熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

和田秀樹著「80歳の壁」(1)

2022年07月16日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   和田先生の本であり、傘寿を越えた私にとっては、無視できない本である。
   まして、帶には、「壁を越えたら、人生で一番幸せな20年が待っています!」と書いてある。
   最近、とみに、老いを感じ始めているので、何も20年などと大それた考えはないが、もう、そんなに長くないことを承知で、家族などに迷惑を掛けずに、健康寿命を維持したままで逝きたいと思っているので読んでみた。

   壁を越えるには、老いを受け入れ、できることを大事にする、
   「幸せ」とは、本人の主観によるので、自分がどう考えるかによって決まってくる。と言う。
   80を過ぎたら、最後まで気づかない病気があり、誰にもガンがあるので、80歳を過ぎたら我慢をしない。
   認知症は、病気と言うより「老化現象」に近いもので、歳を取ると誰にも起こる症状で、必ずやってくる。ならば今のうちにしたいことをしよう。と言うのである。

   80歳を過ぎれば、健康体であっても、いつ死んでも可笑しくないのであるから、明日死んでも後悔しない人生の時間の過ごし方は、次の3つの無理を止めること。
   ①薬の我慢
   ②食事の我慢
   ③興味あることへの我慢

   薬は、必要最小限に抑えるべきで、飲み過ぎは毒と心得よ。薬は、体の具合が悪いときに、楽になるために飲むもので、具合が悪いときには我慢せずに飲めば良い。長生きの薬はない。「なってから医療」は、中高年までの医療とは違うので、予防のための薬は、なってからは要らない。

   食事については、多くの医学データが「やや肥満の人が一番長生きする」と示しており、大いに好きなものを食べて、メタボの心配をするより、小太りくらいを目指せ。「食べたいものを我慢してダイエット」など自ら寿命を縮める行為で、栄養不足は確実に老化を進める。「塩分、糖分、脂質」は三大害悪のように言われているが、高齢者は臓器の働きが落ちるので、例えば体が塩分を欲しがる時には、体の声を素直に聞くのが、一番の健康法である。

   興味あることは我慢しない、ドンドンやりなさい。
   たとえば、わいせつDVDを見たいのは健康の証で、セックスも老いらくの恋も、元気の源である男性ホルモンを活性化させるのであるから大いに結構。
   何かに興味を持つと言うことは、脳が若いという証拠であり、したいことをすると、前頭葉を刺激し脳は喜んで若返るので、したいことを我慢せずに、脳も体も元気にしよう。
   しかし、ギャンブルなどに入れ込みすぎて身を持ち崩しては何にもならないので、自分でコントロールできる範囲であることは大前提である。

   さて、心身共に自立して健康でいられる年齢を「健康寿命」というのだが、男性は72.68、女性は75.38である。病気や認知症で寝たきりになるレベルでなくても、誰かの介護が必要となると言うことで、その後の余命期間が、男性は9年、女性は12年である。
   これを踏襲するので、「平均寿命」は、男性が81.64、女性が87.74で、興味深いのは、「死亡数」で、最も多くの人が亡くなった年齢は、男性が85歳、女性が90歳だという。

   私の場合は、一応健康体で、「健康寿命」も「平均寿命」もクリアーして、この本の「80歳の壁」に差し掛かっている。
   食事も美味しく頂けるしワインも美味い。1日に1万歩歩くのは一寸苦痛になってきたが、まだ、経済や経営学の専門書は読めるし、このブログも書けている。
   しかし、
   明日突然死んでしまうかも知れない、突然寝たきりになるかも知れない、全く先の見えない時期に突入しており、
   いつまで元気でいられるか分からないのだが、この先、残された短い人生を、どう生きて行くべきか考えざるを得なくなってきたのは、厳粛なる現実である。

   考えてみれば、後悔ばかりの人生ではあったが、ここまで楽しませて貰えたのは、幸せ意外の何ものでもない。
   ケセラセラ(Que Será, Será)、「Whatever will be, will be.」
   なるようになる、運を天に任せよう。
   と言う心境である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする