待だけはしている。

   株主から、名実ともにトップ銀行であった筈の3行が合併したメガバンクのみずほが、何故、これ程までに業績が悪いのかと質問があったが、確かに、私が欧米プロジェクトを、ロンドンなどで一緒に仕事をしていた興銀の人たちのレベルが非常に高くてファンとなって株も買ったのだし、不思議に思ってはいる。

   3メガバンクの比較だが、みずほは、業績や財務内容等が悪いので、株価が低いのは、当然である。
   しかし、リーマンショック以降、経営再生のために、増資を行った時に、株価が低いために発行株式数を水増しせざるを得なかったなどのこともあって、100億株も多い他行の倍近い株式数となっているために、当然、配当が低くなり、更に、株価が低落すると言う悪循環と言うか、下降スパイラル現象が起こる。
   焼け石に水であろうとも、自己株式を購入して株を償却するなどして、発行株式数を減らす姿勢を示す以外に方法はないであろう。
   他のメガバンクと同じ時価総額であっても、そして、同じ配当原資総額で同じ配当性向であっても、発行株式数が倍であれば、配当金額は、他行の半分とならざるを得ず、一株当たりの配当金額で、他行との比較は無理である。
   時価による配当利回りでの比較で満足する以外に仕方がなかろうと思うのだが、古くからの株主は、株数はともかく、他のメガバンクと同じような一株配当金額でないと納得しないであろう。
   複数の株主から、恨み節が語られていたが、かって株主利益の軽視の極とも言うべき、抜き打ち増資を行ったのであるから、株価と配当の低さに対する株主の非難は中々払拭不可能であり、みずほ経営者の背負った永遠の十字架だと言っても過言ではなかろう。

   ところで、配当について質問されると、
   ”当社は、「安定的な自己資本の充実」と「着実な株主還元」の最適なバランスを図る「規律ある資本政策」を推進しており、この方針のもとに、・・・”と鸚鵡返しに応えていたが、早い話が、「安定的な自己資本の充実」とは、「着実な株主還元」とは何なのか、最適なバランスを図る「規律ある資本政策」とは何なのか、最適なバランスなどどうしてはじき出すのか等々はっきり分からないし、大体、配当性向に関する目標数字なり基本的な考え方はないと回答をしていたくらいであるから、好い加減と言われても仕方がなかろう。

   株主から、グループCEOである佐藤康博社長が、たった、600万円の自社株保有(193円×32,880株=6,345,840円)で、責任ある経営が出来るのかと疑問を呈していたのに対して、佐藤社長が、真摯に回答していたが、とにかく、リーマンショックが原因であろうとなかろうと、こんなに酷い株価が続いて、株主にいつまでも、みずほの株主であることを悔やみ続けれられると言うのも辛いと思うのだが、せめても、必死になって、他のメガバンクに並ぶくらいの業績に近づくべきであろう。

   さて、みずほの成長戦略なり攻めの経営については、銀行業そのものが具体性に欠けている所為もあってか、非常に抽象的で、能書きお題目の羅列と言った感じで、分かり辛い。
   「One MIZUHO New Fronteir プラン~みずほの挑戦~」と言う25年度より3年間の中期経営計画を打ち立て、これについてディスプレイを利用して説明を行っていた。 
   今回、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行が合併してOne Bank体制になり、証券会社も統合されるので、持ち株会社みずほFG傘下での3本体制になる。
   既に、3つの巨大銀行が合併して肥大化が極に達した組織を、更に、統合して、「One MIZUHO 未来へ。お客様とともに」と言う形で、経営統合のみならず、ブランド戦略においても、一本化を図ると言うことだが、組織疲労も良いところで、単独でさえ18,000人の大所帯を、どうして、シナジー効果を発揮して、グローバル・ベースで、有効かつ強力なグループガバナンスを実現するのか。経営学上も、大いに疑問を感じている。

   正に、グローバリゼーションとICT革命によって、クリエイティブ時代となり、他とは違った価値ある商品やサービスを提供しない限り顧客満足度を高められない昨今、中央統制によるOne MIZUHOで、益々、全体主義的な組織経営体制を取って、統率しようと言うような前近代的な経営方針で上手く行くのであろうか。
   今こそ、組織をアドホックに自由に解き放って、イノベーションを誘発するような総アントレプレナー志向の高度な知的スタッフによるクリエティブなBANKを目指すべきではないかと思うのだが、どうであろうか。

   もう一つ、個人株主から、毎年、多くの株主提案が上程されて、議案となっているのだが、確かに、定款変更と言う形で出ているので、必ずしも、定款に記載すべき程の事項でないことが多いので、当社取締役会の意見として、木で鼻を括ったような説明で退けているのだが、株主が指摘していたように、中には、真っ当な提案もあるので、もう少し真摯に対応すべきであろう。
   慇懃だが意味不明の会社回答で、毎年、退けているのだが、そんな態度をとれるのは、経営を立て直して利益を上げて、株主の満足するような株価や配当で応えることが出来てからの話ではないかと思っている。
   
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