ブルームバーグ配信のニュースで、次の記事に興味を感じた。
グローバリゼーションの拡大で、ヒト、モノ、カネ、情報が国境を越えて頻繁に移動するようになって、一番遅れていたヒトの移動が常態化してきたと言うか、アメリカ人のヨーロッパ回帰が進行していると言うのである。
逆移民
生活コストの上昇と住宅価格の急騰、加速するドル高に政治的な分断が加わり、欧州に移住する米国人が増えている。イタリアやポルトガル、スペイン、ギリシャ、フランスが人気の移住先だ。従来、欧州で不動産を購入する米国人は主に退職者や富裕層だった。しかし最近では大都市ではない地域を中心に住宅価格が割安となり、リモート勤務の普及で若い層や米国での住宅購入を断念した消費者が欧州に引き寄せられている。米都市の一部で悪化する犯罪や政治的な分断も、静かな生活への憧れをかき立てた。最近、約20年ぶりに対ドル等価に下落したユーロ安も一役買っている。
ヒトの移動で、最近顕著なのは、ウクライナ侵攻で進むロシア人の国外脱出、特に、高学歴の若者たちの頭脳流出である。
本来、ロシアは国外移住が多い国で、国内に十分な機会がないので、特に高学歴の若者ほど国外移住の傾向が強く、最近はその動きが加速していて、ウクライナ侵攻後、10万とか20万とかと言われている。
ロシアの最大の悩みは、人口の減少傾向による国家の疲弊衰退で、この人口減に注目して、エマニュエル・トッドが、ロシアの没落論を展開していたのだが、プーチンの旧ソ連圏の囲い込みやウクライナへの侵攻も、この人口減少解消策の一環である。占領地域のウクライナ人をロシア国籍にしたり、百何十万のウクライナ人を梗塞してロシア東部の僻地へ送り込んでロシア化を図るという人道的暴挙に出るのも、これが故である。
しかし、国際法を無視して世界を敵に回して拡大政策を推進して、外国人を取り込んで人間の頭数を合わせてみても、虎の子の筈の有能な国民の頭脳流出を許して国家を窮地に追い込んでいけば、とどのつまりは、国家の進歩発展を阻害、愚行以外の何ものでもないのを理解できないところが哀れである。
さて、本題に戻って、アメリカ人のヨーロッパ移住だが、本来の故国への回帰であって不思議でも何でもない。
私は、国際都市アムステルダムとロンドンに住んでいたので、人種のルツボでの國際人の交流には全く違和感がなく、むしろ、交流の中で、外国人ばかりが多くて、地元のオランダ人やイギリス人と接する機会が少なかったのを実感していた。
ところで、ブルームバーグの指摘で重要なのは、ヨーロッパの住環境が良いためと言うこともあるが、「リモート勤務の普及で若い層や米国での住宅購入を断念した消費者が・・・」と言うリモートワークによる労働移動の普及進展である。すなわち、職を求めてのヒトの移動ではなくて、世界のどこにいても、本来続けている仕事が出来るというICT革命による労働環境の変化である。
先日、リチャード・ボールドウィン著「世界経済 大いなる収斂 ITがもたらす新次元のグローバリゼーション」のブックレビューで、
ある国の労働者が別の国のサービス・タスクを引き受けて、労働サービスが労働者から物理的に切り離されるケース、すなわち、人間の分身に国境を飛び越えさせるテクノロジーであるテレロボティクス、テレプレゼンスでバーチャル移住させれば、
たとえば、ロンドンのホテルの部屋を、マニラで座っているメイドがコントロールするロボットで掃除する、アメリカのショッピングモールにいる警備員を、ペルーで座っている警備員が動かすので置き換えることが出来ることを説明した。
グローバリゼーションで、ヒト、モノ、情報の移動で、最も遅れてている第三のバンダリング・ヒトの移動を、メタバースの遠隔移民と「ホワイトカラー・ロボット」による高度なワークの移動についても説明していて、先のロシア人とかアメリカ人の実際のワーカーの移動とは異なった仮想的な移動を説いていて面白い。
いずれにしろ、トーマス・フリードマンのフラット化した世界が、労働面でも、仮想、現実ともに、実質的に、どんどん、現実化していると言うことである。
グローバリゼーションの拡大で、ヒト、モノ、カネ、情報が国境を越えて頻繁に移動するようになって、一番遅れていたヒトの移動が常態化してきたと言うか、アメリカ人のヨーロッパ回帰が進行していると言うのである。
逆移民
生活コストの上昇と住宅価格の急騰、加速するドル高に政治的な分断が加わり、欧州に移住する米国人が増えている。イタリアやポルトガル、スペイン、ギリシャ、フランスが人気の移住先だ。従来、欧州で不動産を購入する米国人は主に退職者や富裕層だった。しかし最近では大都市ではない地域を中心に住宅価格が割安となり、リモート勤務の普及で若い層や米国での住宅購入を断念した消費者が欧州に引き寄せられている。米都市の一部で悪化する犯罪や政治的な分断も、静かな生活への憧れをかき立てた。最近、約20年ぶりに対ドル等価に下落したユーロ安も一役買っている。
ヒトの移動で、最近顕著なのは、ウクライナ侵攻で進むロシア人の国外脱出、特に、高学歴の若者たちの頭脳流出である。
本来、ロシアは国外移住が多い国で、国内に十分な機会がないので、特に高学歴の若者ほど国外移住の傾向が強く、最近はその動きが加速していて、ウクライナ侵攻後、10万とか20万とかと言われている。
ロシアの最大の悩みは、人口の減少傾向による国家の疲弊衰退で、この人口減に注目して、エマニュエル・トッドが、ロシアの没落論を展開していたのだが、プーチンの旧ソ連圏の囲い込みやウクライナへの侵攻も、この人口減少解消策の一環である。占領地域のウクライナ人をロシア国籍にしたり、百何十万のウクライナ人を梗塞してロシア東部の僻地へ送り込んでロシア化を図るという人道的暴挙に出るのも、これが故である。
しかし、国際法を無視して世界を敵に回して拡大政策を推進して、外国人を取り込んで人間の頭数を合わせてみても、虎の子の筈の有能な国民の頭脳流出を許して国家を窮地に追い込んでいけば、とどのつまりは、国家の進歩発展を阻害、愚行以外の何ものでもないのを理解できないところが哀れである。
さて、本題に戻って、アメリカ人のヨーロッパ移住だが、本来の故国への回帰であって不思議でも何でもない。
私は、国際都市アムステルダムとロンドンに住んでいたので、人種のルツボでの國際人の交流には全く違和感がなく、むしろ、交流の中で、外国人ばかりが多くて、地元のオランダ人やイギリス人と接する機会が少なかったのを実感していた。
ところで、ブルームバーグの指摘で重要なのは、ヨーロッパの住環境が良いためと言うこともあるが、「リモート勤務の普及で若い層や米国での住宅購入を断念した消費者が・・・」と言うリモートワークによる労働移動の普及進展である。すなわち、職を求めてのヒトの移動ではなくて、世界のどこにいても、本来続けている仕事が出来るというICT革命による労働環境の変化である。
先日、リチャード・ボールドウィン著「世界経済 大いなる収斂 ITがもたらす新次元のグローバリゼーション」のブックレビューで、
ある国の労働者が別の国のサービス・タスクを引き受けて、労働サービスが労働者から物理的に切り離されるケース、すなわち、人間の分身に国境を飛び越えさせるテクノロジーであるテレロボティクス、テレプレゼンスでバーチャル移住させれば、
たとえば、ロンドンのホテルの部屋を、マニラで座っているメイドがコントロールするロボットで掃除する、アメリカのショッピングモールにいる警備員を、ペルーで座っている警備員が動かすので置き換えることが出来ることを説明した。
グローバリゼーションで、ヒト、モノ、情報の移動で、最も遅れてている第三のバンダリング・ヒトの移動を、メタバースの遠隔移民と「ホワイトカラー・ロボット」による高度なワークの移動についても説明していて、先のロシア人とかアメリカ人の実際のワーカーの移動とは異なった仮想的な移動を説いていて面白い。
いずれにしろ、トーマス・フリードマンのフラット化した世界が、労働面でも、仮想、現実ともに、実質的に、どんどん、現実化していると言うことである。