熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

第56回 神田古書まつりに行ってきた

2015年11月02日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   昔は、神田古書まつりが、開かれると、初日に出かけて、沢山の本、それも、新刊書だけを買って、宅配便で送っていたのだが、最近は、出かけないこともあったり、期間中に、気が向いた日に、一日だけ、出かけたりで、関心が薄れてしまった。
   三省堂の店内やスズラン通りの入り口などにも、古書店が犇めいていて、大変な賑わいで、結構、本探しが楽しかったのだが、活字離れと紙媒体の本の凋落で、随分、展示も小規模になり質が低下して、魅力がなくなってきている。
   
   

   今回は、23日初日であり、終わり頃になって、国立能楽堂の定例公演を見た後、夕刻に出かけたので、かなりの人出があったのだが、特に新鮮味もなく、この調子だと、何時まで続くのであろうかと思った。
   何時もと違うのは、夫々の神保町の古書店が、この期間中に、店の前の歩道に、ワゴンや本棚を設えて臨時店舗を開設していることである。
   日ごろと違った売り場だけを、ちらりちらりと見て回っただけだが、時々、思いがけない本に出くわしたりすることもあって面白い。
   昔なら、いつかは読むであろうと思って買い込むのだが、書棚に、スタンドバイ中の本が、何十冊もあり、歳も歳なので、食指が動かなくなっている。

   結局、買った本は、1冊だけ。
   ナオミ・オレスケス他著「こうして、世界は終わる」。
   2093年、世界は終わる――ハーバード×NASAの教授・研究者が断言する。何故、われわれは、むざむざと破壊せざるを得ないのか?と帯に書かれた近未来の預言書。
   定価1400円、半額である。

   私は、いまだに、専攻した経済学や経営学の本を探すことが多いのだが、大抵は、欧米の学者たちの著した本を買うことが多く、日本の著者の本は限られている。
   欧米で学び仕事をしてきたからと言う訳ではなくて、この分野では、異文化と異文明によって生まれた、それも、人類の坩堝のような学問環境の中で生まれ出た本ほど、はるかに、学術水準が高くて発想なり知見が豊かで、啓発されることが多いからである。
   それに、まだ、欧米時代の名残か、新しい学問に遅れたくないと言う強迫観念のようなものが残っていて、それが、ドライブになっている。

   古本まつりで良いところは、新旧取り混ぜて、雑多な本が、一堂に会して見られることで、懐かしい本などに出合ったり、気づかなかった本などが見つかったりで、大型書店のようにジャンル分けして、売れ筋本ばかりを並べているのとは違った面白さがあることである。
   不思議なもので、いくら早く目を移動させても、関心のある本は、直感的に目に付くのは、これまでの修練の賜物かもしれない。
   欲しいと思った本は、古本なので、帰ってきてから、アマゾンを叩いて新本を買う。
   
   高校時代までは、図書館に行って本を借りて読んだことがあるのだが、それ以降は、自分で買った新本しか読まないようになった。
   高校の図書館でも、誰も借りたことのない本ばかりを探して借りていた。
   この図書館で、一つ思い出があるのは、随分経ってから高校を訪れた時に、図書館に立ち寄って、自分が読んだ本を開いてみたら、貸出票に、私の後に、マドンナの名前が並んでいたことで、一気に、私の頭の中を、懐かしい思い出が、走馬灯のように駆け巡った。
   
   今朝、何となく、テレビをつけたら、日テレが、面白い番組を放映していた。
   「読みたい本、どうして手に入れる?」
   
   結果は、ほぼ、書店で買う 3、インターネットで買う 1、図書館で借りる 1、1か月本を読んではいない 2。
   9時だから、視聴者は、朝テレビを見て居れる人の投票なので、日本人一般と言う訳には行かないであろうが、趨勢は分かる。
   4割の人が、本を買わないのであるから、本屋の倒産が続いているのは、当然であろうと思う。
   以前に、四国の普通の大人は、殆ど本を読まないと言う調査結果について、そして、活字文化離れの危機など、このブログで書いたことがあるのだが、良し悪しは別として、本文化の凋落が、始まっていることだけは、事実のようである。
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