熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ゴールドラッシュの経営学・・・野口悠紀雄教授の面白い話

2005年11月24日 | 政治・経済・社会
   野口悠紀雄早大教授の新しい本「ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル」だが、教授のメルマガで読んでいて面白かったので、あらためて本を買って読んでみた。
   教授の「超」何とか本の中では、比較的取り付きやすい話題で、スタンフォード客員教授時代に実際実地情報を踏まえてのレポートなので、何十年か前のアメリカ生活を思い出しながら、楽しく読ませてもらった。

   人権問題の所為か、最近は消えてしまった西部劇でゴールドラッシュ時代のアメリカを垣間見た世代の人間には、懐かしい話題ではあるが、僅か、100年前後でヨーロッパの文化文明が西漸した凄いスピードとその経緯を、活躍した経済人を主役に描いたカリフォルニア開発物語で興味が尽きない。

   私が、東から西に向かったのは、たった一回だけで、それも、セントルイスまで飛行機で、その後、車でロッキーを越えてグランドキャニオン、ラスヴェガスまで行っただけで、後は、飛行機の窓越しに、壮大な中西部の草原やグランドキャニオンの荒涼とした谷を見た程度だから、ゴールドラッシュ時代の先人の困難さなど分かるわけがない。
   しかし、西部劇で良く出てくるモニュメントバレーや行けども行けども変わらない焼け付くような荒野を見た時には、余程の人間でないと新天地へ向けての旅は大変だと思った。
   一方、冬の季節の良い時に行ったので、砂漠の中の「死の谷」が、こんなに綺麗な所かと感激した。

   カリフォルニアで金が発見されてゴールドラッシュが始まったが、最初に金を発見した人間が惨憺たる人生を送ったのに対して、ラッシュした人間相手に必需品など、例えば、ジーンズを製造販売したリーバイシュトラウス等の周辺の事業家が財を成したのが面白い。
      
   大陸横断鉄道を建設開業したスタンフォード等4実業家は、夫々、カリフォルニアに行く為に、ロッキー越え、パナマ地峡越え、マゼラン海峡越えしたと言う。
   大冒険家ではない普通のアメリカ人が、ビジネスチャンスを求めて、辛酸を舐めながら大変な旅をしながら新天地を目指したのである。
   このアンテルプレヌール精神に満ち溢れた人々が、東西を結ぶ途方もない事業鉄道建設をやってのけた。
   一度、旅行途中に中西部で踏み切りに遭遇して、貨物列車が行過ぎるのを待ったが、何百輌も牽引していて何十分も待たされたののはビックリしてしまった。
   大陸横断鉄道は、日本のJRなど足元に及ばないほどスケールが大きいのである。
   野口教授は、月への人類の一歩より、大変な人類社会と歴史への貢献だと指摘されているが、アメリカの偉大な経済社会革命は、この鉄道建設あってこそであろう。
   鉄道建設に伴う経営や経済社会に与えた影響などが現在の制度に反映されていて面白い。

   興味深いのは、スタンフォードの馬の話である。
   力の強い馬を交配して品種改良すれば生産性が上がりアメリカ経済が発展すると考えていて、生産性の向上と経済発展の理論とダーウィンの進化論を提唱していたことである。
   それに、馬が疾走する時には飛ぶと言う賭けをして、疾走時の連続写真を撮ってそれを立証して、「映画の産みの親」と呼ばれているとか。

   スタンフォードが大学を設立し、工学重視の方針が後のシリコンバレーを生みIT革命を引き起こすなどカリフォルニアの本当の意味でのフロンティア精神、アンテルプルヌール精神溢れる話は、興味が尽きない。
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