熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

伊藤穰一著「テクノロジーが 予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる」

2022年07月13日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   伊藤穰一の新刊「テクノロジーが 予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる」
    web3、メタバース、NFTで世界はこう変ると、衝撃的な未来を、働き方、文化、アイデンティティ、教育、民主主義についてその変化を語り、日本のあるべき将来像を提言する。非常に啓発的な興味深い本である。

   Web1.0では、インターネットに接続して「read 読む」、Web2.0では、自分で「write 書いて」発信する、Web3.0では、「join 参加する」.
   Web3.0は、ドルや円と言った法定通貨(フィアット)が流通するフィアットエコノミーではなく、暗号資産(クリプト=仮想通貨やトークン)が流通するクリプトエコノミーの経済圏で、最大の特徴は、Decentralized、分散(非中央集権)の世界であることである。
   現実世界は、あらゆることが、中欧集権的であるが、Web3.0の世界では、多くのプロジェクトが、中央集権的な管理者なしに、個人や組織、資産が、分散的・自律的に動き回っている経済圏だという。
   私自身、ビットコインにもトークンが飛び交うNFTにも全くこの世界には縁も経験もないので、理論として分かったとしても、しっくりと実感が湧かないのだが、人類社会にとっては、大変なパラダイムシフトだと言う実感は湧いてくる。

   金融は、暗号資産をプールしておくと自動的に運用されるDefにi、組織は、独自のガバナンス形態で、トークンのやり取りを介してプロジェクトやアプリケーションを走らせる無数の「DAO」となり、会社に所属していなくても仕事ができて、銀行がなくても預金ができて、証券会社がなくても資産運用ができる。しかも、クリプトエコノミーは流動性が高い。こう言うことが一般化してくると、既存の金融機関や商社などが淘汰されてしまう。と言う。

   私にはその気がないのだが、Web3.0の面白みを体験してみよとやり方を説いている。
   まずWeb3.0では何をするにもトークンが必要になるので、自分のトークンを入れる「ウォーレット」と、法定通貨(円など)を暗合資産に替える「暗号資産取引所の口座」を開設する。そして、最初の体験として、NFTを買ってみると良いと言う。

   さて、ブロックチェーンは、取引毎に情報のブロックを作成し、そのブロック達をチェーンで繋いでトランザクション履歴を記録する仕組みである。すべての履歴が連なっており、しかも誰でもチェックできるという透明性があるため、そのうち1つの取引情報だけを改竄するのは事実上不可能である。このブロックチェーンが、ビットコインやイーサリアムなど「通貨として使われる」という、最も高いセキュリティが求められる仕組みを技術的に担保している。
   このような、もとは取引履歴を記録する仕組みとして生まれたブロックチェーンの技術を使って、デジタルデータが「本物かどうか」「誰のものか」などを証明したものがNFTである。NFTは、大量生産・大量消費のモノではなく、「世界に1つしかない、複製不可能なデジタルデータ」を可能にした。
   クリエーターが、デジタル作品を創り、OpenSeaなどのNFTマーケティングプレイスに出品して売る、自分の力で稼げる仕組みが生まれたのである。

   私にとっては、メタバースより、NFT の方に馴染みがなかったので、 NFTについて書いてきたが、
   2022年は、Web3.0元年だという。なぜ、元年か。
   トークン全体の時価総額が急激に上がると同時に、トークノミクスを形成する条件が整った。まず、2021年にNFTが大ブレークした。デジタルアーティストのBeepleのNTFアートが、クリスティーズで約75億円で落札された。これで、いよいよ、2022年からは本格的なWeb3.0時代が始まると目されたというわけである。

   正直なところ、科学音痴の私には、まだ良く分からない世界だが、科学とテクノロジーの進化発展によって、時代が大きく大転換する予感を感じる。
   Decentralized、分散(非中央集権)化すると、政治経済社会は勿論、自由主義経済も民主主義も、大転換せざるを得なくなる。
   如何に生き抜いて行くか、新しいサバイバル術が問われている。

   
コメント
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